【人事労務の時言時論(第9回)】
「労働契約法の改正」
【エッセイ】
「日本経済と人事労務の方向」
・・・・・・髙井・岡芹法律事務所 参与 特定社会保険労務士・中小企業診断士 大塚 徹夫
「父母への思いと言語療法」
・・・・・・学校法人文理佐藤学園理事長役員室長 西武学園文理中学高等学校副校長 飯塚 和夫 様
「『体験を経験化する』ということ」
・・・・・・有限会社セカンドステージ 代表取締役 鮒谷 周史 様
【労働法と労務管理の基礎(第8回)】
「より貧しくなる日本と東北の復興」 弁護士 髙井 伸夫
【ティータイム】
弁護士 村田 浩一
【北京だより(31)】
「医療技術の進歩と共に超高齢化社会へ突入」中瑞岳華会計師事務所 高級経理 薄井 義之 様
【上海だより(32)】
「上海歯科事情 その3」 日本東京都歯生会上海恒佳歯科診療所 劉 佳 様
【事務所行事報告】
・平成24年 事務所年末講演会のご案内
・講演のご依頼について
・第12回 人事・労務実務セミナーのご報告
・Facebook、Twitterを始めました
・メールマガジン『Management Law Letter Online』のご案内
・キャリア権研究会
・上海代表処活動報告
・北京代表処活動報告
・年末年始休業のお知らせ
<同封物一覧>
(1)年末講演会等のご案内
(2)第14回「人事・労務実務セミナー」(特別編)のご案内
(3)論稿贈呈のご案内
(4)日本フランチャイズ総合研究所の内川昭比古社長のご紹介
(5)中国情報№61
経営法務情報「Management Law Letter」は、顧問会社及び弊所のお客様に無料にて配布しております。ご質問等ございましたら、下記までご連絡下さいますようお願い申し上げます。
問合わせ先担当:門脇、梅澤 tel 03-3230-2331
【巻頭言】「有期雇用法制の変化」 弁護士 岡芹 健夫
1 労働契約法の改正
読者の皆様にもご承知おきの通り、本年(平成24年)8月3日に、労働契約法の一部を改正する法律(平成24年法律第56号)が成立しました。その内容は、有期労働契約法制に関するものであり、要点を述べれば、次の三点です
①有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換(労働契約法18条)。
②有期労働契約の更新等(「雇止め法理」の法定化(労働契約法19条)。
③期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止(労働契約法20条)。
右①ないし③の具体的内容については、既に様々な記事、書籍、講演でも触れられており、本稿では特にその詳細を述べることは控えますが、中でも、とりわけ実務的影響が直接的かつ具体的であると思われる①について、若干、思うところを簡略に述べてみることとします。
2 期間の定めのない労働契約への転換制度の概要と予想される結果
前述1の①は、大まかに述べれば、有期労働契約の通算の期間が五年を超えれば、原則としてその労働契約は無期契約に転換される(但し、労働者が希望すること、六ヶ月以上の空白期間がないことが前提。)というものですが、もともと有期労働契約とは、企業側が当該労働者を正社員(無期契約)にすることが妥当ではないために締結するものですから、企業としては、右の無期契約への転換が為されないように手を講ずるのが当然のこととなります。その際、現段階において真っ先に考えられている方策としては、有期労働契約を締結する当初の時点より、雇用契約の更新回数・期間の制限を明示し(例えば、一年契約であれば、更新可能回数を四回とするなど。)、あらかじめ、当該労働者の有期契約更新の期待に制限を設けてしまうというものがあります。
これが実施されると、これから有期労働契約者として雇用され始める者は、有期労働契約とはいえ更新を繰り返し、事実として五年以上の雇用を得ていたこれまでの有期労働者と同じ途は辿り得ないということとなります。立法の狙いとしては、このような労働者は無期労働者として採用されることを期待しているのでしょうが、企業としては、必要な人員と支出できる人件費は決まっているうえに、昨今の国際競争の状況では売上げが右肩上がりに上昇する時代は既に過ぎているので、経済情勢によほどの変化がない限り、無期労働者としての採用ではなく、別の有期労働者の雇用という選択をするでしょう。
その意味で、今次の有期労働法制の改正は、有期労働契約による長期雇用(五年以上)の途を一掃する効果を果たすこととなる公算が強いと言わざるをえません。
【人事労務の時言時論(第9回)】 「労働契約法の改正」
本年(平成24年)8月3日、国会において労働契約法の改正法が成立し、同月10日に公布されました。
今回の改正の目的は、有期労働契約(一年契約、六か月契約など契約期間の定めのある労働契約)を長期にわたり反復更新した場合に無期労働契約に転換させることなどを法定することにより、労働者が安心して働き続けることが可能な社会の実現を図る、ということだそうです。
国会で成立した改正法は、右の目的を実現するために、主に三つの措置を講じています。
第一の措置は、同じ会社で有期労働契約が五年を超えて反復更新された場合は、労働者の申込みにより、無期労働契約に転換させる、というものです。ただし、原則として、六か月以上の空白期間がある場合は、前の労働契約期間を通算しません。また、別段の定めがない限り、無期労働契約に転換した後も申込時点での有期労働契約と同一の労働条件のままです。
第二の措置は、有期労働契約の更新における「雇止め法理」(判例法理)を法定化したものです。すなわち、有期労働契約の反復更新により無期労働契約と実質的に異ならない状態で存在している場合、または、有期労働契約の期間満了後の雇用継続について合理的期待が認められる場合には、「雇止め」(使用者側が有期労働契約の更新をせず、契約期間の満了をもって有期労働契約を終了とすること)が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないものであるときは、有期労働契約が更新されたとみなす、というものです。
第三の措置は、労働契約に期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止です。改正法は、同じ会社における有期労働契約の賃金等の労働条件と無期労働契約の労働条件を比較して、労働条件に相違がある場合、その相違は、職務の内容や配置の変更の範囲等を考慮して、不合理と認められるものであってはならないと規定しています。
なお、この改正法の施行期日は、第二の措置については公布日である本年8月10日であり、第一の措置と第三の措置は、公布日から起算して一年を超えない範囲内で政令で定める日とされています(来年(平成25年)の春に施行が予定されている模様です)。
右の改正法が、無期労働契約に転換した後も従前と同じ労働条件としている点、および、六か月以上の空白期間をはさめば有期労働契約の再契約が可能であるとしている点については、労働者の保護の観点から不徹底であるとの批判があります。
他方、「労働者が安心して働き続けることが可能な社会」の実現は、小手先の法改正ではなく、即効性のある施策によってわが国経済の回復を図るほかないとの批判もあります。長期の不況に苦しむわが国の企業に五年後の無期化を強いれば、当然のことながら、企業は採用人数を絞り込むでしょう。したがって、今回の改正は、有期契約労働者の大量減少という、改正の目的に反する結果につながりかねない、というものです。
私は、今回の改正の第一の措置は間違ったものであり、後者の批判が正しいものであると考えています。この結果は数年のうちに判明するでしょう。そして、その結果が判明した頃には、わが国の経済や労働環境は取り返しのつかないことになっているのではないかと危惧しています。これが杞憂に終わればよいでしょうが、わが国の人口政策や年金政策が完全に破綻しているように、わが国の労働政策もまた破綻すると考えています。そして、国の失政のツケは、再び重い負担となって企業や国民に跳ね返って来ることでしょう。それでも政治家や官僚は、これまでと全く同じように誰も責任を取らないでしょう。
【エッセイ】「日本経済と人事労務の方向」
高井・岡芹法律事務所参与 特定社会保険労務士・中小企業診断士 大塚 徹夫
一、経済構造の変化
左の図のように、高度成長期には原価に利益を乗せて販売価格としていました。価格は売り手が決め、作れば売れる、売れれば儲かる時代でした。
時代は変わり、今では、価格は買い手が決める時代です。家電量販店などでも、以前のように標準価格などありません。客はより安い店で購入します。したがい、メーカーは客の決める価格以下で製造しなければります。加えて低成長時代は購買力が落ちデフレとなります。益々売り手が多く、買い手が少なくなりますので、価格は下がってきます。日本従って、メーカーや売り手はお客利益が出ません。日本の大手家電メーカーの巨大赤字の根源もこのあたりにあるのではないでしょうか
二、利益をどうやって生み出すか?
方法は、大きく分けて三つで、売上を増やすこと、売上原価を下げること、販売管理費を下げることです。
一つめの売上増加ですが、マーケットが縮小しているのでこれは至難の業です。ファーストフードのM社、衣料小売りのU社、家具のN社などは、客の求める良品を極めて安価で提供して、その代わり数量を多く売る、すなわち他社のシェアを食う作戦に成功しています。あくまでこれらは例外企業です。
二つめの売上原価を下げることですが、メーカーであれば製造等に係るあらゆる費用(人件費、材料費等)のムダを取ることです。それとは別に、設計変更、設備改修、工程改善等によって生産性を上げ、製造原価を下げることができます。
三つめの販売管理費を下げることですが、間接部門ですのでムダ取りよりも生産性向上に重点が置かれます。仕事のやり方や売り方等を改善することにより、生産性向上を図ってゆくことが可能です。
以上のように、デフレ下、どうやって利益を出していくか?それは、自分の仕事を通して「ムダを取る」、「生産性を向上させる」の二つです。これらは改善活動であり、付加価値を生む活動です。
三、今後の成果主義人事制度
単に結果・成果を評価するだけでなく、付加価値を生み出す仕組みを全社的につくり、その行動結果・成果を評価するという「成果主義」の人事制度を構築することが必要だと思います。具体的には、次の①~⑤の取組みが求められるように思います。
①全社運動を展開する
従業員一人ひとりが、自分の仕事を通して新たな付加価値を創出する全社運動を展開する。自動車メーカーT社の「乾いた雑巾を絞ろう」の合言葉はその一例。
②部・課による方針展開
全社方針・計画を受けて、部・課としての具体的課題・付加価値目標を明確に打ち出す。
③各人の目標
所属メンバーは、部・課の課題・目標を受けて自分の課題・目標を設定する。期限や手段方法等を明確にし、目標値は定量化する。物づくり現場等では、共同目標でもいい。
④教育の実施
問題・課題を発見し、付加価値創出を実践するためのスキル・智恵・意欲を高めるための教育を実施する。
⑤評価と処遇
創出した付加価値(改善価値)に基づき評価し、処遇、能力開発、異動・配置等に活用する。
昨日と同じことをやっているだけでは企業として生き残っていけません。新たな付加価値の創出が必須です。企業コストの六〇%は人件費です。合理的な方法で人件費を下げていくことは必要ですが、安易に人件費を下げることだけを選択するならば、辛うじて企業は生き延びるかもしれませんが、将来の日本社会はさらに暗いものとなるでしょう。
【エッセイ】「父母への思いと言語療法」学校法人文理佐藤学園理事長役員室長
西武学園文理中学高等学校副校長 飯塚 和夫 様
私の父は、秩父で織物業を営んでいました。朝鮮戦争の特需に沸いた「作れば売れた」の景気の頃を後年懐かしんでいました。問屋やお得意様との交渉や接待に、日々多くの老舗の料亭等が利用され、街も活気にあふれていました。
「秩父町 出はづれ来れば 機をり(はたおり)の うたごゑつづく 古りし家並に」と歌人の若山牧水が残しているように、「糸偏関係者」が闊歩していた昭和20年、30年代に、秩父から「丸敬」「白嶺」ブランドで秩父織物を全国に売り出していた父、敬雄。昭和三九年、私はまだ高校生。二階で勉強していた深夜、部屋に入ってきた母から「今、お父さんが倒れ、医者に診察に来てもらって、帰ったところだ」と聞かされました。その時のショックは、頭を殴られた激痛として感じました。一階では意識不明の父が横たわっていました。
数ヶ月間、慈恵医大に入院して治療に専念し、その間、母が経営を引き継ぎました。その後、父は、意識も戻って退院してきましたが、左半身に障害が残り、言葉も自由に話せなくなっていました。
生意気盛りの高校生の私は、柔道部長、生徒会長、勉強への挑戦等ストレスがたまっていたのかもしれませんが、しばしば父母にも反抗していたものです。後遺症の残る父が、思うように出ない言葉で私を叱ろうとしているのがわかりました。心の中では詫びているのですが、素直になれない自分がいました。わが子を、思ったように言葉に出して叱れない父のもどかしさは、どんなに悔しく辛かったろうと、今になって忸怩たる思いがあります。
私を企業経営の後継者にしたかった父ではありましたが、昭和四五年に大学を卒業して公立学校の教員になって初めての給料で、近所の寿司屋に招待した時には、涙を流して喜んでくれました。
昭和48年に再度の脳梗塞に襲われ他界しましたが、約10年間、今で言うリハビリの毎日でありました。懸命な母の訓練と心のケアは、よき理解者としてこの上なかったと感じています。草津節の「チョイナ、チョイナ」が「トイナ、トイナ」になってしまう父。かつて名筆と言われた文字も斜めになってしまっていました。私が病後の言語訓練の大切さ、必要性を認識したのはこの頃でありました。
今、少子高齢社会が進む日本。よりよい看護職、医療人が求められています。九校を文理佐藤学園の一つに、平成17年に設立された「西武学園医学技術専門学校 東京池袋校」があります。
ここでは、三年間「言語聴覚士」の国家試験合格に向けて、ホスピタリティ教育、技術習得のための錬磨など、高度な教育が行われています。昨年度は大学でも難関と言われる国家試験全員合格の実績を誇っています。多くの学生が使命感に燃え、楽しく充実した授業を受けています。
父のリハビリに付き合った母と妹。母は八年前に他界しましたが、父との二人三脚での仕事やリハビリが、結果として楽しかったと亡くなる寸前まで言っていました。二人で歩いた毎日の秩父神社への散歩や水撒きなど、懐かしげに目を輝かせて話していました。
言語療法とは、もちろん言語の発生訓練もありますが、その前提として心のふれあい、信頼感の醸成が必要不可欠なものとなります。多くの看護、介護、医療に携わる人としての基本的素養として求められています。
学校法人文理佐藤学園は、創立者の理念、思いを実現すべく教育にあたっていますが、その教育の根底にあるのが「ホスピタリティ」を旨とする人間教育にあり、これからの変化する社会に対応していく優れた人材を育成する教育を行っています。私はその中の一石になることを願い、充実という言葉とともに意欲的に過ごさせてもらっています。
【エッセイ】「『体験を経験化する』ということ」
有限会社セカンドステージ 代表取締役 鮒谷 周史 様
人は日々、大小さまざまな体験を積み、歳を重ねていきます。そう考えると「生きること=体験すること」といってもよいかもしれません。
個人的な話で恐縮ですが、私は過去20年、一日も欠かすことなく、毎日の出来事を振り返るため、日記を記し続けてきました。
また、これとは別に、インターネット上でもメールマガジンという形で約10年、こちらも一日も休まず、日刊で配信してきました。
その日一日、何を行い、誰とどのような会話をし、どんな本を読み、何を考え、感じたかを振り返り、省察する時間を確保することで「体験」を「経験」に変えていきたい、そんな風に思ってきたのです。
ここでいう「体験」とは、あることに時間を使った、という事実であり、「経験」とは「体験」を解釈し、咀嚼し、意味を与え、血肉化されたものと定義しています。
もう少し詳しくいうと、一つの体験が自分が過去生きてきた文脈に沿う形で、自分の内的世界と結び付けられたり、整合性をもたせられたとき、体験が経験に昇華されるものと認識しています。
新しい体験には、日常的に起きる小さな気づきや発見といったものから、自分の価値観を覆すようなインパクトを持つ人との出会いであったり、想定外の事態に巻き込まれるといった非日常の事態まで様々なものがあります。
これらは性質に応じて大なり小なり、それまでに構築してきた世界像に揺らぎをもたらします。
そんな体験をしたときに目をつむり、やり過ごすのではなく、過去の自分を保持しつつ、揺らぎを未来への推進力に転換する新たな解釈を都度、積極的に行うことで、人は成長できるものだと思うのです。
話は変わりますが、私たちは「考えたことを話したり書いたりする」のではなく、「話したり、書くことを通して思考が形成される」と聞いたことがあります。
確かにそのような場を通して思考が生まれる、というのは分かるような気がします。
とするならば、日々の体験について話す、書く、というシステムを日常的に作動させ、その力を借りることで、より大きく、より有用な文脈を自身の内側に構築することができるはず、という仮説も立てられそうです。
そして試行錯誤の末、過去と未来をつなぐ新たな解釈が生まれた瞬間、体験が血肉化され、経験に変わるのではないかと考えているのです。
この過程を「体験を経験化する」と勝手に名付けてみましたが、このプロセスを経ない体験は、自分の内的世界に新しい位置を与えられぬまま、「ただ体験したという事実」だけが残り、やがて遠い過去へと流れ去ってしまいそうです。
そうならぬよう、日々の体験を経験に昇華させ、過去から現在、そして未来をつなぐ一貫性を持った巨大な文脈を自らの内に形成したい、という願望を抱きつつ、毎日を生きています。
この一貫性が確固とした揺らぎのないものになると、その人は周囲から軸を持った人、ぶれない人、信念のある人、と呼ばれることになるのかもしれません。
反対に、いくら数多くの体験をしていても、その体験に意味付けが行われず、すなわち「知恵」に転換されていなければ、「ただ体験しただけで、なにも身についておらず」「学んでいるつもりで、なにも学べていない」ということになるのではないかと思われます。
さしあたり、私はあと20年か30年、ことによれば四〇年くらい、日記を書き続ければ、遅ればせながら揺らぎのない「不惑の境地」に至れるかもしれない、などと希望的観測を持ちながら、これからも倦まず弛まず日記を書き続けていくつもりです。
【労働法と労務管理の基礎(第8回)】
「より貧しくなる日本と東北の復興」弁護士 髙井 伸夫
ピーター・ドラッカーは、社会の未来を占う重要な要因とは人口構造の変化である旨、著作の中でたびたび指摘している。
2005年から人口減少社会に突入したわが国は、世界における存在感が今後さらに稀薄になることは否めないだろう。
統計によれば、2011年3月末時点の日本人の総人口は、前年同期比で過去最大の二六万人余も減って約1億2666万人となり(総務省)、2100年には日本の総人口は5000万人を割り込むと推計されている(国立社会保障・人口問題研究所)。
また、減少は人口だけの問題ではなく、日本の一世帯あたりの平均所得も95年よりほぼ減少し続け、2010年は前年比11万6千円減の538万円となり、これまで最高だった94年の664万2千円より約126万円もダウンして、1987年並みの水準となった(被災三県を除く/厚労省)。
納税者数も納税額も激減すれば、国全体も貧しくなるのは当然のことであり、多額の財政赤字と相俟って、日本はまさに存亡の危機に直面している。
このように、国全体が萎縮し、困窮状態にあるときには、万般にわたり選択と集中を旨とした施策をとらざるを得ない。
とすれば、復興庁の発足によってもなかなか進まない被災地の復興問題についても、補助金等の増額だけに頼ることは妥当ではない。
まずは、確認されているだけでも4万5000人近くにのぼる県外に転出した人口を呼び戻すために、地元での雇用創出の源泉となる民間企業の進出の素地を整えなければならない。
企業の存在意義は「顧客の創造」と「雇用の創出」にあるが、被災地でこの二点を充足する産業の候補としては、防災・防衛・環境の各分野が挙げられると思う。そして、農水産業については、かつての大分県の「一村一品運動」に倣い、「一村二品」「一村三品」運動を東北地方全域で展開するしかないだろう。
ただ、気がかりなのは東北地方の立地である。
これからの日本は、グローバル化がますます進展するなかで、社会も経済も米国中心からアジア中心へとシフトすると予測される現実を踏まえれば、東北は九州や四国等ほかの地域と比べて、中国・インド・ベトナム等々のアジア諸国から遠く、運送経費がかさむ。加えて、国際空港もなくインフラが十分に確立していない。こうした地域に拠点を置くことを企業が躊躇するのは当然で、東北が自然に産業集積地になるとは考えにくいのである。
「雇用なければ復興なし」との大前提からすれば、被災地の復興の見通しは極めて厳しいといわざるを得ないだろう。
【ティータイム】 弁護士 村田 浩一
「趣味は何ですか?」と聞かれたとき、ライフワークのような明確なものがあればよいのですが、色々手を出していると、これというものが思いつかずに回答に困ることもあります。
小学生時代から現在まで、ボーイスカウトの仲間や友人と行っている軽い登山はライフワークになるかもしれません。ジムは徐々に回数が減り、ここ半年くらい行った記憶がありません。楽器演奏も最近はできていません。野球は毎日報道をチェックし、プロの試合も観に行きます。宝塚や音楽のライブもたまに観に行きます。一日あれば国内旅行にも行けます。最近はソーシャルダンスのレッスンを受けています。一二月にはゴルフを始める予定です。
毎日の業務にも諸活動にも、全力で取り組み、これというものを見つけたいと思います。
【北京だより(31)】「医療技術の進歩と共に超高齢化社会へ突入」
中瑞岳華会計師事務所 高級経理 薄井 義之 様
このところアジアの平均寿命が全体的に延びている。最近では、日本が26年間守り続けた女性の長寿世界一の座を香港が追い越したようだ。ここ北京市の場合も、平均寿命は、女性83.17歳、男性79.16歳で、香港(女性86.7歳、男性80.5歳)や日本(女性85.9歳、男性79.44歳)に近づいてきている。中国全体で見ても平均寿命は73.5歳、2020年には77歳と予測され、建国した当時の中国の平均寿命が男女ともに40歳前後だったことから考えれば、この60年近くの医療衛生の進歩は目を見張るものがある。
医療衛生の進歩と共に経済の面においても急激な成長を遂げているこの国は、2010年にはGDPで日本を抜き世界第二位になり、同時に税収においても年間八兆元を超え、アメリカに次ぐ経済大国になった。しかし、様々な副作用も生じてきている。
特に「一人っ子政策」がもたらした人口構成の大きなゆがみは、この国の将来に暗い影を投げかけている。
中国は、2030年以降60歳以上の人口が3億人を超えるとも予想されており、日本と同じく超高齢化社会に突入するわけであるが、ここに来て政府も年金及び医療負担の財源を捻出する事に頭を痛めているようである。
最近では中国政府も年金受給の開始を男性60歳、女性50歳(一般労働者)、55歳(幹部職員)から弾力的に引き上げる方向に動いているようだが、このような一時的解決法ではなく、明るい未来を見つめつつ、1979年に始めた「一人っ子政策」の影響によるビヤ樽型の人口構成にメスを入れる時期が来たのではなかろうか?
【上海だより(31)】「上海歯科事情 その3」
日本東京都歯生会上海恒佳歯科診療所 劉 佳 様
中国の医療政策や市場志向は徐々に民間資本と外国資本に開放され、学術交流の国際化の深化に伴い、国際的に高い水準の歯科医師が増え、これからますます高い技術とハイテク材料が歯科医療に導入されます。
上海では、近年、歯科医療におけるサービス及びプロパガンダが著しく改善されました。また、歯科知識の普及によって人々の口腔ケア意識やライフスタイルの変化で、品質への要求が高まり、スケーリング(歯石取り)、ホワイトニング、インプラント、無痛治療、消毒、歯周病治療等といったホットな話題が注目され、現在は“歯科予防重視”の時代に移行しつつあります。
スケーリングは、上海において、最も知られている歯科ケアのひとつです。現在、上海の歯科医院において、単純なスケーリングに患者は満足できず、医師の施術技術の高さ、専門性、国際標準に準じる衛生的な消毒、快適な医療環境、また、治療中の痛み、不適施術による歯の破損がないこと等を求めています。
歯周病というのは、細菌の感染で歯の周囲、つまり歯茎や歯を支えている骨などが溶けていくといった破壊的な慢性疾患で、進行に伴い、歯がぐらぐらし、最後には、歯を失ってしまいます。この歯周病の最も重要な原因のひとつとして、歯石があげられます。近年、人々の生活スピードが早くなってきている大都市上海において、歯周病の発生率は非常に高く、中年の七〇パーセント以上が罹患しています。そのため上海の人々(上海に長期に駐在する外国人を含む)が歯周病を治す目的で歯科医院に通うことは多いのです。
【事務所行事報告】
平成24年 事務所年末講演会のご案内
当事務所恒例の年末講演会を、12月7日(金)午後六時から新装開業したパレスホテル東京にて開催いたします。本年は、中國飯店グループ代表取締役中条富造様ご一家他の方々にご演奏を、「奇跡のリンゴ」作りに成功されたことで著名な株式会社木村興農社代表取締役木村秋則様にご出講を賜ります。同封物①「年末講演会等のご案内」(兼申込書)をご確認のうえ、お申込み下さい。
講演のご依頼について
弊所では、企業内の幹部・社員様向け、企業のお取引先様向け、各種団体の会員様向け、等々の講演を積極的にお受けしております。ご依頼のテーマにより、弊所弁護士もしくはコンサルタントが担当させていただきますので、お気軽にご相談をお寄せください。
なお、顧問会社様は講演料につきまして考慮させていただきます。
平成24年 当事務所年末講演会のご案内
本年も、当事務所恒例の年末講演会を、12月7日(金)午後6時から新装開業したパレスホテル東京にて開催する予定です。コンサートの部では、中國飯店代表取締役中條富造様ご一家にバイオリン演奏を、講演の部では、「奇跡のリンゴ」の株式会社木村興農社代表取締役木村秋則様にご出講いただく予定です。詳細は10月発行「涼秋号」同封の案内にて追ってお知らせいたしますが、ぜひご予定おき下さいますようお願いいたします。
第12回 人事・労務実務セミナーのご報告
平成24年7月25日(水)、アルカディア市ヶ谷にて「非正規雇用についての法改正をにらんだ動き」という演題で岡芹健夫所長弁護士が講演させていただき、「タイムリーな内容で大変参考になった」等ご好評を賜りました。
Facebook、Twitterを始めました
当事務所ではFacebookページ(URL:https://www.facebook.com/takai.okazeri)とTwitter(ユーザー名・@Takai_Okazeri)の運用を始めました。主にホームページの更新情報等をお知らせしています。
メールマガジン『Management Law Letter Online』のご案内
この9月21日(金)より、メールマガジン『Management Law Letter Online』の配信を始めました。当事務所の活動の近況報告や所属弁護士による執筆・講演・セミナーのご案内、人事労務に関する最新情報をお伝えするとともに、事務所報『Management Law Letter』に掲載した論稿等を数回に分けて配信します。配信をご希望の方は、ホームページよりご登録ください。
キャリア権研究会
平成24年7月10日(火)午後7時より、第四回定例会が開催されました。本研究会のNPO法人化について、今後の課題等の意見交換がなされました。第五回は本年11月20日(火)開催です。
上海代表処活動報告
6月及び7月の二回にわたり、中国労働法を中心とするセミナーを実施し、各回共に30名を超える方々が出席されました。その後の懇親会もさまざまな背景を持つ皆様の参加を得て、大変意義深いものになりました。八月には、福島県上海事務所と顧問契約を締結し、同県ゆかりの企業の法的な支援をさせていただくことになりました。微力ながら福島県の皆様へのお力になれればと強く念じております。
以上
経営法務情報「Management Law Letter」は、顧問会社及び弊所のお客様に無料にて配布しております。
ご質問等ございましたら、下記までご連絡下さいますようお願い申し上げます。
問合わせ先担当:齊木(さいき)
tel 03-3230-2331