「人事・法務担当者のためのメンタルヘルス対策の手引」民事法研究会
著者 岡芹健夫
出版社 民事法研究会
初版発行日 2011年5月16日
サイズ A5判
ページ数 208頁
本体価格 1,800円(税抜)
ISBN 978-4-89628-690-8C2032

<はしがき>

 平成初期のバブルの崩壊以来、すでに約20年が経とうとしています。その間、日本人の多くの者の努力にもかかわらず、日本経済の展望が未だ開けぬうちに、平成20年のリーマンショック、平成23年の東日本大震災と大打撃を受けるに至り、復活への道はまだまだ遠いところです。

 かような、暗い世相が長期間続いたせいか、我が国の就業者には、ストレスを抱え、心の不調、病を抱える者が急増しました。一例として、厚労省による精神疾患による労災認定数の推移をみてみますと、平成11年度には全国で14件であったところ、平成21年度では234件に昇り、この10年間で約17倍に増加したこととなります。無論、精神疾患の申請のうち労災認定がなされるものは氷山の一角に過ぎないことは言うまでもありません。

 このように、急増した精神疾患に対する対策、即ち、メンタルヘルス対策は、現在では企業の人事・労務上のトラブルの中でも、最多のものの一つであるにもかかわらず、その社会的認知の歴史が浅いせいか、企業によって、その対応の巧拙が分かれているのが実情です。

 本書では、弁護士として10数年を経た筆者の経験、あるいはごく近い者から聞いた体験等を中心に、メンタルヘルス対策として一般的によく出てくる具体例、相談例を設問として設定し、それに回答するという形式で、メンタルヘルス対策のための企業側の基本的な方針を提示しようと試みたものです。

 また、本文でも記しておりますが、メンタルヘルス対策の中心的な課題の一つに「私傷病休職の扱い」があります。この私傷病休職については、就業規則の整備が大変重要になってまいります。そこで、これも筆者の体験等を中心に、第9章において就業規則の文例をご紹介しております。

 本書が、メンタルヘルスのトラブル防止、あるいはトラブルの円滑な処理に資するところがあれば、これに過ぎるところはございません。

 最後になりましたが、本書の執筆にあたりま多くの医療機関の関係者の方々に問題点をお寄せいただく等、みなさまのご協力を頂戴し、そして、株式会社民事法研究会代表取締役田口信義氏、編集部主幹田中敦司氏に大変ご尽力いただきました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
 平成23年4月

高井・岡芹法律事務所
所長弁護士 岡芹健夫

内容紹介

弁護士として10数年を経た著者の経験を中心に、メンタルヘルスにかかわる具体例、相談例をもとに、Q&A形式で、メンタルヘルス対策のための企業側の基本的な方針を提示!

メンタルヘルスの基本的な知識から、社内体制のつくり方・中小企業の場合の考え方・会社でメンタルヘルス担当者となった場合の対応の仕方・管理職の対応の仕方など、会社全体でのメンタルヘルス対策の実施方法を、わかりやすく丁寧に教示!

採用時におけるメンタルヘルス問題への対応、突然メンタルヘルスの不調を訴える社員への対応、診断書を受け取ったときの留意点、休業・復職を繰り返す社員への対応、リハビリ出社・リハビリ出勤など、法令・通達や裁判例を踏まえ実務的・実践的なアドバイスが満載!

メンタルヘルスの不調者への対応は、就業規則上の根拠をもって行うことがトラブル防止に有効!  時代に合った就業規則の改訂文例やそれに基づく休職発令書などの文書例も示す!

目次

第1章 メンタルヘルスの実情と法律(5問)

第2章 採用時に留意すべきポイント(3問)

第3章 メンタルヘルスに対する常日頃の体制づくり

Ⅰ 会社全体の体制づくり(3問)

Ⅱ 担当者・管理職の職務(2問)

第4章 メンタルヘルスの不調者の発見と発見時の対応(8問)

第5章 休職とその期間中の対応

Ⅰ 休職まで(5問)

Ⅱ 休職中の対応(4問)

第6章 休職から復職または退職へ(9問)

第7章 復職に際しての留意点等

Ⅰ リハビリ出社・リハビリ出勤(2問)

Ⅱ 復職後の留意点(3問)

Ⅲ 復職後の再発(2問)

第8章 精神障害が業務上疾病である場合(3問)

第9章 就業規則の改訂文例

私傷病休職制度の適用関係

メンタルヘルスの不調が疑われる者への受診命令

出勤停止等の措置

私傷病休職命令の要件

私傷病休職からの復帰の判断

リハビリ出社・リハビリ出勤に関する定め

復職後の欠勤に対する対応(休職期間の通算規定)

その他