2016年9月アーカイブ

IMG_2250.JPG

2016年9月11日(日)11:46 神奈川県秦野市寺山にてサボンソウを撮影
花言葉:「清廉、賢明な行動」


 

 

 

 

株式会社 開倫塾
代表取締役 林 明夫

 

「教育ある人とは勉強し続ける人」 

 

1.はじめに

(1)高井伸夫先生の大切な教えの一つに、「教育ある人とは勉強し続ける人」がある。ドラッカーの引用である。

 

(2)私は、日本最古の学校のある栃木県足利市に生まれ育ち、現在に至っている。書家の相田みつを先生が、私の母校の山辺(やまべ)小学校近くにお住まいだった。私は、足利の商店主から依頼されて書いた相田みつを先生の書に、小さい頃から菓子店のカンバンや包装紙などで親しんで育ったが、その中で一番気に入っているのが「一生勉強、一生青春」だ。

 

(3)高井先生の大切な教えの一つである「教育ある人とは勉強し続ける人」と、相田みつを先生の「一生勉強、一生青春」は、現代の知識基盤社会、グローバル社会、超少子高齢化社会を持続可能にする大切な考えだ。

 

 

2.健康寿命を平均寿命に1年でも近づけることが、日本を国家破産から救う唯一の方法

(1)高井先生は「企業は原則倒産」と言い切り、企業経営者に強い危機意識を持ち、常に最悪の事態を予想して行動することを教えてくださっている。

 

(2)高井先生の教えの先には「国家や自治体も原則破綻」もあると私は考える。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの会場や関連インフラ整備、東京都の豊洲市場の移転整備などを見ていると、予算や計画などが全く無かったかのように、何の躊躇もなくその何倍ものお金を使い果たし、ツケだけを納税者にまわしている。

 

(3)国会や都議会のガバナンス機能がゼロに等しければ、「国家や自治体も原則破綻」は目に見えている。

 

(4)日本人の平均寿命は女性が86歳、男性が80歳を超えたが、一人で生活できる健康寿命とのギャップが女性12.62歳、男性9.31歳と大きすぎるので、国や自治体の医療・介護・福祉の予算が国や自治体の存立を脅かす日も遠くない。

 

(5)医療の発達で平均寿命が男女とも90歳を超える日も遠くない。多くの国民が100歳以上まで生きながらえることのできる国に日本がなることは確実だ。

 

(6)特に、終末期医療の経費は1か月50万円どころではなく、100万円を超える患者も少なくない。人数が少なく、例外的であれば、これに国や自治体は十分に対応できる。しかし、対象者が膨大になれば、また、これに増大する高齢者の医療・介護・福祉の予算が加われば、「国家や自治体破綻」の直接の原因になる可能性は極めて大きい。

 

(7)ではどうしたらよいか。これも高井先生の教えの一つである「事情変更の原則」を援用し、超高齢化社会が到来したのであるから、それに合わせて高齢者の定義を変更する以外にない。

①現在65歳以上の高齢者年齢を75歳または80歳以上と再定義すること

②現在75歳以上の後期高齢者年齢を85歳または90歳以上と再定義すること

③現在85歳以上の超後期高齢者年齢を95歳または100歳以上と再定義すること

貧困者への対策は別途充実させた上で、80歳または平均寿命までは3割負担を原則とする以外、この超高齢化社会を持続可能にする方法はないように思える。

 

(8)高齢者の定義を見直すと同時に、65歳以上の人々の医療・介護・福祉の費用は65歳以上の人々が負担するように社会のしくみを根本から再設計することが、国家や自治体を破綻から回避するためには必要だ。

 

(9)そのための方法が、健康寿命を平均寿命に1年でも近づけることだ。できれば、その差を4年以内に近づけることを国家目標、すべての自治体目標にしたい。

 

(10)どうしたら健康寿命と平均寿命を近づけることができるか。

 

(11)ここで登場するのが、高井先生の「教育ある人とは一生勉強し続ける人」と相田みつを先生の「一生勉強、一生青春」の教えだ。

 

(12)勉強し続ける人は、一人で生活することができ、一生青春という生き方が可能となる。

 

(13)栃木県宇都宮市には、90歳で息子から詩を習い、98歳で「くじけないで」という詩集を刊行、ベストセラー作家となった柴田トヨさんという詩人がいた。

 

(14)「金さん、銀さん」は老後資金をかせぐためと102歳でデビューを果たした。

 

(15)柴田トヨさんや金さん、銀さんのように90歳、100歳をすぎてから新しいことを素直な心で学び始めれば、素晴らしい一生を送ることができる。「手本は柴田トヨさん、金さん、銀さん」として一生学び続け、全国民が一生青春を貫きたい。

 

 

3.高齢者こそ本格的な勉強を実現し、教育ある人を目指すべし

(1)「教育ある人とは一生勉強し続ける人」を実行に移す国民や地域住民が増えれば増えるほど、健康寿命は平均寿命に限りなく近づき、国家や自治体は破綻から遠ざかる。

 

(2)高齢者こそ本格的な勉強を実現し、教育ある人を目指すべきだ。

 

(3)何を勉強したらよいか。私のお勧めは、中学校と高校、大学で学んだ全教科の再学習だ。各々の段階の学校時代を思い出しながら、腰を落ち着けて朝、昼、晩と各2~3時間ずつ学校の教科書や参考書を勉強する。学校の教科書は東京・神田の三省堂書店や教科書取次店に依頼すれば手に入る。

 

(4)山川出版などは、「もう一度学ぶシリーズ」で日本史、日本近代史、日本戦後史、世界史、世界現代史、地理、倫理、政治経済、哲学など高校の教科書内容を刊行している。

 

(5)古文なら、ようやく復刊にこぎつけたちくま学芸文庫の小西甚一先生の「古文の読解」「古文研究法」「国文法ちかみち」を、大修館書店の小西甚一先生の「新装版、基本古語辞典」を用いてノートを取りながらゆっくりと再学習することをお勧めしたい。

 

(6)中学校や高校の理科や数学なら、講談社の新書版、ブルーバックス・シリーズに読むべき本が山ほどある。

 

(7)65歳以上の人こそ、岩波文庫や岩波新書などの古典に挑戦、筆者ごとに全巻読破すべきだ。

 

(8)語学も英語だけでなく、中国語やハングル語、フランス語やドイツ語などにも挑戦したい。

 

(9)NHKラジオでは、この10月から来年3月まで各外国語の入門編がスタートする。10月からのNHKラジオスペイン語講座は昨年の再放送だが、超お勧め。この講座で、日本の外国語教育の最先端を知ることができる。今、どこのジムでも大流行中の「ズンバ」とともにスペイン語を学べば、健康な身体づくりができる。更に、スペイン語と同時に「ラテン語」の基礎を学べば、ポルトガル語、イタリア語、フランス語などの「ロマンス語」も習得可能となる。

 

 

4.おわりに

勉強に遠慮は一切不要だ。高齢者の自主的な勉強が日本や自治体を破綻から救う第一歩と考え、「教育ある人」を目指し、「一生勉強、一生青春」で明るく充実した毎日を送りたい。

 

―2016年9月20日(火) 林明夫記―

*次回は、高井先生の教えである「心の経営体を目指して」をお送りします。御期待ください。

 

開倫塾のホームページ(www.kairin.co.jp)に林明夫のページがあります。

毎週、数回更新中です。

お時間のあるときに、是非、御高覧ください。

 

この記事にコメントをする
IMG_2221.JPG

2016年9月11日(日)丹沢大山国定公園にて撮影




第14回「メンタルヘルスとトレーナー」
(平成28年2月29日)

 

 

2015年のラグビーW杯での日本代表チーム大健闘の立役者のひとりとして、メンタルコーチ荒木香織氏(兵庫県立大学准教授)の存在に注目が集まったことは、心の問題が大きなテーマとなっている社会全体の状況にも符合するものだろう。

 

私が本紙に「精神健康管理入門」(全33回)を連載したのは32年ほど前、1984年のことである。89年8月にはこの連載に一部加筆し、『判例からみた企業における精神健康管理』という本にまとめた。当時はメンタルヘルスという言葉は一般には使われておらず、同書まえがきで私は「精神障害者が企業において大きな問題として最近クローズアップされてきた。」「(精神障害者に対する)暖かみのある態度が企業にも要求され、それには雇用の場にも強く意識される時代が来つつある」と書いたが、当時は働く者の心の病はさほど広がりのある深刻な論点とされていなかった。

 

国立社会保障・人口問題研究所によれば、自殺やうつ病による社会的損失(単年)は2009年の例で約2兆7000万円と推計されている。また、WHOは今から30年後の予測として、世界全体の疾病負荷(疾病により失われる生命や生活の質の総合計)が一番大きくなるのはうつ病であるとしている。このように心の病が世界共通の重大問題であるという実情をみれば、昨年12月1日施行の改正労働安全衛生法66条の10により新設されたストレスチェック制度は、「『うつ』などのメンタルヘルス不調を未然に防止するための仕組み」とされているが、働く者への配慮だけでなく、心の病によって生じる社会的損失を防ぐために、労働者の自己保健義務をあえて国が補完しようとするものと捉えることもできるだろう。そして、こうした予防の観点から、メンタルヘルストレーナー・メンタルコーチに日頃の指導を求める気運が社会全体で高まってゆくのは必然であろう。

 

ところで、メンタルヘルス不調に陥る原因は何であろうか。人事・労務問題を長年手掛けてきた立場からすると、真実発見と発展・成長を欲する人間の本能が一因ではないかと思う。

 

人間は、真・善・美を尊び、真実発見に向けた本能を有するがゆえにこれまで進化を遂げてきた。そして20年ほど前から急激にIT化によるスピード時代となり、働く者に高度な処理速度と処理能力が求められるようになると、自分の限界を超えてまでも激しい競争に耐え、真実に近づこうとする者は、脳と身体を疲弊させストレスをためこみ心の病となり、身体にも変調をきたしてしまうのではないか。あるいは、身体の不調がもたらすストレスが原因で心を病むこともあるだろう。ストレスの感じ方は千差万別で、適度な好ましいストレスは仕事の責任感と覚悟を醸成し、人を成長させる側面もある。その意味でストレスの良否の見極めが重要になってくる。

 

日常的にコンピューターやIT機器に囲まれて生きる私たちは、人間もまた自然界に身を置く生き物であるといった意識をほとんど失っている。心の健康を保つには、自然と一体となる時間を持ち、適度に身体を動かし、他者との良好なコミュニケーションで心を解放し、ストレスを外に吐き出す工夫をして、脳と身体の疲弊を予防するしかないだろう。しかし、こうした方途を自力で為し遂げられない人も多いはずだ。今後は、一人ひとりがメンターあるいはメンタルトレーナーを持つ時代が到来するのではないだろうか。

 

9月15日(金)から、新連載「時流を探る~高井伸夫の一問一答」がスタートしました。
話題のテーマについて、各界でご活躍されている方々と高井等の対談を一問一答形式で掲載しますので、ぜひご覧ください。

 

この記事にコメントをする
IMG_2161.JPG

2016年8月28日(日)12:09 千葉市若葉区の風戸農園にてジニアを撮影
花言葉:「不在の友を思う」 

 

 

  • 話題のテーマについて各界でご活躍されている方々と対談をする一問一答形式のブログを始めることにいたしました。
  • 第1回目は日本マクドナルドホールディングス株式会社代表取締役副社長兼最高執行責任者(COO)下平篤雄様です。

 


 

■ ■ ■ ■ 時流を探る~高井伸夫の一問一答 (第1回)■ ■ ■ 
日本マクドナルドHD株式会社
代表取締役副社長兼最高執行責任者(COO)
下平 篤雄 様 
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


[日本マクドナルドホールディングス株式会社
代表取締役副社長兼最高執行責任者(COO)下平篤雄様 プロフィール]

下平篤雄様.jpg

 
下平様は、1978年に日本マクドナルドに入社され、中央地区本部長やコーポレートリレーション本部長、営業推進本部長などを経て、2005年からは代表取締役を務められています。 その後、2009年に同社大手フランチャイジーであるクォリティフーズ株式会社に出向、後に転籍され、同社執行役員副社長を務められた後、2015年1月に、日本マクドナルドに再入社され、上席執行役員フィールドオペレーション本部長を務め、同年3月より持ち株会社である日本マクドナルドホールディングスと、事業会社日本マクドナルドの副社長兼最高執行責任者(COO)としてご活躍されています。

 

[今回のインタビュアーは以下の通りです]

  • 高井伸夫 
  • 株式会社ことば未来研究所 代表取締役 鮒谷周史 様 

 

 


 

高井

3月29日に株主総会が終わりましたが好評だと聞きました。業績は回復したのでしょうか。


下平様

おかげさまでセールスも順調に回復してきています。 前年は残念ながら、大きく収益が悪化しましたが、今年上半期の利益も順調なトレンドとなっています。

 

高井

顧客からの信頼が回復してきていると言えるのでしょうか。


下平様

お客様の声を謙虚な気持ちでお伺いし、食の安心、安全にかかわる改善のための取り組みを会社として積極的に実施してきました。その結果、お客様には少しずつご理解をいただけるようになってきていていると確信しています。

 

高井

今、業績が好調に推移していらっしゃるのは、どういう理由があるのでしょうか?


下平様

1つ目は、お客様の店舗体験を向上するためにQSC&V(Quality:最高の品質、Service:スピーディで心のこもったおもてなし、Cleanliness:清潔で快適なお食事空間、バリュー:お客様にとっての価値ある店舗体験)にフォーカスした取り組みを積極的に行ってきました。マニュアルの変更を行ったり、新しい清掃キットの導入も行ってきました。 また、店舗施設にも積極的な投資を行ってきました。モダンなデザイン、使いやすい客席等、店舗の空間の改善を行うことで、快適にお店でお食事を楽しんでいただけるようにしています。

 

高井

どのくらいの店舗が変わったのですか。

 

下平様

全体で2900の店舗がありますが、本年度末には60%以上のお店がモダンな店舗になる計画となっています。

 

高井

2分の1以上ですね。

 

下平様

2018年までに残りのほとんどの店舗の改装を進めてまいります。多くのお店のQSCが改善され、清潔になって、お客様の店舗体験も大幅に向上したのではないかと考えています。QSCはお客様などの評価をスコア化し、40年間以上継続してトラッキングして、その動向を注視していますが、そのスコアが昨年くらいから着実に向上してきました。これも最高のQSCを担う人材への投資を積極的に行ってきた結果だと考えています。 さらにおいしく魅力的なメニュー、マクドナルドらしさ、そしてバリュー、すなわち価値を感じていただける商品、この3つに集中してお客様にお喜びいただける商品の提供に力を入れています。マーケテイングもお客様とのつながりを大切にした活動を行っています。商品開発では昨年からお客様の声をうかがうことに力を入れ、今年はたくさんの期間限定商品がお客様にご好評をいただきました。

 

高井

どのような商品ですか?

 

下平様

今年の上半期では「名前募集バーガー」という商品がありました。北海道産のほくほくポテトを使った商品で、お客様からもご好評をいただいたバーガーです。 このプロモーションは、お客様と繋がろうという取り組みが大きな特徴です。具体的にはお客様から商品の名前を募集しようということで、まず「名前募集バーガー」と命名しました。私たちの予想では、当初は100万件ほどの応募になるだろうと想定していましたが、いざ募集を開始してみたら、何と500万件以上もの応募をいただきました。

 

高井

500万件

 

下平様

そうです。500万件。大変多くのお客様にご興味をおもちいただき、応募していただきました。

 

高井

500万件というのは反響がすごいですね。当選者はなにか賞品などがもらえるのですか?


下平様

名前募集バーガーは「北のいいとこ牛っとバーガー」(きたのいいとこぎゅっとばーがー)という名前に決まりました。当選者の方にはこのバーガーの10年間分にあたる賞金を差し上げました。

 

高井

いくらくらいですか。


下平様

140万円くらいです。

 

高井

その次にヒットしたのはどんな商品ですか。


下平様

その次はグランドビッグマックという商品で、ビッグマックをさらに大きく、おいしくした商品です。

 

鮒谷

ポケモンGOとのコラボレーションによる集客効果はよかったのでしょうか?長時間滞在されたりとか、功罪いろいろあるかと思いますが、いかがでしょうか?


下平様

今のところ幸いなことにお客様からお叱りを頂戴することはほとんどありません。ただ、引き続き店舗には気を抜くことなく、お客様に快適にお食事をしていただけるよう注意することを伝えています。

 

鮒谷

ゲーム目的の利用者が長時間滞在することによって回転率が下がったり、 客単価が上がらない、というような話はありますか?


下平様

今のところ、そのような話はありません。株式会社ポケモン様とは2001年からお付き合いがあります。毎年のように何らかの企画をご一緒させていただきましたので、今回、このようなコラボレーションが実現いたしました。

 

高井

人の問題で投資をしたと先ほどおっしゃっていましたが、具体的にはどういったことをしたのでしょうか。

 

下平様

やはり人の投資と言いましても、まず大切なのは、コミュニケーション、つまり風通しのよさだと考えます。弊社は、フランチャイジーが店舗の68%を占めています。200人近いフランチャイジーのオーナーの方々がマクドナルドビジネスの大きな柱のひとつで、1オーナーあたり平均10店舗以上を運営しています。オーナー様1人1人とコミュニケーションを密にしなければその先のお店にまでは届きません。単に風通しをよくしようとしてもできませんから、組織を大きく変更いたしました。

 

高井

組織を全部変えてしまった?どういうふうに変えましたか?

 

下平様

フランチャイジーとのコミュニケーションを改善するために、地区本部制にしました。これまでは新宿オフィスで一括管理を行い、そこから各地域に情報をおろしていくヒエラルキーの組織となっていました。そこで、適切なコミュニケーションができるように権限移譲も行い、組織を大きく変えました。縦の組織より、地域密着した柔軟に対応できるアメーバのような組織に変えました。

 

高井

アメーバ組織ですね。

ところで、医食同源を活かして、メニューを作ったらどうですか。健康志向の高まりと、少子高齢化で、高齢者向けの商品開発も需要があるのではないでしょうか。


下平様

ご提案、有難うございます。医食同源ですね、日本ではシニア層の割合が増えていますので健康の問題も大切だと思っています。大切なのは食生活のバランスだと思っています。あらゆる年齢の方にお食事を楽しんでいただくのが私たちの使命だと思っていますので、これからの時代に合ったメニュー開発も重要なチャレンジだと認識しています。

 


 

 

下平様は、事業に対して非常に真摯に取り組んでいらっしゃり、 このたびもご多忙の中、時間をお割きくださり、 様々な質問に対しても丁寧に、誠実に受け答えくださり、 大変に、律儀で実直な方でいらっしゃいました。

 

以上

 

 

この記事にコメントをする
IMG_2150.JPGのサムネール画像のサムネール画像

2016年8月28日(日)12:02 千葉市若葉区の風戸農園にて初雪草を撮影
花言葉:「好奇心、穏やかな生活」 

 

 

第12回 管理監督者問題の本質(4)
(2008年8月4日転載)

 

 

裁量性欠くとは言えず

「日本マクドナルド事件」(東京地判平20・1・28)は、店長職にある者が自らは管理監督者(労働基準法41条2号)に該当しないとして、会社に対して時間外割増賃金等を請求した事案であり、裁判所は「被告(=会社・筆者注)における店長は、その職務の内容、権限及び責任の観点からしても、その待遇の観点からしても、管理監督者に当たるとは認められない」として、過去2年分の時間外割増賃金等約755万円の支払いを会社に命じたものである。

管理監督者問題の「まとめ」を述べるにあたり、まずは、本判決は企業の実態を必ずしも捉えておらず適切でないとして、判決骨子とそれに対するコメントを述べたい。

企業では現場主義で経営しなければ生き残れないというのが今や常識であるが、現在の中央集権的な本社機構では現場の細かい事象まで監督できないのは明白である。事業所の数が増え、グローバル化によって把握する地域が広がるという状況のもとではなおさらである。

本判決は、基本的には本稿第2回・第3回でも言及した行政通達(昭和22・9・13発基17号、昭63・3・14基発150号)に則って店長の管理監督者性を、①職務内容・権限・責任、②勤務態様、③待遇の面から判断している。これらについて、ひとつずつコメントしていきたい。

 

①職務内容・権限・責任についての判断

本判決は「店長は…労務管理に関し、経営者と一体的立場にあったとはいい難い」「店長の職務、権限は店舗内の事項に限られるのであって、企業経営上の必要から、経営者との一体的な立場において、労働基準法の労働時間等の枠を超えて事業活動することを要請されてもやむを得ないものといえ(る)ような重要な職務と権限を付与されているとは認められない」とする。

しかし、この裁判所の認識は(a)統一的協同体としての企業における現実の役割および(b)企業における現実の現場の重要性を正しく認識していないと言わざるを得ない。

(a)企業における現実の現場の役割

店長の権限が労務管理も含めて店舗内の事項に限られるのは至極当然のことであり、その上位組織が管轄している事柄については希望を伝えたり要請することならいざ知らず、くちばしを入れることなど組織の常識としてあり得ないし、あってはならないことである。もちろん、小なりといえども、店長は気掛かりなこと等を上層部に具申することはできるし、そうあらねばならない。

また、企業は統一的協働体でなければならないから、その意味において店長の権限は無限定とはなり得ず、裁量性に限界があるのは当然である。ことに大規模企業になればなるほど、企業としての信用を保持するためにも、店舗ごと・事業所ごとの運用に均一性を持たせる必要もある。問題は、より裁量性があれば店長・事業所長の働く意欲が一層強まるということであるが、他にも裁量性を大いに発揮すべき分野があるから、このことを以って裁量性を欠くとは必ずしも言い得ない。

つまり、しかるべき事業所であればあるほど、日々問題・難題が次々と生ずるから、当該企業の規則・運営方針に基づいて直ちに処理していかざるを得ず、それには店長・事業所長の幅広い裁量がなければ現実に迅速な展開はできない。店長・事業所長の腕次第という世界が現実に展開するのである。

(b)現実の現場の重要性

企業において現実に現場を知るのは店長等の各拠点の責任者であり、彼らは経営と一体であるがゆえに上位組織に対して報告・具申・助言等を行うべき立場にある。

企業は、本社だけで現場の細かい事象まで監督できないのは明白であり、現場主義でなければ成長はおろか生き残れないのは、常識であることは前述のとおりである。大規模企業・グローバル企業であればあるほど、現場の意見を尊重せざるを得ず、現場責任者の役割はより一層重要になってきている。現場を知り、現場のことを集約して本社により的確な情報を提供できるのは彼らしかいない。

このように、労務管理も含めた経営に関する事項の全てにわたり、何らかの形で店長の意見が貴重なものとして斟酌されているのは実態であるから、その意味で店長は経営と一体である管理監督者であり、極めて重要な立場にあると言える。裁判所は、企業におけるこうした現実の現場の意義を強く意識しなければならない。

なお、企業経営にとって「一国一城」と評価できるような重要な拠点の事業所長である店長には、この面でも一定の役割と権限を付与して然るべき裁量権を認めれば、経営に参画している認識が生まれる。そうすれば日々やりがいを感じて仕事に取り組むはずだ。そして所定の成果を上げれば、店長の責任の大きさとその功績の程度に応じて待遇する仕組みにすればよい。

即ち、いずれの企業であれ、然るべき事業所の店長・事業所長であれば、管理監督者性を認めるべきなのである。

 

②勤務態様についての判断

本判決は、「…被告(=会社)の勤務体制上の必要性から、…法定労働時間を超える長時間の時間外労働を余儀なくされるのであるから、かかる勤務実態からすると、労働時間に関する自由裁量性があったとは認められない」とする。

しかし、官民問わず、上司ほど長時間にわたって労働をすることが本来あるべき姿であり、例えば現代においては、社長といえども“重役出勤”するなど論外であることは言うまでもないし、一般上司においても同様である。

より本質的に言えば、現場重視という経営の本道からして、店長等の現場責任者は単なるマネージャーではなくプレーイングマネージャー化してきたことは広く企業一般の流れであるが、そうなればシフト勤務にも就かざるを得なくなる。

そしてそこで着実かつ瞬時に問題を覚知し、これに対する解を与えるのが現場責任者である事業所長としての店長の重要な役割となっている。そのような状況において日々どのような勤務に就くかは自らを律して決めるべきであることは言うまでもなく、まさに臨機応変の勤務姿勢が店長・事業所長には求められるのである。

 

実態とかい離した認識

このように、自分自身の1日の時間の配分即ち自らを差配すること、さらには部下の一日の時間の配分・差配等々、まさに店長は手腕・力量・裁量を発揮すべき重要な分野を当然抱えているのである。

事実、管理監督者の労働時間について、裁判所が言うような自由裁量が認められている企業など、現実にはほとんどないだろう。この点も、裁判所は実態と乖離した認識をしていると言わざるを得ず、勉強不足との謗りを免れまい。

 

 

来週9月15日(金)から、新連載「時流を探る~高井伸夫の一問一答」がスタートします。
話題のテーマについて、各界でご活躍されている方々と高井等の対談を一問一答形式で掲載しますので、ぜひご覧ください。

 

 

この記事にコメントをする
コラージュ05.jpg

全て2016年8月28日(日)12:00頃千葉市若葉区の風戸農園にて撮影
右から時計回りに
落花生 花言葉:「仲良し」
タマスダレ 花言葉:「便りがある、期待」
オクラ 花言葉:「恋の病」

 

 

第13回「コンプライアンス」
(平成28年2月1日) 

 

 

「道徳を忘れた経済は罪悪であり、経済を忘れた道徳は寝言である」「道徳なき経済は経済に非ず。経済なき道徳は道徳に非ず」―前者は二宮尊徳、後者はその思想から大いに影響を受けた日本資本主義の父、渋沢栄一の言葉である。これらが指摘するのは、資本主義経済において経営者が最優先で取り組むべきは、より良い物やサービスを生み出し消費者や社会に貢献しようとする良心的な創造・生産活動であり、利益は結果としてもたらされるのだという戒めであろう。この思想こそが企業の社会的責任の本質なのである。

 

2015年は企業の社会的責任を改めて考えさせる重大事件が目立った。フォルクスワーゲン社の排ガスデータ改竄事件、東芝の不正会計事件などの報道が連日なされ、これら不正が長期にわたり組織的に行われていたことを知るに至っては、まさに言葉を失う。特に、歴代3人の社長らの責任が糾弾され、過去最大5500億円の赤字(2016年3月期連結純損益)が見込まれる東芝は、従業員1万人をリストラし複数事業の統合・譲渡・売却を断行せざるを得ず、さらには経済産業省などが支援に乗り出したとの報道をみれば、企業として存続さえ危ぶまれる状況である。自ら退職する優秀な人材も続出するだろう。私の経験からすると、全体の3分の1が流出すると、その企業は倒産の危機を迎えるといって良い。

 

私が最も憤りを感じたのは、東芝が設置した第三者委員会の報告に従い、東芝の監査委員会が現旧役員98人のうち経営責任を5人だけに認め、彼らへの3億円(連帯債務)の損害賠償で幕引きを図ろうとしたことである。経営陣の責任によって多くの利害関係者がどれほど損害を被っているか理解していないといわざるを得ない。東芝は、商法改正以前の98年に執行役員制度を導入するなど、日本の企業統治改革のリーダーだったという。法令を遵守した外形的に立派な企業で経営陣が不正を行っていたとなれば、仏作って魂入れずどころか、仏そのものをないがしろにしたことになる。

 

コンプライアンスは、一般に法令遵守とされるが、法律さえ守っていれば良いという考えは根本的に間違っている。私は、コンプライアンスとは、企業に利益をもたらす人々との信頼関係を仕組み化することであると考えている。これをかみくだいていえば、良心に基づく経営こそが企業の原点であり、コンプライアンスそのものなのである。良心を核に私心を排し邪心を削いで、自立心・自律心・連帯心・向上心を発揮する良心経営を原点にしてこそ、企業は大衆に支持され業績を伸ばすことができる。経営者が良心に恥じる言動をとれば、その企業は社会的に糾弾される。そして、真の意味でのコンプライアンス=良心経営を行えない企業には、社会的制裁という突然死があるのみである。

 

企業活動に携わる皆さんには、二宮翁、渋沢翁の教えをかみしめてもらいたい。経済活動の土台は道徳と良心なのである。そして私たち弁護士は、法曹倫理を厳守し、真のコンプライアンスの牙城たる社会的責任を負っていることを肝に銘じなければならない。東芝の第三者委員会は、役員らに対して3億円ではなく300億円請求すべしとするほうがまっとうな見解であろう。同委員会の委員の半数が弁護士であるが、法曹倫理の点からみても、彼らは自らの判断に極めて重大な責任を負うことをあえて指摘しておく。

 

 

この記事にコメントをする

ご利用案内

内容につきましては、私の雑感等も含まれますので、真実性や正確性を保証するものではない旨ご了解下さい。

コメント欄に法律相談を書き込まないようお願い致します。

私のブログへのご意見・ご批評をお待ちしております。コメントは承認制とさせて頂いておりますが、基本的に掲載させて頂きたく存じますので、ご記名のうえご記入下さい。掲載不可の方はその旨ご記入下さい。

→ リンクポリシー・著作権

カレンダー

<   2016年9月   >
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

カテゴリ

プロフィール

高井・岡芹法律事務所会長
弁護士 高井伸夫
http://www.law-pro.jp/

Nobuo Takai

バナーを作成