アウティングについては、本HP連載「企業とハラスメント」の第16回コラムで取り上げましたが、パワハラ防止指針では、パワハラに【該当すると考えられる例】として、「労働者の性的指向・性自認や病歴,不妊治療等の機微な個人情報について,当該労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露すること」を挙げており、アウティングが職場のパワハラに該当することが示されていました。
この点、裁判所のアウティングに対する立場は明確にはなっていませんでしたが、報道によりますと、東京高等裁判所は、昨年11月25日のH法科大学院事件判決において、アウティングは、「人格権ないしプライバシー権などを著しく侵害する許されない行為」と判断したとのことです。
裁判所がこのような判断を下すことはある程度想定の範囲内ではありましたが、現にこのような判断が示されたことについては、企業の経営者・管理職・人事労務担当者としては認識しておく必要があります。
同判決について、詳細がわかりましたら、「企業とハラスメント」のコラムでも取り上げたいと思います。
なお、拙著(共著)「知らないでは済まされない!LGBT実務対応Q&A」(民事法研究会)においても、LGBT関連の法的な問題となり得る様々な事項について解説していますので、ご興味のある方はお手に取って頂けますと幸いです。
また、職場におけるSOGIハラ、アウティングに関する対応については、労務事情(令和2年9月1日号 No.1410 株式会社産労総合研究所)において、「パワハラ防止法・パワハラ防止指針を踏まえた『職場のSOGIハラ』『アウティング』防止に関する措置義務の留意点」という記事にて解説をしていますので、併せてご参照ください。
以上
文責:弁護士 帯刀康一
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