職場におけるメンタルヘルス問題の概要を教えてください

最近、心の病の問題は社会問題化しています。特に、会社員のうつ病自殺は新聞等で特集が組まれるほどです。

うつ病の原因にはいろいろなものがあるようですが、法的な紛争になった会社員のうつ病自殺に限って申し上げれば、加重とされる労働が原因とされることが多くなってきています。

脳血管疾患や心臓疾患などによって会社員が死亡したケースについては、平成10年頃より長時間労働と死亡との因果関係を認める判例が現れ、その後の労災実務では、脳血管疾患や心臓疾患によって死亡した場合は、まずは長時間労働の有無を見るという方法が定着しています。このことは、うつ病自殺でも同じで、長時間労働の後に自殺したケースの多くは労災事故と認定されています。 このことを予防の観点から申し上げれば、日常の労務管理においては、個々の社員の長時間労働にも注意を払わなければならないということになります。また、慣れていない業務(特に配転後とか)や、切迫性のある業務(納期が短い仕事とか)も事案によっては、加重労働と認定される材料となることが見られますので注意が必要です。

(「現代型問題社員対策の手引〔第4版〕-生産性向上のための人事措置の実務-」 民事法研究会より 一部加筆しています)

民事法研究会HPはこちら