1.職場のスメルハラスメント

  スメルハラスメント(スメハラ)は法律上の定義がある訳ではありませんが、ハラスメントの一種で、においにより周囲を不快にさせる嫌がらせのことを指します。

  これは、社会生活のどの場面でも問題となり得るハラスメントですが、職場で労働者からスメハラで困っているといった申告がなされるなどした場合には、職場におけるスメハラ問題として、使用者として職場環境配慮義務等の観点から、一定の対応をしなければならなくなる可能性があります。

 

2.職場のスメハラへの対応

  管理職Yが、社員Xから、社員Bの体臭(口臭)がきつくて業務に集中できないので何とかして欲しいとの相談を受けたというケースを考えてみましょう。

  これがセクハラ、マタハラ、パワハラといった、法律において当該ハラスメントを防止するための措置義務等を使用者が負っているハラスメントであれば、管理職Yとしても人事部と連携しながら各ハラスメントの防止指針等に沿った対応を行えばよいことになるため、どのような対応をすべきかという局面で悩む必要はあまりありません。

  しかし、人の体臭(口臭)の原因は、細かな点まで掘り下げれば千差万別といっても過言ではなく、さらに使用者としての対応に悩むのは、本人は非常に体臭(口臭)に気を遣ってケアもしているにもかかわらず、それが功を奏しておらず、周囲に悪影響を与えている可能性があることや、本人が全く気付いていないというケースもありえるということです。

  体の臭いという非常にセンシィティブな問題であるため、本人に対して何らかのアプローチをするにしても常に本人の人格権との衝突の可能性があります。

  このように、職場のスメハラの問題は、職場においてある労働者の体臭等により現実に嫌な思いをしている労働者がいる以上は、使用者としては職場環境配慮義務の観点から何らかの対応をせざるを得ないのですが、他方で、体臭等があるとされている労働者の人格権にも配慮しなければなりません。

  実務上は、この相反する要請をどう調整しながら問題解決に導いていくのかを考えなければならない訳ですが、その対応方法はケースにより区々とならざるを得ないことが多く、そのことが職場のスメハラ対応を非常に難しいものにしています。

 以上

                             文責:弁護士 帯刀康一

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