2018年4月に開校する千葉県柏市の公立中学校で、LGBTなど性的マイノリティーの生徒への配慮等の観点から、(戸籍上の)性別に関係なく、生徒が着たい制服を自由に選べるようにしたとの報道がありました。
その結果、生徒は、スラックス(ズボン)やスカート、リボンやネクタイなどを自由に選べるようになるとのことです。
学校における制服の問題について、特にトランスジェンダーの児童は、不登校等の問題を引き起こす要因となっているのではないかということも指摘されていたところであり、文科省から発表された「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」(平成27年4月30日 27文科初児生第3号)の別紙の「性同一性障害に係る児童生徒に対する学校における支援の事例」においても、「服装」の項目にて、「・自認する性別の制服・衣服や、体操着の着用を認める。」とされていたところです。
したがって、今後はこのような取り組みが広がっていくのではないかと思います。
企業における制服については、近時は減少傾向かと思いますが、現時点においても、制服の着用を義務づけている企業も多いと思います。
業種によっては制服の着用により当該企業に所属する従業員であることを顧客等に認識してもらう必要性があったり、制服を着用すること自体に当該企業が提供するサービスの付加価値を上昇させているケースなどもあるため、制服の着用が業務遂行上重要な意義を有していることも多く、制服自体を廃止することが現実的ではないことも多いと思います。
しかし、特に、制服が男性用・女性用の2つしか存在しない場合に、今後、従業員との間でトラブルになるケースも出てくることが想定されます。
したがって、制服を導入している企業としては、コストの問題や、上述のような制服自体に付加価値があるようなケースもあり、対応が難しい面もあると思いますが、上記公立中学校の対応を参考に、自社の制服について検討しておくことも予防法務の観点からは有用であると思います。