【巻頭言】
「個人の我慢と集団(組織)における常日頃のコミュニケーション」 所長弁護士 岡芹健夫

 【エッセイ】
・「レモン法と日本の政治家」
・・・・・・株式会社ぷらう 代表取締役社長 石川裕一 様

・「62歳までに、飛行機のライセンスを取る」
・・・・・・六興電気株式会社 代表執行役社長 長江洋一 様

 

【連載エッセイ】
「常夏バンコクの遠い夢-企業進出のお手伝いをして」
・・・・・・アリヤ・グループ日本支社 公認会計士 形部 直道 様

 

【労働法と労務管理の基礎(第7回)】「窮すれば通ず」弁護士 髙井伸夫

【ティータイム】 弁護士 秋月良子

【北京だより(27)】「月餅節? カード節?」

【上海だより(29)】「上海での22年を振り返り(完)」

【事務所行事報告】

・入所ご挨拶 弁護士 帯刀康一
・第8回 人事・労務実務セミナーのご報告
・北朝鮮訪問団とブラジル旅行のご案内
・キャリア権研究会「報告書」ご希望数のご報告
・上海代表処活動報告
・北京代表処活動報告
・年末年始休業のお知らせ

 

 

<同封物一覧>
(1)年末講演会等のご案内
(2)第9回 人事・労務実務セミナーのご案内
(3)リーダーシップセミナーのご報告
(4)論稿贈呈のご案内
(5)中国情報No.57

 

経営法務情報「Management Law Letter」は、顧問会社及び弊所のお客様に無料にて配布しております。ご質問等ございましたら、下記までご連絡下さいますようお願い申し上げます。

 

問合わせ先担当:門脇、梅澤 tel 03-3230-2331

【巻頭言】「個人の我慢と集団(組織)における常日頃のコミュニケーション」
 所長弁護士 岡芹健夫

 1 この夏の節電について

 福島第一原発の件もあり、今年の夏は大停電の危険も取沙汰されておりましたが、覚悟していたような連続した猛暑は見られず、意外と過ごしやすい夏となりました。このこともあり、冷房の消費電力は予想をかなり下回ったようで、心配されていた電力も、概ね日々の最大消費電力は発電可能電力の八〇%程度に抑えられているようです。一国民として、何よりのことと思っております。さて、このように心配された電力消費は、思いのほか、抑えられましたが、これは、右に述べた気候の影響もありますが、やはりなんといっても個々の国民、企業の節電の努力によるところが大きいのは言うまでもありません。殊に、家庭の消費電力は昨年の二割減という状態であり、個々の国民がいかに日本社会全体のことを考えて我慢を重ねているかがわかるところです。

 2 個人の我慢の集団維持への意味づけと、常日頃のコミュニケーション

 1で述べたような個々人の我慢は、最終的には、我慢をしていれば自分もししくは少なくとも自分の属している集団にとって意味があるとの認識がなくては、なかなか全体的かつ継続的に通用するものではありません。そのためには、我慢を強いる側が強いられる側に対して、その我慢の意味(集団への意味)を説明する必要がありますが、我慢を強いる際だけに、その我慢に関連する事象の説明を行うのでは、仮にその説明の内容が客観的な説得力を有していたとしても、受け手の心情に訴えるという主観的な説得力を持ち得ません。常日頃からのコミュニケーションの重要性は、集団内の隠れがちな問題点の発見という効用以外にも、重大事における集団構成員への説得力の保持ということにも意味があると考えます。換言すれば、日頃の比較的小さな事象もそれなりに説明してくれていればこそ、臨時の大きな事象についての説明にも素直に耳を傾けるようになる、ということです。

 もちろん、集団を統べる統括者(たとえば企業の経営者)には、集団構成員(たとえば社員)とは違った職責、責任があり、すべての情報を常時、構成員と共有することができないのは当然ですが、その職責、責任に支障がない程度のコミュニケーションは、中長期的にみた場合、かえってその集団、組織の円滑な運営の助けになるでしょう(無論、労働組合との過度に広範囲の事前協議約款など、企業経営の職責、責任にマイナスとなる場合もあり、そこはバランスが必要ですが)。

 厳しい時代になればなるほど、常日頃における集団での構成員とのコミュニケーションの重要性が増していくと思われます。

 以上

【人事労務の時言時論(第6回)】
「事業場外みなし労働時間制-最近の判例より」

 事業場外労働のみなし労働時間制とは、「労働者が労働時間の全部又は一部について、事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす」(労働基準法第三八条の二第一項本文)とされている制度のことです。この制度の適用において特に問題となるのが、「労働時間を算定し難いとき」とはいかなる場合を指すのかということです。近年、携帯電話等により会社への報告・連絡がより簡単に行えるようになったこともあり、判断に迷われる方も多いのではないかと思われます。ちなみに、厚生労働省の解釈例規では、「①何人かのグループで事業場外労働に従事する場合で、そのメンバーの中に労働時間の管理をする者がいる場合、②事業場外で業務に従事するが、無線やポケットベル等によって随時使用者の指示を受けながら労働している場合、③事業場において、訪問先、帰社時刻等当日の業務の具体的指示を受けたのち、事業場外で指示どおりに業務に従事し、その後事業場にもどる場合」については、みなし労働時間制の適用はないとされています(昭和63・1・1基発第1号)。

 このみなし労働時間制について、阪急トラベルサポートという、国内外の旅行ツアーに添乗員を派遣する派遣会社の事件がありますが、この会社では、昨年だけで三件(東京地裁平成22年5月11日、同年7月2日、同年9月29日。以下ではそれぞれ「五月判決」「七月判決」「九月判決」といいます。)も判決が出されており、少々珍しい事例です。

 ツアーといっても国内外、また移動手段もバス、電車、飛行機と様々ですが、大まかに言うと、この会社の添乗員は、事前に乗務内容についてマニュアルを付与されて業務内容についての指示がされ、ツアー自体については行程表が示されます。ツアー当日には、添乗員が起床及び出発を会社に連絡し、ツアー終了後には直帰するものの、後日添乗に関する報告書を提出して自己申告でツアーにおける行動について報告するよう求められていました。また、ツアー中は携帯電話を貸与され、随時連絡が取れるよう指示されていました。このような状態で、はたして「労働時間を算定し難いとき」に該当するのかが問題になりました。

 この点、五月判決では、国内ツアーの添乗員は、ツアー中に立ち寄る場所や順番についてある程度の裁量があるとしても、添乗報告書や携帯電話による確認等を行えば労働時間を把握することが社会通念上可能として、「労働時間を算定し難いとき」には該当しないと判断しました。

 これに対し、七月判決では、海外ツアーについてですが、行程表が大まかなものであり、現場の状況により観光する順番や帰りの飛行機が変更することもあったこと、携帯電話を貸与されて随時ツアー会社等からの指示があったわけでもないことから、「労働時間を算定し難いとき」に該当すると判断しました。もっとも、この判決では、国内の日帰りツアーとは事案が異なるとも言っており、海外と国内の違いが五月判決との違いとも思われました。

 ところが、その後に出された九月判決では、国内ツアーと海外ツアーの両方が問題になったのですが、いずれも、行程表は様々な事情により予定が変更されることが常態となっており、また移動中など、労働時間を把握することが煩瑣な時間帯もあるとして、「労働時間を算定し難いとき」に該当すると判断しました。

 これらの判決は現在高裁に係属中であり(なお、五月判決については九月一四日に地裁と同様の判断が下された模様です。)、その結論が待たれるところですが、実態に照らして、労働時間の把握がどの程度可能か、また現場での裁量がどの程度大きいかということが、判断に影響してくるのではないかと思います。今後、事業場外みなし労働制を適用する際に、ご参考にしていただければと思います。

 【エッセイ】 

・「レモン法と日本の政治家」株式会社ぷらう 代表取締役社長 石川裕一 様

・「62歳までに、飛行機のライセンスを取る」六興電気株式会社 代表執行役社長 長江洋一 様 

【連載エッセイ】

「常夏バンコクの遠い夢-企業進出のお手伝いをして」
アリヤ・グループ日本支社 公認会計士 形部 直道 様 

 【労働法と労務管理の基礎(第7回)】「窮すれば通ず」弁護士 高井伸夫 

 労務管理の目的を端的に言えば、労働者の能力を最大限活用して、企業の生産性の向上に結び付けることである。しかし、これは、「言うは易く行うは難し」で、永遠の課題である。ただ、確かにいえるのは、現場の奮闘の中から生まれた知恵なくして、組織の活性化はあり得ないということである。修羅場体験と産みの苦しみを経て得られた知恵こそが、個人と組織を未来に導く源なのである。

 いまは未来に対する展望が見えないために、個人が気概を失い、国も企業も元気が出ず、日本全体が閉塞感に覆われている。わたしたちが、いま真剣に考えなければならないのは、新しい成長・新しい創造に向けて、未来を作っていくことである。

 昔から「窮すれば通ず」というように、物事が究極まで行き詰まると、そこに新しい変化が生じて、新しい道が開けてくる。この諺の真理は、人間は困窮したときこそ苦労して人格を磨くべきで、そうした熟慮と努力があってこそ、あらゆる事態に精通できるということである。つまり、いまのような窮状にも屈せず、いかに前向きに生きるかということがわたしたちにとって大切なのである。

 ところで、人の活動は精神的エネルギーと身体的エネルギーの合体であり、労働力は、その担い手=労働者の人格と密接不可分なものである。しかも、労働は分業や協力のもとに行われるのが常であるから、労働者は、縦・横の人間関係の中でいろいろな感情をもち、態度をとるにいたる社会的存在であるといってよい。

 未曾有の災害に直面したことで、いまは人と人、企業と企業の関係が見直されているが、社会の未来のために心掛けるべきことは、「真・善・美」「夢・愛・誠」「義理・人情・規律」を追及し、さらにはこれら九つの要素に反しないかたちで物事の「合理化」を進めることであろう。

 この「合理化」こそ、組織を活性化するカギである。組織編成を合理化してコミュニケーションを円滑にしたり、下部の責任・権限を大きくして構成員が自主的に動きやすくすることによって、横の交流・相互協力が強まり、動態化につながる。また、組織の構成員間の交流を活発にすることで、仲間同士のチームワークが強化される。有効なリーダーシップは経営や職場の活性化を引き出すのに不可欠であるが、コミュニケーションは、そのための有効な手段である。そして、窮したときに未来を作り出す根本も、良好なコミュニケーションの中にあるのである。

※第一回髙井伸夫勉強会「人事・労務 真髄セミナー」(テーマ「賃金ダウン」)を10月6日に開催し、盛況でした。
※私のブログ「無用の用」では、4月1日よりの「東日本大震災」に続けて6月17日より「気」をテーマとして記事を投稿して参りましたが、10月7日をもっていったん終了し、14日更新分からは「病気」をテーマとして投稿する予定です。そのほか「交友録」「歴訪録」等も連載中です。

 【ティータイム】弁護士 秋月良子

 暑かった夏も終わり、特に朝晩は涼しくなり秋の気配を感じるようになりました。暑いのが苦手なので、冬に向かって寒くなっていく秋は、私のいちばん好きな季節です。

 私にとって秋といえば、紅葉です。京都に住んでいた学生時代は、嵐山や大原、東山など、毎年紅葉を見に出かけていました。その中で、特に私が好きで何度か足を運んでいるのが、嵐山にある常寂光寺です。ここは、密集した木々が紅葉している中を通り抜ける形で見ることができ、まさに圧巻の景色であります。

 東京には、桜の名所はたくさんありますが、紅葉はほとんど見かけません。日々の業務に追われる中、1年に1度は紅葉を見てリフレッシュしたいと思っていますが、今年は見に行けるでしょうか。

【北京だより(27)】 「月餅節? カード節?」

【上海だより(29)】 「上海での22年を振り返り(完)」

【事務所行事報告】

・入所ご挨拶 弁護士 帯刀康一

 近年の、労働法分野における事前規制の強化は、他の法分野における事後規制型へのシフトとは逆行している感があり、皆様におかれましてもその対応に苦慮されておられることは容易に想像することができます。
 私は、そういった厳しい法環境の下においても、皆様に合理的な解決案を提案できるよう誠心誠意努力していく所存でございます。今後とも末長く宜しくお願い申し上げます。

・第8回 人事・労務 実務セミナーのご報告

 第8回人事・労務 実務セミナーが7月27日?、アルカディア市ヶ谷にて開催され、「パワーハラスメントに関する法的リスクとその対応」という演題で、岡芹健夫所長弁護士が講演させていただき、好評のうちに終了いたしました。今後とも宜しくお願いいたします。

・北朝鮮訪問団とブラジル旅行のご案内

当事務所では、来年の4月28日(土)から5月5日(土)の日程で北朝鮮訪問団を予定し、妙香山と開城への訪問も企画しております。 また、9月29日(土)から10月12日(金)の日程でブラジルへの旅行を企画しております。経済の中心サンパウロ、リオデジャネイロを始めイグアスやアルゼンチンはブエノスアイレスも訪れる予定です。いずれも詳細は次号新春号にてご案内いたしますが、ご興味がおありの方は、是非ご一報下さい。

・キャリア権研究会「報告書」ご希望数のご報告

前号盛夏号の同封物にて、髙井主宰勉強会「キャリア権研究会」の「報告書」のご案内をいたしましたところ、三五名様よりご希望いただきました。ありがとうございました。

・上海代表処活動報告

7月14日(木)上海国際機場賓館において勉強会を開催し、弊処首席代表兼中国総代表弁護士が「『え!?こんなはずじゃなかったのに……orz』となる前に!学んでください契約書作成のツボ」と題して、契約書作成時に注意すべき基本事項について講演を行いました。中国上海での日本人弁護士の立場と同弁護士の駐在経験に基づく講演は、参加者の方々も頷かれることが多く、大変好評を得ました。おかげ様で、講演会後の懇親会も、参加者の経験談も披瀝されるなど大変盛り上がり、盛況理に終えることができました。

・北京代表処活動報告

8月23日(火)、24日(水)髙井伸夫会長が来燕、日頃より弊処の支援をいただいている関係先多数を訪問され、同時に関係先をお招きして食事会を開催しました。食事会では、ご出席いただいたお客様と営業活動、北京や中国全体の今日的社会事情など様々な話題をめぐり、盛り上がりました。今後も営業活動を積極的に行いたいと思っています。

同封物一覧

(1)年末講演会のご案内第 
(2)第9回「人事・労務実務セミナー」のご案内
(3)リーダーシップセミナーのご報告
(4)論稿贈呈のご案内
(5)中国情報№57

 

経営法務情報「Management Law Letter」は、顧問会社及び弊所のお客様に無料にて配布しております。
ご質問等ございましたら、下記までご連絡下さいますようお願い申し上げます。

問合わせ先担当:齊木(さいき)
tel 03-3230-2331