以前から業務上のミスが多く、注意してもなかなか改善されない社員がおり、発達障害ではないかと疑っています。本人がそれを認識していない場合、病院で受診させたほうがよいでしょうか。あるいは、業務命令として専門医への受診を命じることは問題ですか。また、同僚とのコミュニケーションがうまくいかない原因とも考えられることから、周囲の理解・協力を得るために、職場でどのように説明・意識啓発をすればよいかも併せてご教示ください。

1 発達障害について

発達障害については、発達障害のある人を社会全体で理解して支援を行っていくために、平成17(2005)年4月から発達障害者支援法が施行され(平成28〔2016〕年8月改正法施行)、同法2条において、「発達障害」は「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、中置欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義されています。

もっとも、発達障害には、さまざまなタイプの特性があり、障害ごとの特徴が、それぞれ少しずつ重なりあっている場合も多く、また年齢や環境によっても目立つ症状が異なってくるため、実際には障害の種類を明確に分けて診断することは大変むずかしいとされています(以上、厚生労働省HP「発達障害の理解のために」参照)。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/hattatsu/dl/01.pdf

 

※ 発達障害情報・支援センター

http://www.rehab.go.jp/ddis/index.php?action=pages_view_main

 

(次回に続く)

 

労務行政研究所「労務行政」第3856号164頁掲載「相談室Q&A」(帯刀康一)の冒頭3分の1ほどに加筆補正のうえ転載