高井・岡芹法律事務所 労働問題、人事労務を主とする会社側・使用者側弁護士事務所

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  • 【海外拠点No.3 派遣する人は決まりました。さて次は…】
2018.10.01
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【海外拠点No.3 派遣する人は決まりました。さて次は…】

カテゴリー海外室コラム

これまで、海外進出を決定し、送り出す人の人選まで考えました。
今回は、次に、本社でなすべきことを考えましょう。

〇本社の受皿組織を作る。

次に必要なことは何でしょうか。
それは本社に受け皿組織を作ることです。海外に派遣される人にとって、本部に受け皿がないことほど心細いことはありません。海外拠点と同程度に重要な組織だと申せます。

この時、留意すべきは、海外組織が上位であるとか、本部組織が上位であるとかの、議論は無用であると言うことです。組織運営の為の権限付与は必要ですが、「上下」の意識ではなく、どこまでも「機能発揮」のための権限として考えるべきです。

尚、時間に追われて、取り敢えずスタートするようなこともあると思いますが、常に組織や権限の見直しを怠らないようにしましょう。

ある経営者の名言があります。「組織が10年、当初のままの姿で維持できると言うのは、幻想だ。もし、10年そのままに維持できたのなら、その組織は発展しなかったと言うことに他ならない」と。

〇海外拠点の規定(ルール)を作る。

海外拠点を作れば、次にルールが必要です。

便宜的に、最初のカテゴリーを「海外派遣職員取扱基準」としましょう。これは、以下のような内容を含みます。

本人単身赴任時の決まり、家族帯同時の決まり、社宅取扱の決まり、現地医療保険取扱いの決まり、現地での医療検診の決まり、現地で医療検診が受けがたい時の任地外検診の決まり、赴任・帰任時の家財運送の決まり、赴任・帰任時の航空等級の決まり、海外出張時の日当・食費・宿泊費の決まり、日本出張時の決まり、休暇取得の決まり、公用車の私用転用の決まり、など多岐にわたります。

次のカテゴリーを「海外事務権限及び取扱規定」としましょう。これには次のような内容を含みます。

業務上の契約の権限、経費支払権限、職員雇用・解雇権限、職員評価権限、職員昇給権限、職員権限付与権限、等々です。

補足します。
「業務権限」とは、仕事そのものに付随して生じる様々な関連業務の権限を言います。それが、現地駐在の職員に青天井で認められているのなら、それもルールです。迷うことなく、そのルールを順守すればよいことです。

ただし、ルールの鉄則である「決裁→文書化→公開」は必要です。規定とするからこそ必要な動作です。これにより、組織の透明性は格段に向上します。

一方、「まあ、何かあったら相談してくれるだろう。」と言う運用はルールではありません。

ルール策定は、本社の総務・人事部門で行っても差支えないでしょう。国内との整合性を保つことも大切です。

そんなに言われても分からないと言う声が聞こえてきそうです。
対応は簡単です。企業の内部規定は、「不磨の大典」ではありません。仕事はいつも藪から棒に生じます。出来ることを出来る範囲で策定します。

そして、最初の数年は、毎年、見直しましょう。見直し時に、比較の基準が必要であれば、「比較三原則」を考慮します。

「比較三原則」とは、同業者比較、同地域比較、同職階比較、の3比較です。

同業者とは、「類似の業種間、例えば製造業なら似たような物の製造に携わっている製造業で比較する」と言う趣旨です。同地域とは、「ニューヨークならニューヨークで比較する」と言う趣旨です。同職階とは、「現地法人の課長クラスなら、同じく課長クラスで比較する」と言う意味です。

ここは会社の哲学に関するところでもありますが、手掛かりがなければ、「比較三原則」は指針として、役に立ちます。

〇受皿組織の陣容を決める。

陣容は、最初は一人で構いません。現地当局の規制に人数があれば、それを尊重します。異例扱いをするのなら、現地当局にそれを当面は認めることを、念押ししましょう。

その後は、業務の展開に応じて、対応すればよろしいでしょう。
ただ、経営者は本部に担当者を置いただけで、任せっきりでは、折角の受け皿組織の意味がありません。その担当者は情報の宝庫です。

担当者の所感に耳を傾けましょう。

併せて、本社の担当者が、現地の主席と同体となってしまい、健全な批判力が喪失しないよう、目配りが必要です。さほど悪意はなくとも、「まあ、いいか、これくらい。」現象が起こる可能性はあります。

〇あなたが海外の受け皿組織を担当する場合。

簡便化して言えば、以下の通りです。
・現地に任せきりにしないこと。
・現地からの情報を検証すること。
・相互の牽制機能を発揮すること。
・経営者に対して、情報発信を続けること。

本部に牽制能力がないと、海外で起こっていることが分からなくなります。そして、牽制能力の向上のためには、観察を怠らないことです。何より担当者が把握していたにも拘わらず、その情報が、経営者に伝わらないことほど残念なことはありません。発信の仕方は、組織や経営者の運営方針で変わります。柔軟に対応して、本来の目的を見失わないことです。

ともに成長して、海外に進出してよかったと思われる日を目指していくには、厳しさも必要です。

そして、不快な情報であればあるほど、経営者は決断を迫られます。経営者の覚悟が問われる所以でもあります。

〇社内に人材が不足していると感じられる場合。

迷わず、追加的な人材を採用します。
助言が必要な場合、弁護士事務所や監査法人も役に立ちます。
単に情報収集拠点でなく、金銭が絡む場合、内部監査体制に加えて外部の監査を仰ぐことも必要です。

内部監査で当面凌ぐと決断された場合には、本社の受け皿組織とは別の人を任命しましょう。特に、「何となく不透明」、「よく分からない。」と感じたら、躊躇なく転勤辞令を発令しましょう。台風の前の天気予報と同じです。山崩れが起きたり、堤防が決壊してからでは、手遅れです。

その後の対応は、新たに派遣した駐在者に委ねます。
これくらいの緊張関係は必要です。

次回は、「現地雇用職員」について考えて見ましょう。

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