ンタルヘルスの不調により労災認定されるケースが増えていると聞いているが、どのような場合に認定されることが多いのか、教えて下さい

【メンタルヘルスの不調に関する労災認定の増加】

ご質問にもあるように、近時、メンタルヘルスの不調による労災認定が急速に増えています。数字をあげれば、平成11年度では、メンタルヘルスの不調(精神疾患)による労災申請および労災認定は、おのおの、155件、14件であったところですが、平成23年度では、各々、1272件、325件となっており、簡単にいえば、約10年間で、認定数は23倍になっているところです。

【労災認定の一般的基準】

メンタルヘルスの不調が発症する過程については、いまだ解明されていないところが少なくなく、メンタルヘルスの不調が業務上の原因によるもの(労災)か否かの判断は困難なところが少なくありませんが、一般的な基準として、厚生労働省より、「心理的負荷による精神障害等の認定基準について」(平成23年12月26日基発1226第1号)があります。

簡略すれば、多くの場合、発症のおおむね6ヶ月前に精神障害を発症させるおそれのある業務による強度の心理的負荷が認められること、業務以外の心理的負荷および個人的要因によりその精神障害を発症したことは認められないこと、が要件となります。

【心理的負荷が大きいと認められる場合(具体例)】

具体的に、どのような場合に心理的負荷が大きいと解されるかは、事案全体を総合考慮して判断されるのですが、裁判例においては、長時間労働等の過重労働によるうつ病罹患の例(最決平成12・3・24労判779号13頁・電通事件、東京高判平成21・7・28労判990号50頁・アテスト〔ニコン熊谷製作所〕事件、福岡高判平成19・10・25労判955号59頁・山田製作所〔うつ病自殺〕事件)、新入社員のトラブル遭遇による罹患の例(神戸地判平成8・4・26労判695号31頁・加古川労基署長〔神戸製鉄所〕事件)、天災への対応不調により罹患した例(和歌山地判平成14・2・19労判826号67頁・みくまの農協〔新宮農協〕事件)などがみられます。

これらに加え、近時、増加しているのが、いわゆる、職場内のいじめ(パワーハラスメント)による精神障害罹患の例でして、例えば直属上司からの発言を原因とする精神障害発症を認定した例(東京地判平成19・10・15労判950号5頁・国・静岡労基署長(日研化学)事件)、上司の感情的叱責等を原因とする精神障害発症を認定した例(名古屋高判平成19・10・31労判954号31頁・名古屋南労基署長(中部電力)事件)が出てきています。

(「現代型問題社員対策の手引〔第4版〕-生産性向上のための人事措置の実務-」 民事法研究会より 一部加筆しています)

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