「3分間社長塾 スピード判断力をつける」かんき出版
著者 高井伸夫
出版社 かんき出版
初版発行日 2004年12月6日
サイズ 判型:46
ページ数 240頁
ISBN 978-4-7612-6221-1

内容紹介

弁護士となって四十年以上がたつが、仕事柄、人事労務問題や、経営の合理化や改革・再建のお手伝い、講演などで、今までに一万人以上の社長とお話してきた。
なかには二十歳代で起業し、三十歳代で株式上場したベンチャーの社長もいれば、差別化商品作りに徹したオンリーワン企業の社長もいる。また企業再建に乗りだし見事軌道に乗せた社長もいる。
このような勝ち組み企業の優秀な「デキる社長」に対して、もちろん負け組み企業の「デキない社長」がいる。つまり、ほとんど成長の止まったリビング・デッド(死に体)企業の社長や、会社を潰してしまった社長である。
この差が生じる原因はいくつもあるが、共通して言える大きな要因は、判断力の差である。しかも、この十年、ソフト化社会が一段と進化し、スピードが最重要視されるようになった。したがって判断力もあるだけではダメで、「スピード判断力」でなければ価値がないのである。
ではデキない社長は、なぜ判断が遅いのか、間違ってしまうのか、そして行動も遅いのか。その原因は次の三つである。
一つは、自分の価値観・判断基準が定まらない。
一つは、視野が狭い。
一つは、自分にとらわれすぎる。
したがって、スピード判断力をつけるには、この三つの原因を潰していけばいいのだ。本書にはその潰し方のヒントになることを書いたつもりだ。
人間には誰にも迷いが生じる。
「迷ったら原点にもどれ」
「迷ったら原理原則にもどれ」
創業経営者なら、どういう会社をつくろうとしたのか。何を大事にして会社を起こしたのか。継承経営者なら、この会社の原点はなんだったのか。人間として、社会人として、やってはならないことはなんなのかを思い起こすと、目の前の霧がすぅーと消えていくことが多い。
見通しが得られないこの不透明な時代、しかもソフト化時代即ちスピード化時代を迎えて、先見性を発揮し、半歩先を見通して歩むことが、競争に勝ち抜くために不可欠である。
つまり直面する問題に、即刻・即日で対応しなければ遅れをとってしまう。
先手必勝の時代だ。
先行したヤマト運輸に他の宅配業者はなかなか追いつかない。コンビニのセブン?イレブンにしても同じだ。
お客さまのニーズは極めて移り気である。その変化に対応するためにはふだんからスピードを意識することである。
「考えるよりスピード。スピードをもって結論を実行に移す」
というくらい、つねにスピードを意識する。仮説を立てたらすぐ実行。後で検証しながら改善・改良していけばいいのだ。これは社長だけでなく、すべての組織をそのようにスピード化させなければならない。
スピード判断力を意識できない会社に明るい未来は訪れない。
のんびり社長に明日はないのだ。
これからは情報の取捨選択も三分間、考えるのも三分間、物事を判断・決断するのも三分間を意識しよう。
それ以上、時間をかけているトップは、社長失格の烙印を押されても仕方がない。
私が塾長をする勉強会のひとつに一〇年で一〇〇回以上続いている『社長フォーラム』(中央会経営教育センター主催)がある。本書では、そのフォーラムで特に評判の良かった話をもとに書きあげた。受講していただいた社長の努力で、ほとんどの会社が大黒字になったと聞いている。嬉しい限りだ。
ちなみに各項目はなるべく三分間で読めるように構成した。また本書は、朝礼などで社員に経営の本質を教えるときにも活用していただけると思う。
本書が、経営の現場にいる方、これから社長を目指す方に役立てば幸いである。

目次

1章 のんびり社長に明日はない

  1. [経営ビジョン]お金が落ちている場所を示せ
  2. [価値判断基準]優先順位を決めておく
  3. [問題発見能力]一つの議題は三分以内で即決せよ
  4. [始業前が勝負]一日の段取りを決める
  5. [得意先を口説く]商談は三回以内に道筋をつけろ
  6. [マウスイヤー時代]エレベーター発想で時代の変化に対応せよ
  7. [社長の労働時間]経営者は年間実働三千六百時間、働きなさい
  8. [時間の有効活用]秘書を十人つけるほどの仕事量をこなせ
  9. [利益を生む話]「情報」を「知恵」に高めろ

2章 儲けるために社長が意識を変えなさい

  1. [社長の存在感]リーダーシップにカリスマ性を加えろ
  2. [社長の営業力]社内ナンバー1の営業マンたれ
  3. [真の現場主義]社内にこもらず、顧客との接点にのぞめ
  4. [ソフト化時代]頭で稼ぎ出せ
  5. [顧客の判断基準]儲けたければ知性・感性を磨け
  6. [コンプライアンス]良心経営は生き残りの絶対条件
  7. [船長と社長]タイムラグがあるのを忘れると命取り
  8. [崩れない人間関係]信用、人脈、情熱を自己採点しなさい
  9. [浸透させる年頭訓辞]メッセージは二つに絞れ
  10. [社長の話し方]社員に嫌われる六つの共通点

3章 組織を壊して、儲かる組織に作り変えなさい

  1. [強い組織]ピラミッド型の組織から新しいアイデアは生まれない
  2. [組織を壊す]組織の見直しが利益を生む
  3. [無用な社内会議]会議室を減らしてムダな話し合いをなくせ
  4. [少数意見]何事も多数決では会社は伸びない
  5. [能力格差]集団主義管理では社員はついてこない
  6. [リストラ]成果主義は社長より社員が望んでいる
  7. [ノン・ワークシェア]成果主義の弊害を恐れてはいけない
  8. [ほう・れん・そう]「おはよう、ご苦労さま」が組織を強くする
  9. [社員の雇い方]求人広告には「専門職、即戦力募集」と書く
  10. [人財費]価値創造型人材企業への転換を図れ
  11. [意欲と行動力]組織はデジタルよりもアナログ重視で管理せよ

4章 時代の流れを読む力

  1. [いい人材の確率]優秀な人材を三割育てろ
  2. [中途採用の人材]五つのポイントで見定める
  3. [伸びない人材]過去の実績には賞味期限がある
  4. [幹部の採用]人脈図を書かせる
  5. [ナンバー2]右腕には異質の能力を持った人材を選べ