当社の社員が休日に取引先との間で接待ゴルフを行ったのですが、その接待ゴルフについて、休日出勤として認めなければならないのでしょうか。

接待ゴルフへの不参加に、就業規則上の制裁等の不利益が予定されており、事実上接待ゴルフへの参加が強制されている場合には休日出勤と認めなければならない。また、事実上参加が強制されていない場合でも、当該接待ゴルフが事業運営上緊要なものであって、事業主の積極的特命があった場合には休日出勤と認められる余地がある。

 

1 労働時間とは

休日に取引先との間で行った接待ゴルフについて休日出勤扱いをすべきか否かということは、すなわち、当該接待ゴルフが労働時間と認められるか否かの問題だと考えられます。

労働時間とは、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるもの」とされています(三菱重工業長崎造船所[一次訴訟・会社側上告]事件 最判平成12年3月9日労判778号11頁)。

また、客観的に見て使用者の指揮命令下に置かれていると評価されるかどうかは、労働者の行為が使用者から義務づけられ、又はこれを余儀なくされていた等の状況の有無等から、個別具体的に判断されることとなります(労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン。上記判例も同趣旨)。

したがってご質問については、接待ゴルフへの参加が使用者から義務づけられ、または、これを余儀なくされていたかどうかにより、労働時間性を判断することになります。

 

2 接待ゴルフの労働時間性

上記観点から、接待ゴルフへの不参加に、就業規則上の制裁等の不利益が予定されており、事実上接待ゴルフへの参加が強制されている場合には、接待ゴルフへの参加が使用者から義務づけられ、または、これを余儀なくされていたと評価され、労働時間と認められることになると考えられます(昭和26年1月20日基収2875、平成11年3月31日基発168参照)。

もっとも、接待ゴルフは、一般的に会社が出席を強制するようなものではなく、各社員が、取引先との間で、親睦を深め、関係を良好にするために自主的に、ないし、取引先からの誘いを任意の判断で応諾して参加するものと考えられます。

そこで、出席が強制されていない接待ゴルフの労働時間性を判断するうえで、参考となる裁判例として、高崎労基署長事件(前橋地判昭和50年6月24日労判230号26頁)があります。当該裁判例は、労災認定の場面ですが、出席が強制されていない親睦目的のゴルフコンペの業務性につき、ゴルフコンペへの出席が「事業運営上緊要なものと認められ、かつ事業主の積極的特命によつてなされたと認められるものでなければならない」と判示しています。

つまり、同裁判例においては、出席が強制されていない親睦目的のゴルフコンペであっても、①事業運営上緊要なものと認められ、②事業主の積極的特命によってなされたものであれば業務性が認められることになります。

前述三菱重工業長崎造船所事件等の判例・裁判例においても、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価する際、業務性を考慮要素として判断しており(菅野和夫「労働法 第12版[弘文堂、2019年]」497頁参照。水町優一郎「詳解労働法[東京大学出版会、2019年]」648頁参照)、少なくとも、労働時間制の判断に際しては、業務性の有無は大きな影響を及ぼすことになると考えられます。

したがって、接待ゴルフが労働時間として認められる否かについては、個別の接待ゴルフの内容から、上記①及び②を満たすかどうかを判断することになり、①及び②を満たすのであれば、業務性が認められ、休日に取引先との間で行われた接待ゴルフへの参加が、使用者から義務づけられ、または、これを余儀なくされていたと判断される可能性があります。

 

3 具体的検討

上記の観点を本問について検討すると、①については、例えば、接待ゴルフを行う取引先が会社の重要な取引先である場合や、新規事業を行うために当該取引先との継続的な取引関係が必須である場合等であって、当該ゴルフコンペで実際に大きな商談がなされた等の事情が考えられます。

また、②については、当該社員に、接待ゴルフに際し、ゴルフ場の選定、取引先の方の送迎の手配等を指示していた場合や、取引先との人間関係からいって、当該重要な取引先との関係を円滑にするためには当該社員しか目的を達し得ない場合等が考えられます。

以上