1.「兵役法」(全人代常務委)(主席令第50号)
(2011年10月29日改訂、同日施行)
2.「住民身分証法」(全人代常務委)(主席令第51号)
(2011年10月29日改訂、2012年1月1日施行)
3.「太湖流域管理条例」(国務院常務委)(国務院令第604号)
(2011年8月24日公布、11月1日施行)
4.「資源税暫定条例」(国務院常務委)(国務院令第605号)
(2011年9月21日改訂、11月1日施行)
5.「陸上石油資源合作開発条例」(国務院)(国務院令第606号)
(同 上)
6.「海洋石油資源合作開発条例」(国務院)(国務院令第607号)
(同 上)
7.「飼料と飼料添加剤管理条例」(国務院)(国務院令第609号)
(2011年10月26日改訂、2012年5月1日施行)
8.「個人工商戸籍登記管理弁法」(工商行政管理総局)(総局令第56号)
(2011年9月30日公布、11月1日施行)
9.「商業銀行財務管理商品販売管理弁法」(銀行業監督管理委)(委員会令第5号)
(2011年8月28日公布、2012年1月1日施行)
【北京春秋】北京での交通事故その3 北京代表処首席代表弁護士 萩原大吾
【閑話休題】~「中国高速鉄道事故」のその後~会長弁護士 髙井伸夫
【李茂生の日本考現学:第十三回】~イグノーベル賞とノーベル賞~
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【巻頭言】~中国の宇宙開発進展の行方~会長弁護士 髙井伸夫
昨年9月29日、中国は初の無人宇宙実験室「天宮1号」を打ち上げた。更に11月1日、無人宇宙船「神舟8号」が、同センターから打ち上げられ、11月3日、先に打ち上げた「天宮1号」とのドッキング実験に初めて成功、更に同14日には2度目のドッキングに成功したと報じられた。このドッキング成功の影にドイツの技術協力があるという。中国は、2012年、「神舟9号、10号」を打ち上げ、「神舟10号」には中国初の女性宇宙飛行士2名を搭乗させ、「天宮1号」に移動して有人実験を行う計画を公表している。一方、日本時間同9日、火星の衛星フォボスを探査する為の中国初の火星探査機「蛍火1号」を搭載したロシアの火星探測機「フォボス・グルント」を打ち上げたが、これは軌道変更に失敗し探査機の観測が不可能となったという。所で、11月末、日本人の古川聡宇宙飛行士がISS(国際宇宙ステーション)に約5ヶ月半滞在し、無事帰還したが、このISS(国際宇宙ステーション)運営の参加国はアメリカ、カナダ、日本、ロシア、イギリス、フランス、イタリア、デンマーク、ドイツ、オランダ、ノルウェー、スペイン、スイス、スウェーデン、ベルギーの15ヵ国であり、中国は入っていない。これは、米国が中国の軍事利用を警戒し、ISS(国際宇宙ステーション)への参加に反対したことによるものである。従って、中国の宇宙開発は、全く独自の様に見えるが、前述の通り、「天宮1号」と「神舟8号」のドッキング成功ではドイツの協力があり、ロシアは、10月10日に行われた中露定期協議で、宇宙や航空等の大型プロジェクトでの重点的協力の推進で合意、と言う事実もある。2020年には中国初の宇宙ステーションの建設完成を目指しており、更にその先に月面着陸、火星探査計画を推進、宇宙に存在する資源を探し、権利を確保するという壮大な意欲を持っていると見られている。こうして、世界は、陸海空に加えサイバー空間、宇宙空間の5空間で熾烈な生き残りを賭けた競争を繰り広げることになる。さきごろ、中国は、共産党機関誌、人民日報系の環球時報で、韓国やフィリピンが中国漁船を拿捕したことを踏まえた上で「東アジアの海上は軍事衝突が近付いている」との社説を掲載した。又、米シンクタンクの「ランド研究所」は、「中国との衝突」と題する調査報告で、中国と日本との間で東シナ海の領有権紛争やその他の海洋案件で軍事衝突の可能性があるとの予測を公表してもいる。期せずして米中両国の然るべき関係者の見解が一致していることは誠に不気味である。中国も国内的には民主化のうねりに神経に神経を尖らし、2億5千万人を超えた徴博(中国式ツイッター)と、内なる敵との戦いもある。中国は矢張り異質の道を走ろうとするのであろうか?
【東京春秋】 中国の刑事司法 東京中国室 弁護士 村田浩一
中国について、二つの印象的な報道があった。一つは平成23年10月中旬のもので、広東省仏山において女児が車にひかれて倒れていたにもかかわらずこれを目撃した通行人18人が見て見ぬふりで誰も助けようとせず、女児がさらに別の車にもひかれ、その後死亡したというものである。もう一つは同月下旬のもので、中国で刑事訴訟法の改正作業が進んでいるというものである。女児が「見殺し」にされたとの一つ目の報道を受けて、見殺しを許した18人の非情にも衝撃を受けたが、その背景にあったとされる、「中国では路上の負傷者を助けた人が罪をなすりつけられる例が少なくない」との刑事司法実務にも衝撃を受け、法律家が紛争に関与し、法の支配を及ぼすことが急務であると感じた。刑事訴訟法改正に関する二つ目の報道を受けて、二つの点で正しい法による法の支配を及ぼすことが不可欠であると感じた。まず、改正案に「自白の強要を認めない」との条文があることから、現在中国では事実として拷問が発生しているのみならず、現行刑事訴訟法でも自白の強要を許容していると思われた。また、改正案にも「黙秘権」は導入されていないことから、「自白の強要を認めない」ことの実効性は依然として低いと思われた。このような法制度では、人権の保障に欠けると言わざるを得ないからである。中国の発展にあたって、経済のルールのみならず、法律家が紛争に関与し、法の支配を及ぼすことも急務であると感じた次第である。
【最近の法令から】
1.「兵役法」(全人代常務委)(主席令第50号)
(2011年10月29日改訂、同日施行)
2.「住民身分証法」(全人代常務委)(主席令第51号)
(2011年10月29日改訂、2012年1月1日施行)
3.「太湖流域管理条例」(国務院常務委)(国務院令第604号)
(2011年8月24日公布、11月1日施行)
4.「資源税暫定条例」(国務院常務委)(国務院令第605号)
(2011年9月21日改訂、11月1日施行)
5.「陸上石油資源合作開発条例」(国務院)(国務院令第606号)
(同 上)
6.「海洋石油資源合作開発条例」(国務院)(国務院令第607号)
(同 上)
7.「飼料と飼料添加剤管理条例」(国務院)(国務院令第609号)
(2011年10月26日改訂、2012年5月1日施行)
8.「個人工商戸籍登記管理弁法」(工商行政管理総局)(総局令第56号)
(2011年9月30日公布、11月1日施行)
9.「商業銀行財務管理商品販売管理弁法」(銀行業監督管理委)(委員会令第5号)
(2011年8月28日公布、2012年1月1日施行)
【最近の判例と注目事件から】
1.カメラマンの過失によるビデオ記録消失で賠償金2.5万元:婚礼の記録がカメラマンの過失で消失したとして、夫妻が精神的苦痛を受けたとして5万元の賠償を提訴した案件での判決(北京市第一中級人民法院)
2.誘拐、人身売買案件3件:①浙江省温州市、邵長勝は仲間と語らい某女性に暴行の上、売春強要、関係者多数なるも邵長勝の犯罪に情状酌量の余地無しとして死刑判決 ②広東省河源市、肖遠徳は仲間と語らい次々3人の幼児(2歳が2名、3歳が1名)を誘拐、各所で売り渡し(1人26000元)。肖遠徳への判決は無期懲役 ③福建省霞浦県、蔡順光は誘拐された婦女を買った(33000元)が、動機は結婚して家庭を築く目的とのことから、この点を考慮し8ヶ月の懲役刑の判決、中国での誘拐事件多発中。
3.黄瑶収賄案件:貴州省黔西南布依族苗族自治州書記、貴州省委書記、同省政協主席の在任期間中、職務権限利用の便宜供与を通じて総額9544153元を収賄、但し、罪を認めた態度を良しとして、執行猶予2年付の死刑判決(成都市中級人民法院)。中国での高位高官による収賄等の腐敗犯罪は枚挙に暇がない。党創立90周年記念式典でも、胡錦涛総書記が党の重要対処案件の一項として挙げている。
【北京春秋】 北京での交通事故その3 北京代表処首席代表弁護士 萩原大吾
以前、私が電動スクーターと衝突した際の話の続きです。通報後45分してやっと警察が到着しました。警察官は、電動スクーターと自転車が正面衝突をしたこと、怪我がもっぱら私のみに存することを確認したあと、私が日本人であることを知ると、私に「君が道の左側を走行していたことが原因だろう!」と高らかにいいました。その理由として、日本が左側通行であることをあげ、自分が日本の車両規制を知っていることを左右の人に得意げに話しています。開始早々私は大変に焦り、中国では右側通行であることを自分は熟知しており、現に今回も右側を走っていたことを必死にアピールしました。警察官はちょっとがっかりした感じでしたが、悪い人ではないらしく、そうか、ということで、今度は、相手方に右側を通行していたかを質問していました。相手方は自信がない感じでした。相手方は、警察官の確認に対し、「たぶん」と回答しました。警察官は、この回答を受けて私の主張に沿う事実関係を調書に記載し、私と相手方に確認のサインを求めました。サインした次の瞬間、警察官は驚くべきことをいいました。私と相手方に対し、この事件は相手方の100%の過失であると宣言しました。日本では走行している車両同士の正面衝突で過失割合が10対0になることは原則としてありませんし、そもそも警察官は事実確認のみ行い、過失割合の認定は裁判所が判決時点でやっと行うものです。私は大変驚きましたが、警察官はもう任務終了ということで帰ってしまいました。この調書が後で大変役に立つのですがそれはまた次回に。
【閑話休題】~「中国高速鉄道事故」のその後~会長弁護士 髙井伸夫
人の噂も75日とか、昨年7月23日に発生した高速鉄道事故も、新聞、ネット、微博(中国式ツイッター)等メディアを総動員した熱気のこもる報道は息を潜めたが、時々報道される断片的報道に中国内部の権力闘争も絡んだ複雑な様相が伺われて興味深い。そもそも鉄道省は、人民解放軍が1945年に南満州鉄道を接収し、輜重部隊としての性格を以て発足した経緯から、省内には独自の警察組織まで有するなど、2008年の省庁再編でも交通運輸省とは別個に存続した「独立王国」的性格を有している。本年2月、劉志軍鉄道相等幹部が汚職容疑で更迭されたが、同氏が江沢民前国家主席の腹心であったことから、現政権指導部と江沢民前国家主席との権力闘争の結果であろうと言うのも故なしとしない、とは口さがない中国ウオッチャーの言である。以下、新聞報道を下にこれまでの経緯を見てみよう。(8/1)「以前から事故車両を埋めてきた」と主要駅責任者が匿名証言:「経済観察報」(8/2)鉄道省幹部等6人が高速鉄道建設に絡む汚職容疑で党中央規律委員会の取り調べを受けていると報道:「紅網」(8/3)鉄道省の負債2兆907億元(約25兆円)(8/3)制御系統が日本やドイツからの寄せ集めの為、「完全には使いこなせない」と鉄道業界から懸念がでていた:「瞭望東方週刊」(8/4)盛光祖鉄道相、鉄道工期の短縮禁止を厳命(8/6)上海紙「青年報」の副編集長を更迭、当局の指示に従わない報道で:香港「頻果日報」(8/10)中国版新幹線車両CRH380BLの出荷見合わせ、北京-上海線:「21世紀経済報道」(8/10)高速鉄道減速へ、安全性重視、最高時速350㌔を300㌔へ:「新華社」(9/20)原因調査報告の発表に遅れ、「政府が審査中」:「南方都市報」(10/6)資金繰り悪化で鉄道建設ブレーキ 建設中の7割に支障 計画遅延、中断、停止が約7割、予定通りは26%程度、更に(10/29)鉄道工事の9割が中断、300万人の建設作業員への賃金支払い遅延も深刻:「京華時報」(11/21)事故原因は「人為的問題」に変更、信号設備の欠陥は否定:「京華時報」。ともあれ、中国政府が今回の高速鉄道事故を契機として、交通運輸省との大統合を実現できるかは予断を許さないが、かくまで内部事情が白日の下に晒された観があるのは、筆者が今執筆中の「中国民主化の底流~その発展の行方を占う~」の観点からすれば、明らかにメディアを先駆けとした民主化の萌芽と感じた次第である。
【上海春秋】陶朱の富 上海代表処首席代表弁護士 岡田拓也
春秋時代の軍人・范蠡(はんれい)は、臥薪嘗胆の故事で有名な越王・勾践(こうせん)を補佐して、越を強国にし、遂には最大の敵国である呉を滅ぼした。その後、勾践による粛清を恐れて越を出奔し(別の功臣・文種は後に勾践によって死を賜っており、范蠡の見立ては正しかったと言える)、斉の国で商人として成功するが、斉の宰相として招請されようとするや、巨万の富を他人に分け与え、宋の定陶に移った。ここでも商人として巨万の富を得、悠々自適の余生を過ごした彼は、陶朱公と呼ばれ、その名は現在まで成功者の代名詞として語り継がれている。
古来中国の権力者の多くは悲惨な最期を遂げており、范蠡のように余生を全うした者は少ない。范蠡のライバルで呉の国の軍人であった伍子胥(ごししょ)は、呉王・夫差の王位継承に大いに功があり、呉の発展に大きく寄与したが、晩年は夫差から疎まれ、最後は死を賜った上、死体を川に捨てられた。王権強化のため改革を断行した楚の宰相・呉起や富国強兵の礎を築いた秦の宰相・商鞅も、国家発展に大いに寄与し、その権勢は他に並ぶ者がないほどであったが、後ろ盾であった王が崩御した途端、非業の死を遂げている(呉起は体中に矢を浴び、商鞅は車裂きの刑に処せられて死亡した)。他にも帝をも凌ぐ権勢を誇る者が悲惨な最期を遂げた例は枚挙にいとまがない。
それだけに、范蠡の出処進退の見事さが際立っており、現在でも多くの人々の憧憬の的となっているのであろう。このように出処進退の手本を示したことこそが、彼が残した最大の富ではなかろうか。
【中国の経済成長率に陰り?】中国室顧問 千葉勝茂
10月18日、国家統計局は、7~9月期の国内総生産(GDP)成長率が前年同期比+9.1と発表した。然し、実際上、昨年10~12月期+9.8%、今年1~3月期+9.7%、4~6月期+9.5%と減速傾向にあることは明白である。2008年のリーマン・ショックで、中国はいち早く4兆元(約50兆円)の景気対策に手を打ち、世界を瞠目させた。然し、その銀行融資の拡大と通貨供給量の激増は、インフレと不動産バブルの膨張と言う弊害をもたらしている。中国の最大の貿易相手である欧州の経済危機は、中国経済の行方にも更なるブレーキとなる様相である。インフレ率も6月から10月まで連続6%台に止まっており、不動産バブルにも陰りが見えている。農地を工業用地として使用権を売却する’錬金術’の勢いも陰を潜め、上海市、広東省、深圳市、浙江省等の地方政府は、大型の地方債で資金調達を図ろうとしている。所が、地方政府の財政赤字総額は今年9月末段階の合計で約1兆7683億元とされ、国家の財政黒字約1兆2182億元を大きく上回っていると言う。地方政府絡みの債務総額は10.7兆元(約130兆円)と言うが、その30%前後は不良債権化の懼れがあると指摘する専門家もいる。人口の1%が国富の4割以上を占有している(改革派誌「炎黄春秋」)とされる「特殊利益集団」を頂点とする所得格差の存在と、集団抗議行動が年10万件を超え、ジニ係数が0.47強と、危険水域の状況下、インフレ、成長失速、不良債権急増の三重苦を中国は如何に乗り越えて行くのか。中国の専門家は、2012年の成長率は8.5%に減速すると予測している。
【李茂生の日本考現学:第十三回】~イグノーベル賞とノーベル賞~
日本は、iPS細胞の山中伸弥教授が受賞を逸したが、それに先んじたイグノーベル賞では5年連続受賞に輝いた。今年は「わさびのにおいがする気体を噴射し、聴覚障害者に火災を知らせる警報装置の開発」での化学賞受賞である。シリアスな分野であれユーモアを交えた分野であれ、日本人の幅広い研究心には正直舌を巻く。日本人のノーベル賞受賞者は18名(米国籍者1名を含む)に上る。さて、中国では、’10年、劉暁波氏がノーベル平和賞を受賞した。然し、中国人が関心を持つ科学分野での受賞者は1人もいない。この時期、ノーベル賞受賞者が出ないのは何故かとの論議が喧しくなる。中でも、詰め込み主義の教育制度で想像力と創造力の重視に欠けるとの主張が多い。師を超えてはいけないとの儒教的長幼の序の思想から、とのユニークな意見もある。韓国も’00年の金大中氏の平和賞以外にノーベル賞受賞者はいない。矢張り儒教思想は何か関係があるのだろうか?ノーベル物理学賞受賞者の楊振寧博士が某大学で講演した際、「国際的には成績優秀な中国人がなぜノーベル賞を取れないのか?」と訊かれて、「20年以内には中国本土からの受賞者が出るでしょう」と答えた由。それにしても、20年後に最初の1人とは…。
以上