先日、アメリカ・ニューヨークの地下鉄やバスのアナウンスについて、伝統的な「レディース&ジェントルマン」という呼びかけを廃止し、代わりに「ジェンダー・ニュートラル」な用語に置き換えたとの報道がありました。

置き換えた後のアナウンスでは、「お客様(passengers)」・「乗客の方々(riders)」・「皆さん(everyone)」といった用語が使用されているようです。

「レディース&ジェントルマン」というアナウンスが日本で使用されることはほとんどないと思いますが、法的な観点からすると、現在、日本において、企業がその経済活動の際に「レディース&ジェントルマン」というアナウンスを使用したからといって、それが直ちに不法行為に該当するといったことにはならないと思います。

しかし、ここ最近、性的指向・性自認に関する差別的取扱い等については、マスメディアなどでも厳しい目が向けられるようになってきています。

そうした現状からすると、企業としては、例えば広告一つとってみても、仮に今まで伝統的に使用されてきた表現であったとしても、その表現が性的指向・性自認に関する差別的表現になっていないかといった視点でチェックするという姿勢を持っておくことが必要になります。

仮に、企業としてそのような視点によるチェックを怠っていた場合、思わぬところで企業価値を損なう結果となる事態が生じる可能性があることには留意しておく必要があると言えるでしょう。