当職は、パワハラ防止法が施行される以前から、経営者・管理職向けのパワハラ防止研修の講師として経営者や管理職の皆様の前で話をする機会を頂いておりました。

  当職が企業からオファーを受けてパワハラ防止研修をさせて頂く場合、特に、はじめて一緒に仕事をさせて頂く企業の場合、社風や、過去のパワハラ事例、社内で起こりうるパワハラの内容・要因等について事前にヒアリングを行っております。

  そのなかで、ここ2、3年は、パワハラ防止研修を受ける経営者・管理職において、当該研修を受ける際の心構えが二極化しているなと感じることがあります。

  まず一つ目のタイプは、そもそも自分はパワハラをしていない、自分の部下への言動はパワハラではないと信じている(パワハラが怖くて管理職なんてやってられるかと考えている方も含みます)方々です。

  このような方々は、講師である私が入ってきたときの研修室での態度や、講師である私に対する体の向き(ヘソの向き)などで、かなりの確度でわかります。

  他方で、もう一つのタイプは、部下に対して業務指導をしてパワハラと言われたらどうしようと不安に感じている方々です。

  このような方達も、上記の態度や、終了後の個別質問タイムでの質問内容でわかることが多いです。

  したがって、経営者・管理職向けの研修を行う場合は、当該企業の企業風土などを把握したうえで、上記のようにパワハラについて対極的な認識をもっている方々が混在しているということを認識して行う必要があります。

  上記のような対極的な認識を持っている方々が一つの場所で同じ研修を受けるわけですが、そのどちらのタイプの経営者・管理職にとってもパワハラ防止の理解が深まるような研修を行わなければ、パワハラ研修の実効性は向上しません。

  そのためのノウハウというのはもちろんあるのですが、企業風土等によってもアドバイスが異なりうる微妙な問題でもあるので、一言で言い表すことは非常に難しいところです。

  パワハラ防止研修の実効性を上げる非常に重要なポイントですので、パワハラ防止研修をお考えの人事労務担当者がいらっしゃいましたら、当職までお気軽にお問い合わせ頂ければと存じます。

以上

                             文責:弁護士 帯刀康一

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