著者 | 高井伸夫 |
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出版社 | かんき出版 |
初版発行日 | 2003年9月29日 |
サイズ | 判型:46 |
ページ数 | 224頁 |
本体価格 | 1,365円(5%税込) |
ISBN | 978-4-7612-6126-9 |
内容紹介
「えぇ~、はなはだ簡単ですが、これを以って挨拶とさせていただきます」
長々と話しておきながら、こう結ぶ人を見かけませんか? そんなとき、
「あんまり頭がよくないな」
「思いやりがないな」
「老化が始まっているな」
などと、周りで囁かれているのを聞いたことはありませんか?
三分以上の話は、ほとんどそう思われますし、きらわれます。
なぜでしょう?
一つは、何を話したいかを決める論理力、要約力がないと思われるからです。
上司に報告、連絡、相談をする。部下に指示を出す。自分の提案をプレゼンテーションする……。社内での立場が上がったり、おつきあいが増えてきたりすると、挨拶に限らず話をする機会が、ますます増えてきます。ところが、
「要は何が言いたいの?」
とイライラさせられる話し方をする人がけっこう多くいます。
もう一つは、聞き手の気持ちを理解していないと思われるからです。人の話を聞くのは、話すより三倍以上エネルギーがいるのです。
まして聞き手の本質は、自己中心なのです。なかには、体調の悪い人や、何か気にかかることを抱えている人がいるかもしれません。人間の注意力のテストをした結果によると、一つのことに注がれる注意力の持続時間は、二十四秒以内だという説もあります。つまり、このようなことが理解できない思いやりのない人と思われてもしかたがありません。
三分以上平気で話をするのは、企業で言えば、相談役とか会長とか、いわゆるお年を召された偉い人に多いのです。周りからは、「地位も話も、そろそろやめたら……」と思われてしまいます。中年以降になったらとくに要注意です。
カップラーメンでも三分以上待たされるものは、イライラするという理由からか売れませんでした。ボクシングでも一ラウンド三分です。ウルトラマンも怪獣や宇宙人を倒す制限時間は三分です。
われわれ弁護士の仕事は、相談者の悩みを聞くことから始まります。相談者の多くは、問題を複雑化して考えています。そのようなときは問題を整理し、要約してみると、意外と簡単に戦略・戦術が生まれてくることがあり、相談者も自信を持ち始めます。
次は相手側を説得したり、ときには法廷で裁判官のかたがたを納得させるための弁論、つまりプレゼンテーションをしたりすることになります。
そのときも、だらだら話をしていると、それだけで「問題点があいまいだ」「自信がないから多弁になっている」などの悪い印象を持たれて、不利に作用するようです。
もちろん話を短くするのが目的ではありません。目的はコミュニケーションが完全に図られることで、自分の言いたいことが伝わることです。そして相手にも納得してもらったり、感動してもらったり、行動してもらったりすることです。その効果的な手段が三分以内に話すことなのです。
ではどうしたら三分以内に話をまとめられるか。本書がそのヒントになれば幸いです。
試してみてください。このまえがきの長さ(約一一〇〇字)くらいを、声を出して感情を込めて話したときが三分以内だと思います。
目次
「話を短くする努力」があなたを磨く
- 最初の三分で勝負が決まる
- 三分以内で話をまとめることの効用
- 三分以内の「三」には深い意味が隠されている
- カルロス・ゴーン社長の魅力的な話し方
- デキル人の話し方三要素
- 話は短いほうがよいもう一つの理由
- どうすれば短い時間で感動を与えられるか
- 自慢話は聞いても、自分はしないこと
- 知ったかぶりは物事を停滞させる元凶だ
- 短時間に「実のある話」をするコツ
- あがり性の人はゆっくり話すといい
- データは言葉よりも映像で頭にしまい込む
- 他人の話に割って入るタイミング
- 自己主張するときの勘所
- 情報ツールをとことん活用する
話し方であなたは評価されている
- デキル人、デキナイ人の分かれ目はここ
- 最初に「結論」を持ってくる話し方のコツ
- 信用されるには裏づけのできる話をする
- よいしゃべりには情報収集が欠かせない
- 数値化した表現は客観性を増す
- 話の上手な人は「要約」がうまい
- 比喩を使うと分かり易い話ができる
- 流行語はどの程度取り込んだらいいか
- 自分の言葉で語る癖をつけよう
- 自分の声質や癖を知っておく
- 話を聞いてもらうにはタイミングが大切
時間を無駄にしない話し方、聞き方
- 短時間で相手を説得する方法
- 言葉を正しく使う努力を
- 相手にインパクトを与える話し方
- スピーチは前の話を受けて話すといい
- 「おみやげ」を持たせる話し方を学ぶ
- 途中で話の腰を折る人が損なわけ
- 話のポイントは「三つ」挙げるといい
- 相手を巻き込んでしまう話し方
- 反論の余地を残しておくことが大切
- 相手が思わず身を乗り出す話題へ持ち込む
- 「素直な質問」が相手の心を開かせる
人から気に入られる話し方
- 反応を見ながらコンテンツを変えていく
- 「気に入られよう」と意識過剰にならない
- 秘密を打ち明けると距離が縮まる
- 相手の使った言葉をリピートする
- 使える名言をいくつか用意しておく
- ぜひ身につけたい非言語表現術
- 話の間を大いに活用しよう
- 相手を心地よくさせる決定的な一言
- 短時間に理解させる話の組み立て方
- キーワードでわからせる話し方
- 言葉のベルトをかけよ
- 後味のよい終わり方をするコツ
人から、きらわれる話し方
- 「我身」にとらわれた話し方をしない
- 自分で気づかない、人をバカにした話し方
- 相手を批判するときの心得
- 話の中身と関係なくきらわれる態度とは
- うまい話をきらわれる
- 抽象的な弁解は墓穴を掘る
- 内容空疎な言葉遣いは避ける
- 上手な話し方の基本
- 自分の世界の言葉を控える
- 自分のスタンスをはっきりさせる
- ユーモア感覚はどんな場合も必要だ
人から、きらわれる話し方
- もっとメモを取る癖をつけよう
- 個性とは「自分の見解」を披瀝できること
- デキル人の話し方の特徴を知る
- 情で迫るか理で迫るか迷うとき
- どんな人にも役に立つ話し方の極意
- 聞き上手が話し上手の条件
- お手本となる人を見つけて学べ
- たった一言で人生が変わることもある
- 話し方の真理は「当意即妙」にある