近年の労働組合活動における合同労組の比重と意味

我が国の労働組合の推定組織率は、一貫して低下傾向にあり、平成元年には推定組織率25.9%、労働組合員数1222万7千人を数えていましたが、平成26年では、同17.5%、同984万9千人にまで減少しています(厚生労働省「労働組合基礎調査」)。ストライキなどの集団的な労働争議も激減し、例えば昭和49年には争議行為を伴う争議が年間1万件程度あったところ、平成21年には100件を割り込み、同25年には71件になっています(同省「労働争議統計調査の概況」)。

こうした中で、労働委員会の調整事件において、所謂「合同労組」の関与する事件の割合は着実に増え、中でも目立つものが、労働者が何らかの不利益(解雇、賃下げ等など)を受けた後になって労働組合に駆け込み、その上で労働委員会に申し立てる事件(「駆け込み式労組紛争」とでもいうべきか)です。紛争が激化することが多いのが、このような「合同労組」に駆け込み加入した場合の案件です。「労働委員会年報」によれば、「合同労組」が関与する「駆け込み訴え事件」は、従前は年100件程度であったものが、平成21年には269件と増加し、近年は件数的には落ち着いているものの、筆者の体験によっても、こうした駆け込み式労組紛争が増加しています。

この「合同労組」の性格を概論すれば、職種や産業の別を問わず、労働者を組織した「一般組合」です(これと対極にあるのが、同一企業に所属する労働者により組織された「企業別組合」であり、我が国では多数の労働組合がこれに当たります。)。

次稿では、この「合同労組」の意味、特性について論述します。

(平成25年7月1日付「労働新聞」・連載「どう向き合う!-合同労組対応の基本原則-」第1回(岡芹健夫)前半要旨を加筆補正のうえ転載)