レクリエーション(罰ゲーム)がパワハラになる場合があるのでしょうか

バラエティー番組などの影響もあってか、社内のレクリエーションが行われる際に、レクリエーションを盛り上げ、社員間のコミュニケーションをより円滑にすることなどを目的として、罰ゲームなどが行われることもあると思います。

このようなレクリエーションの一貫として行われる罰ゲームについて、罰ゲームを行う従業員が、自由意思に基づいて行ったのであれば、特段パワハラとして違法とされることはないように思われます。

しかし、社内のレクリエーションの一貫として実施される罰ゲームについては、後々、人事上の不利益な措置がなされるのではないかということを危惧して、本当はやりたくないが、事実上拒否することができず、渋々罰ゲームを行っているというケースも存するものと思われます。

特に、業務との関連が薄い罰ゲームであり、従業員に相当程度の羞恥心・屈辱感等などの精神的負担を与える可能性がある罰ゲームについては、従業員に対して事前に任意に罰ゲームを行うか否かを確認し、また罰ゲームを拒否しても人事上の不利益な措置を行わないといった配慮をするなどして、従業員が罰ゲームを拒否することも可能であったが、任意で罰ゲームに参加したと言える状況を担保しておく必要があると言えます。

裁判例において、化粧品等の販売等を目的とする会社にて、出席が義務付けられていた研修会において、上司(Y1ら)が、美容部員として勤務していた部下に対して、その意思を確認することなく販売目標個数未達成の罰ゲームとして、頭部にウサギの耳の形をしたカチューシャをつける等した易者のコスチューム(以下「本件コスチューム」という)を着用して研修会に参加するよう求め、本件コスチュームを着用したスライドが研修会にて投影されるなどした事案において、「被告Y1、被告Y2及び被告Y3の行為は、単にXに対して勤務時間中の本件コスチュームの着用を求めたことにとどまらず、Xのみではなくその他未達であった3名と共にではあるものの、本件研修会の出席がXに義務づけられており、その際にXの本件コスチューム着用が予定されていながら、それについてのXの意思を確認することもなされず、Xが本件コスチュームを着用することについて予想したり、覚悟したりする機会のない状況の下、同被告らが、職務上の立場に基づき、本件研修会開催日の終日にわたってXに本件コスチュームの着用を求めたものであり、これを前提にすると、たとえ任意であったことを前提としてもXがその場でこれを拒否することは非常に困難であったというべきで、・・・・、本件研修会が1日であったこと、Xが本件コスチュームの着用を明示的に拒否していないことなどを考慮しても、目的が正当なものであったとしても、もはや社会通念上正当な職務行為であるとはいえず、Xに心理的負荷を過度に負わせる行為であるといわざるを得ず、違法性を有し、・・・・、不法行為に該当するというべきである。」と判示し、損害賠償が認められているので、留意が必要です(大分地判平25.2.20・K化粧品販売事件)。

以上