飲食店で外国人労働者を雇用したいと考えている場合に注意すべき点はなにか。

様々な業界で人材不足に陥っていますが、特に、飲食業界では、人材難が叫ばれているところです。このため、ご質問のように、外国人を雇用する機会、例えば、調理やサービス(ソムリエ等)スタッフとして雇用する機会が増えていくことになると思います。そこで、今回は、雇用主が外国人を雇用する際に注意すべき点について、説明します。

さて、実際に雇用主が外国人を雇用する際には、現在、当該外国人が日本に居住しているのか、日本国外に居住しているのかによって検討する内容は変わることとなります。

 

1.現在、日本に在留(居住)している外国人を雇用する場合

まず、雇用主は、当該外国人から在留カードを提示してもらい、確認する必要があります。

 

  • 予定されている職務内容が当該在留資格で就労可能かのチェック

 

ア 在留資格が「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」である場合

上記の場合には、在留資格との関係で、例示の業種に限らず、就労してもらうことが可能ですので、調理で採用してもサービスで採用しても問題はありません。

 

イ 在留資格が「技能」である場合

予定されている職務内容によって、必要な在留資格は変わってきます。上記の例で考えるとすると、必要な在留資格は、例えば、「技能」であることが考えられます。なお、場合によっては「特定技能」についても考えられるところですので、法務省ホームページ内「外国人材の受入れ制度に係るQ&A」のQ7に対するA等を踏まえてご検討ください。

ただし、例えば「技能」の在留資格といっても、予定されている職務との関係で就労が可能か否かの判断は容易でなく、不安に思われることもあるでしょうから、当該外国人に、当該外国人の住居地を管轄する地方入国管理官署に「就労資格証明書」(出入国管理及び難民認定法(以下、「入管法」)第19条の2)の交付申請を行ってもらい、その証明書をもって確認するとよいでしょう。

なお、この証明書により就労が可能と判明したとしても、当該外国人本人により、「契約機関に関する届出」(同条の16第2号)または「活動機関に関する届出」(同条第1号)が必要になりますのでご留意ください。

 

ウ 在留資格が「ア」及び「イ」以外の場合

この場合、例えば、在留資格が非就労資格である「留学」の学生や「家族滞在」のような方を雇用する際には、当該外国人に、住居地の管轄の入国管理局にて、「資格外活動許可証」(同法第19条第2項)を取得させる必要があります。

他方で、本件のご質問のようなケースで、当該外国人が取得している元々の在留資格が「技能」以外の就労資格であり、今回を機に、転職するような場合には、「在留資格変更許可証」(同法第20条)を取得させる必要があります(兼業する場合には、「資格外活動許可証」を取得してもらうことになります。なお、「ア」の在留資格の場合には特に制限なく就労できますので、手続きは不要です。)。

この「在留資格変更許可証」の取得にあたっては、入国管理局が、当該在留資格として認めるに足りる実績が必要か否か等を判断することになるため、雇用主は、当該外国人から、履歴書等をはじめとした職務に関係する資料を収集し、入国管理局に対して提出する必要があります。

以上に従い、当該外国人が上記許可証を取得して初めて、就労可能になります。

 

  • その他の注意点

 

当該外国人の労務提供先が日本である場合には、原則的には、適用される法律は日本の労働関連法令となります(仮に、労務提供先が海外となる場合には、準拠法の合意とは無関係に、その地の法律が適用される可能性があります(通則法第12条))。このため、特段の定めがない限りは、日本人と同様に取り扱っていくこととなりますが、雇入れ時に、その者の雇用状況をハローワークに届け出る必要がある(労働施策総合推進法28条1項)等注意すべきことがあります(参照:「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」第五 外国人労働者の雇用状況の届出(厚生労働省) )。

他にも、例えば、個々で日本語の習熟度に差があることを踏まえて、雇用契約書、労働条件通知書、就業規則も、当該外国人の母国語でも作成しておくことが望ましいところです(この点に関して、上記指針  第四 外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が講ずべき必要な措置 も参照のこと)。

 

2.現在、日本国外に在留(居住)している外国人を雇用する場合

この場合は「1」とは異なり、当該外国人には「ビザ」(入管法第6条第1項)及び「在留資格認定証明書」(同法第7条の2)をそれぞれ取得してもらう必要がありますが、実務上は、雇用主が「在留資格認定証明書」を取得したうえで、当該外国人に対してその証明書を送付し、当該外国人が「ビザ」申請時に、その証明書も併せて、在外日本大使館や領事館に提出することが一般的です。

このため、雇用主は当該外国人の「ビザ」申請に先立ち、「在留資格認定証明書」の交付申請をすることとなりますが、当該申請から許可が下りるまでに数カ月かかることもありますので(法務省のホームページによれば「標準処理期間」は「1か月~3か月」とあります。)、それを見越して準備する必要があります(なお、「在留資格認定証明書」の交付申請については、法務省ホームページ記載の手続 に基づくこととなります。)。また、「在留資格認定証明書」の有効期間は3か月以内なので、「ビザ」申請とその後の日本国内への上陸はその期間内に行わせる必要がありますので、ご注意ください。

以上に従い、「ビザ」及び「在留資格認定証明書」が交付された場合には、当該外国人は晴れて日本へ入国することができ、就労することができます。

当該外国人が入国した後についての注意点は、上述の「その他の注意点」と同様です。

 

3.在留資格の申請に関する入国管理局の回答等

法務省入国管理局が上記「1」及び「2」に関連する「就労資格の在留諸申請に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)」を作成しておりますので、適宜ご参照ください。

以上