2016年1月アーカイブ

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平成28年1月3日(日)7:23 中目黒公園にてポリジを撮影
花言葉:「勇気、愁いを忘れる」

 

 

株式会社開倫塾
代表取締役社長 林 明夫

 

「企業は原則倒産」


1.はじめに

(1)高井伸夫先生から様々なことを教えて頂いた。その第一が「企業は原則倒産」だ。

(2)1979年に栃木県足利市に開倫塾という小・中・高生対象の学習塾を創業し、1985年に株式会社開倫塾を設立し、現在、栃木県・群馬県・茨城県の北関東3県に60校舎を展開、約7000名の塾生を教えることができているのは、400名あまりの社員の尽力と、地域社会の皆様の御理解、御支援の賜であるが、高井伸夫先生の「企業は原則倒産」の教えに負うところも大きい。

(3)高井伸夫先生の「企業は原則倒産」の教えをどのように活用させて頂いているかを紹介させて頂き、高井先生の恩に少しでも報い、また、皆様の御参考に供したい。

 

2.「倒産しない会社づくり」を目指して

(1)株式会社設立以来、開倫塾の経営方針は①「学ぶに値する塾づくり」、②「働くに値する職場づくり」、③「倒産しない会社づくり」の3つで、変わることはない。

(2)「企業は原則倒産」という高井先生の教えは、この経営方針③「倒産しない会社づくり」の根拠となるもので、これほど大切な教えはない。

(3)なぜなら、「企業は原則倒産」であるから、「倒産しない会社づくり」に励むことで経営方針を実現できるからだ。

 

3.「倒産しない会社づくり」のための具体的行動

(1)「四半期決算」の確実な実施。開倫塾は未上場企業ではあるが、2001年より少しずつ「四半期決算」を実施している。

(2)私自身が、2004年から2010年までの6年間、マニー株式会社(本社宇都宮市、ベトナム・ミャンマー・ラオスに現地法人。手術用縫合針製造。東証一部)の社外取締役を務め、「四半期決算の重要性と有効性」を痛感。取締役を退任したら、未上場の開倫塾でも四半期決算を導入しようと考えた。

(3)2016年で5年目に入るが、幹部社員から徐々に浸透。2015年度からは60校舎すべてで、四半期ごとに校舎の全資産について実地棚卸しをするに至っている。

(4)公認会計士や税理士の先生方のお力をお借りし、人件費を含むありとあらゆる経費を四半期ごとに見直し、四半期ごとに事業計画を立てるまで、もう一歩のところまできた。

(5)2016年度は「四半期決算」に基づく短期事業計画の策定・実行・検証・評価(PDCA)に励みたい。

(6)同時に、四半期ごとの採用・研修・評価にも励み、世界や日本がどのような経済状況に陥ろうとも「倒産しない会社づくり」を目指したい。

(7)これらはすべて、高井伸夫先生の「企業は原則倒産」の教えの賜である。

 

4.サービス産業としての「5S活動」

(1)開倫塾の本社のある栃木県足利市は、日本最古の学校「足利学校」のある街として知られているが、最近で、社員の自主性を尊重する「5Sの街」として日本各地ばかりでなく、世界各地からの視察団が訪れる街として知る人ぞ知る街となった。

(2)経済産業省や日本IE協会はじめ、数多くの経営者やコンサルタントが集う団体から高い評価を受け、2012年には第1回の、2014年には第2回の「世界5Sサミット」を開催したほどだ。

(3)足利商工会議所には「足利5S学校」があり、現在は足利市内外から150社以上が参加。5年前より参加企業の5Sリーダーである「5Sインストラクター」の養成も行っている。足利市役所はじめ行政サービスや学校、介護福祉施設なども参加。

(4)開倫塾の全校舎でも「開倫5S学校」を開設。2015年9月の関東・東北の歴史的大豪雨の際には、冠水した栃木県鹿沼市の鹿沼駅前校や茨城県常総市の石下校、水海道校などの早期復旧に、社員が主体性をもって取り組む足利方式の5S活動は、その精神を大いに発揮した。

(5)改めて言うまでもなく、「5S」は「整理・清掃・整頓・清潔・躾(しつけ)」をローマ字で書いたときの「S」が5つ集まったことを意味するが、頭文字5Sにおける「整理」は不要なものは処分する、つまり、ものごとは選択と集中、優先順位が大事だということも意味し、「問題点を先送りしない経営」「倒産しない会社づくり」に直結する。

(6)「5S」を「倒産しない会社づくり」として捉え、60校舎すべてで行っている学習塾はあまり多くないのではないか。これも、高井先生の「企業は原則倒産」の教えの賜といえる。

 

5.おわりに

(1)これから1年間、12回にわたり高井伸夫先生からお教え頂いたことをどのように活用したらよいかを皆様とご一緒に考えていきたい。

(2)いくら素晴らしい考えでも、それを知るだけで、実際に自分のものとして実行に移さなければ何の意味もない。

(3)「企業は原則倒産」の教えのもとで「四半期決算」「社員の自主性を尊重した5S活動」を行った効果は計り知れない。是非、お試しを。

 

2016年1月18日(月)

 

 

開倫塾のホームページ(www.kairin.co.jp)に林明夫のページがあります。

毎週、数回更新中です。

お時間のあるときに、是非、御高覧ください。

 

 

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右から時計回り
平成28年1月9日(土)11:14 千代田区九段南3にて梅を撮影 花言葉:「高潔、忠実、忍耐」
平成28年1月11日(月)7:44 芝公園にて菜の花を撮影 花言葉:「快活、明るさ」
平成28年1月9日(土)14:49 熱海鶴吉にて桜を撮影 花言葉:「精神の美」 

 

「春が来た」

日本気象協会のHPによると、1月10日に梅の開花が観測されたそうですが、これは平年より16日も早い開花だということです。私自身、気象協会の発表よりも1日早い1月9日午前11時頃、事務所の近所で梅の花が咲いているのを見つけました。1月8日に東京で初霜があったというニュースをテレビで見かけましたので、初霜の翌日にはもう春が訪れたということです。

また、1月11日の午前7時半過ぎに芝公園に出かけたところ、菜の花が咲いていました。成人式の日に菜の花が咲いているのは初めて見ましたし、まして梅の花が満開に咲いていることも今まで体験したことがなかったので、とても驚きました。

暖冬のせいで、今年は春が来るのが早いようです。花々たちも一足早い春の到来に驚いているのではないでしょうか。 

 

 

第3回 マーケティングの意義
(『労働新聞』平成27年3月23日より転載) 


もう20年ほど前のこと、私よりかなり年長の弁護士から、「高井君、弁護士はね、歩いているだけで仕事が来るようでなければダメだよ」と半ば冗談混じりにいわれ、ユニークな表現に感心した記憶がある。時を経て、今では弁護士の世界も競争が激化し、営業に真剣に取り組まなければならない時代になっている。まして国内外の生存競争にさらされ続けている一般企業においては、営業の重要性はなお一層高まっているだろう。

 

ところで、営業とは何であろうか。営業活動は、法的にいえば、申込みと承諾という2つの意思表示の合致による合意の形成を目的とする行為である。私は常々、「営業は偶然と奇跡の連続である」と表現しているが、実は、偶然と奇跡にのみ頼る営業は営業とはいえない。真の営業とは、偶然を必然にし、奇跡を平常にするための普段からの努力と創意工夫をいうのだ。それこそが営業力なのである。

 

ここで私たちは、販売・営業にとってのマーケティングの有用性と必要性を説くドラッカーの有名な言葉を、思い起こさなければならない。即ち、「マーケティングの理想は、販売を不要にすることである。マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである」(『マネジメント〔エッセンシャル版〕』17頁)

 

種々の資料によれば、マーケティングとは日本語に置き換えるのは難しいほど多様な意味を含むようだが、私なりの理解で表現するなら、マーケティングとは“需要の予測”である。自分が売りたい製品やサービスに自信を持つことは結構だが、顧客が求めるものでなければ売れるはずがない。自分本位ではなく、顧客の側の視点で需要を的確に分析し必要とされるものを提供すれば、売り込まなくとも売れるとドラッカーは指摘しているのである。つまり、顧客の価値観を一度自分の価値観に置き換えて合意形成の端緒をつかみ、顧客のニーズおよび価値観に合う提案をすることこそが営業の真髄なのだ。

 

年長弁護士の言葉の真意も、ここにあったと思う。激しい売り込みや自己宣伝をしなくとも、信頼される人間性と高度な専門的能力を備えて社会的に評価される結果を出していれば、顧客の価値観に適い、自然と依頼は来ると諭されたのだろう。

 

経営も営業も、根本は合意の形成である。こちらからの販売・営業活動について、相手がすでに承諾の意思を持っているか、何が承諾の意思につながるかを知ることが、マーケティングの始まりである。殊に現在は、インターネットが高度に発達した情報化社会である。事業体として需要に関する情報を的確に収集・分析・研究して、いかに顧客との合意形成を生み出すかに経営の浮沈がかかっている。

 

そして、マーケティングの意義は、営業職に限らず他の職種・仕事にも応用できるものである。相手の意図や価値観、仕事のゴールを見定めずにやみくもに働いても、無駄な時間を要するだけで仕事としての成果は上がらない。そうなると、歩合制の仕事であれば長時間労働が常態化し、最悪の場合は過労死に至る危険がある。一般の雇用関係でも、サービス残業に傾きがちとなるだろう。各々が自分の持ち場で常にマーケティングと合意の形成を意識することにより、働き方は劇的に変わる。まさに、「彼(かれ)を知り己(おのれ)を知れば、百戦して殆(あやう)からず」なのである。

 

 

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第13回 高井先生言行手控え

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平成27年12月24日(木)7:52 中目黒公園にてゼラニウムを撮影
花言葉:「男心、結婚相手」 

 

 

 

築地双六館 館長
公益社団法人全国求人情報協会 常務理事
吉田 修

 

 

②仕事・職業・労働市場について気になっていること

働く人が誇りを持てる社会に

いまの時代は、働いている人が、何か誇りを失っているような気がします。それは、わが国が世界的に貢献できることが少なくなってきたことによっていると思います。今後、ロボット・AI等が発達するにともなって、これらが労働現場に多く進出し、より一層仕事に誇りを持てない人が増えるでしょう。

誇りを失った労働観、あるいは職業観、あるいは仕事観というものを克服するには、やはり自分の担っている仕事、労働が、社会に貢献しているということを、若者の時代、すなわち幼児、あるいは児童・生徒・学生に徹底的に教え込むことが必要だと思います。そうしてこそ初めて日本人は誇りを持ち得ることになります。

要するに、自己実現ができないという現状のなかで誇りを持たせようとするのは無理なことで、自己実現のあり方の方向性を変えることです。それは、社会貢献あるいは自己実現に代えて、社会実現、世界実現という思想(すなわち、日本あるいは日本人が世界から尊敬される存在になり、世界に誇れるような成果を上げること、そして親日国がどんどん増えていくこと。そのような思想。)を植えこむことが大切だと思います。

 

注目される社会企業家

ビジネスを通じて社会問題の解決を目指す「社会企業家」が途上国や新興国支援で成果を挙げているという記事がありました(日経新聞2015年5月25日朝刊)。30代の若者が多いようです。米国の「大学生就職先ランキング(文系)」(図1)を見ると、教育支援NPO「ティーチ・フォー・アメリカ(TFA)」が、グーグル、アップル、ウォルト・ディズニーらを抜いて1位になっています。

 

 

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(図1)

 

TFAとはアメリカ合衆国のニューヨーク州に本部を置く教育NPOです。アメリカ国内の一流大学の学部卒業生を、教員免許の有無に拘わらず大学卒業から2年間、国内各地の教育困難地域にある学校に常勤講師として赴任させるプログラムを実施しているそうです。5位のピースコープ(平和部隊)は、1961年にケネディ大統領により設立された政府主導の海外ボランティアプログラムの運営実施機関で、2年間アフリカや南米などに行って現地で英語や様々な技術を指導するというものです。

こうした志はまことにすばらしいもので、我々の世代とはまったく異なる価値観と行動力を持ちあわせている人材が米国や日本でも育ってきていることは、頼もしい限りです。この分野では、女性の活躍が目立つようにも感じます。「先進国では優秀な学生ほど社会性の高い仕事を好むなど、社会企業家の裾野は世界で広がっている」という野田稔教授(明治大学大学院)の言葉には、宜べなるかなという思いがします。国際貢献とビジネスを自然に融合させ、両方を成功させるには、真の意味での知性と教養が不可欠であると思います。

全寮制のインターナショナルスクールISAK発起人兼代表理事である小林りんさんも、広い意味で、日本を代表する社会企業家のおひとりであると、私は敬服しております。

 

 

③企業経営・経営者について気になっていること

新産業で攻めの経営を

日本の企業経営の多くは要するに「守りの経営」になっているのではないかと思います。もちろん日本の経済が落ち込んでいることに理由があることは言うまでもありません。企業経営・経営者にある「守りの意識」は、実は、日本の企業が成長性を失ったということに根本原因があります。

成長性を失った日本経済の現状を脱却するには、成長を取り戻す以外にないのであります。それには、新産業を起こすという方法が一番適当でしょう。ロボット、AI、航空機事業、宇宙事業というような新産業について、日本で必死に盛り上げる以外ないと思います。

ビジネスの主戦場が日本国内から世界へ移っているということも挙げられます。グローバル化ということです。さらに主戦場はインターネットという仮想空間にまで広がっています。経営者は、これを前提として対処していかなければならないと思います。ドメスティック、ローカルでとどまっていては発展性がないということです。

生産拠点および市場開拓の海外進出先の選定としては、親日国へ軸足を移すことが必要であると思います。日本の経営者は一般に臆病ですし覚悟がありませんから、まずは親日国ということが明確な国に日本企業の経営資源を移管するということです。もちろん親日国でなくても十分に対処できる可能性のある企業はたくさんありますが、何はともあれ親日国から始めることが大切でしょう。

ちなみに、『愛される日本~外交官に託された親日国からのメッセージを今すべての国民に贈る~』(日本戦略研究フォーラム編2012年ワニブックス)は、台湾、トルコ、インド、タイ、ブラジル、ベトナム、ミャンマーの大使経験者等が、それぞれの体験をもとに、日本が諸外国から愛され尊敬されている事実を語った本であり、「親日国との外交こそが日本にとって最大の資源である!」(同書より)と気づかされる良書です。たとえば、経済大国への道を邁進するインドの人々は、独立戦争を支援した日本への感謝を忘れていないこと、インド初代首相であったネルー氏による『娘に語る世界史』で語られる日露戦争に勝利した日本への賛辞がいまもインドの教科書で紹介されていることなど、ほとんどの日本人は知らないと思います。

 

厚労大臣としてなすべき施策

Q2:先生が仮に厚労大臣になったとしたら、真っ先に着手される施策ベスト5とその理由をご教示ください。

①女性の管理職の登用と教育

女性活躍推進法が成立し、301人以上の労働者を雇用する事業主は、本年4月1日までに、①自社の女性の活躍状況の把握・課題分析、②行動計画の策定・届出・社内周知・公表、③情報公表等を行うことになりました。いわゆるソフトロー(刑罰はないが、公表という形で制裁がある)であり、次世代法(次世代育成支援対策法)と同じ仕組みです。①の課題分析には、採用者に占める女性比率、勤続年数の男女差、労働時間の状況、管理職に占める女性比率の4つの指標の把握が求められています。

私はとりわけ、女性管理職の登用と教育を推奨したいと思います。というのも、管理的職業従事者に占める女性の割合の国際比較をみるとアメリカ(43.1%)、フランス(39.4%)に比べ、日本(11.1%)は極めて低い水準にあります(図2)。

 

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(図2)

 

そして、日本で女性管理職が少ない理由として企業側が挙げる断トツの1位は「現時点では、必要な知識や経験、判断力等を有する女性がいない(54.2%)」というものです(図3)。この回答にこそ課題解決の本質が見い出されます。一つは評価する側である企業自身の判断能力の問題です。公平公正な勤務環境や育成・評価制度の構築にいかほどの努力を払ってきたかということです。

 

 

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(図3)

 

もう一つは、女性自身の昇進モチベーションの問題です。一般従業員の昇進を望まない理由の1位は、「仕事と家庭の両立が困難になる」というものです。これは、配偶者の支援なくしては実現しません。つまり、女性管理職を数多く誕生させるには、職場の上司や配偶者、つまり男性の理解と意思ある行動が不可欠ということです。女性の管理職の登用と教育の浸透を目指して、女性と男性の意識改革と実践行動のための研修プログラムの開発を厚労省、各企業、民間教育事業者が創意工夫をして行う必要があります。

国が行う(委託する)啓発プログラムやイベントは、とかく一方的で面白くない、その結果効果が上がらないというのが通り相場です。それは、教育する立場の者が教育されていないからなのです。教え方が鍛えられていないからです。学校の先生と塾の講師の違いはそこにあります。

霞が関の役人のファシリテート力、パフォーマンス力、コーチング力から鍛える必要があるでしょう。

 

 

②同一(価値)労働同一賃金の法定化

「同一(価値)労働同一賃金」の法定化をすすめるとともに、これを実践化する第一段階、第二段階、第三段階というステージを明確に作り、それを法定化するということを進めましょう。そうすれば、社会の格差問題は大幅に縮減すると思います。ただし、これには労働組合が大反対すると思いますので、そこをどう対処するかが問題です。「連合」事務局長に就任された逢見直人先生にお会いするときに、そのことをお話ししたいと思っています。

 

 

③労働市場のAI化に備えよ

ITの発達に次いで、ロボット・AIの登場という時代になってきました。そうすると、職業も仕事も、当然大幅に様変わりすることを前提として厚労省は対処すべきだと思います。もちろん労働市場も同様です。

例えば職業安定法の改正にあたっては、AI時代を見越して、50年後も通用する内容であることが求められます。職業紹介の定義自体の見直しや許可等の規制範囲を縮小し、結果責任を問う事後規制に移行するなどの対策が求められるところです。

 


④コーチング力の強化

労働政策のひとつとして、「コーチング」を積極的に導入したらどうでしょうか。本人に気づきを与えるということです。本人の発意で仕事にあたっていくようにすれば、真のキャリアアップになるということです。

若い人は礼儀作法がなっちゃいないことにも留意すべきです。これは家庭の問題でもありますが、家庭の教育力が低下しているいまの時代にあっては、若者の礼儀指導の一環として、おもに文部科学省が、道徳教育や礼儀指導を推し進めるべきであると思います。お仕着せにならないように、日本古来のお茶・お花・武道などを通じて精神を学ばせるとよいと思います。

 


⑤高校生の就職活動の規制改革も

高校生の就職活動には制約が多く、その結果、自由応募が主体の大学新卒に早々と切り替えたという経営者の声を多く聴きます。その制約事例の一つである新卒高校生の就職活動における「ひとり1社制」は直ちに廃止すべきです。1社落ちた後の次の会社はグンとレベルが落ちるといいます。時間的な機会損失です。

若者の職業選択の自由(憲法22条1項)の侵害にあたると言っても過言ではないでしょう。自由意志のないところに努力は生まれません。努力がなければ能力は向上せず、自発的な探求心も向上心も生まれません。そして、競争を罪悪視する体制からは、抜きん出た者は絶対に出現しません。この制度によって、たとえば、手に職を得て、日本の製造力を支えようとする人材が多数生まれる土壌が阻害されているとしたら、これは日本社会全体の大きな損失でもあるのです。

 

 

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2015年12月30日(水)東京大学御殿下記念館にて水仙を撮影
花言葉:「うぬぼれ、自己愛」

 

 

2004年9月から2005年9月にかけて、上海のフリーペーパー「コンシェルジュ上海」に小生が連載として書いたものです。10年の年月が経ちましたが、原文通り転載しました。当時としては斬新な内容であったかと思いますが、多くが今でも通用する要諦であると考えております。

例をあげれば、日本企業は中国企業との取引において、全部疑うか、完全に信じてしまうかと二者択一に偏ることが多く、あいかわらず、「中国人は信用できない」とぼやく企業があとを絶ちません。過度に疑うことなく、また、過度に信じることなく、冷静な対応が健全な取引が継続する鍵となることは今も昔も同様です。

また、中国では個人主義も強まることすらあれど、集団主義的な要素は殆ど見受けられません。10年前と比べ、中国の台頭が顕著になった今、巨大市場を有する中国と、冷静かつフェアに付き合っていくために本稿が何らかの参考になれば幸いです。

 

 

『日本人と中国人 第2回』

 

■ 昨年9月号では、日本人と中国人の民族性の違いによる理解不足が原因で、多くのトラブルが起きていると示唆した弁護士・高井伸夫氏。今回は、ともすると眉をひそめたくなるような中国人の「変わり身の早さ」が、現代のソフト化社会には、日本人よりも適応していると言及する。日中関係が緊迫している昨今だからこそ一読し、相互理解を深めたい。

 

「中国人は目前の利益を優先する判断をするのに対し、日本人は長期的なビジョンのもとに判断する」とよく言われるが、実はそのことは、中国人の強みであり日本人の弱みとなりつつある。現代は、農業社会という第一次産業、工業社会という第二次産業、商業・サービス社会という第三次産業を経て、ソフト化・頭脳労働の社会になった。世俗的にいえばIT産業の時代である。

 

ソフト化社会に適応する中国人

農業社会は足腰の時代であり、工業社会は原始工業社会が手工業という言葉で表現されているがごとく、手が武器であった。そして、商業・サービス社会は、「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」という挨拶に始まり、契約・取引ということを中心にした物の交換社会である。そこでは口による意思疎通が武器となる。そして、第四次産業であるソフト化産業は頭脳労働が武器となる時代である。こういう時代になればなるほど、実は「変わり身の早さ」ということが極めて大切になる。さらに直接的に言えば「飛び乗り・飛び降りの精神」がなければならない。孫子の言葉の中にも「兵形象水(兵の形は水にかたどる)」という格言があるが、これは、「水には一定の形がないように、戦い方も不変の体制はあり得ない。敵の情況に合わせて 臨機応変の対策を執ってこそ勝利を握ることができる」という意味である。ソフト化社会においてこそ、この臨機応変の変わり身の早さが最大の武器となるのである。

 

この点、中国人は目前の利益を極めて強く意識し価値判断の基準とする。まさにソフト化社会に相応しい変わり身の早さである。すなわち、「考えること、思うこと、感じること」が頭脳労働であるが、新しいことを考え、新しいことを思い、新しいことを感ずる、そしてそれを商品化する。このことを「新しいビジネスモデルの構築」と言うが、新しいことを考え、思い、感じることは、スピードと変化を絶えず行わなければならないということである。スローな社会では新しさは生まれないし、変化することに躊躇すれば、新しさを求めることに抵抗することになる。ここに中国人の特性は、ソフト化社会において花開くことになるだろう。

 

要するに、日本の社会は、農業社会、工業社会という物作りの世界において優秀さを発揮してきた。そこでは、年に一毛作という一年を周期とした思考が許されたし、また工場で商品を生産するということは、工場・敷地を手当てするとか設備を整えるということについても、また商品の変更についても長期間のレンジで考えていかなければならなかった。つまり、長期的なビジョンに立って物を作っていくということが、実は物作りにおける原点なのである。ところが、さきほど述べたようにソフト化社会においては、当然のことながら変化、新しさを求める。それはスピードを持っているということである。そこでは、中国人の特性が勝利することになろう。したがって、日本企業がその研究・開発拠点を中国国内に設置して、中国人による研究・開発を進めるのも極めて自然な流れであろう。日本の産業が喘いでいるのは、実はソフト化社会に乗り遅れている日本人ということになるのである。日本が物作りに注力したいという思いはITに不向きな民族性から言って相当なことではあるが、それは経済の上部構造ではなく下部構造を占めるにすぎないということも自覚しなければならない。

 

今春、プロ野球球団に名乗りを上げたのは、農業系企業でもなければ製造系企業でもなく、IT産業に所属しているソフトバンクと楽天であった。このことがいかにITを勝ち抜くことが大切かを示しているのであるが、日本人と中国人との特性の違い、すなわち冒頭に述べた、「中国人は目前の利益を優先する判断をするのに対し、日本人は長期的なビジョンの下に判断する」ことから考えて、IT時代には日本は中国に遅れを取ることになるだろう。

 

 

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右上から
2015年12月19日(土)7:11 青葉区青葉台1にてマムを撮影 花言葉:「高貴、高潔」
2015年12月5日(土)9:35 千代田区六番町6にて山茶花を撮影 花言葉:「困難に打ち克つ」
2015年11月29日(日)7:56 芝東照宮にて冬桜を撮影 花言葉:「冷静」 

 

 

第2回 必要性と大義名分
(『労働新聞』平成27年2月23日より転載) 


朝日新聞に昨年10月から106年ぶりに再掲載されている夏目漱石「三四郎」の連載を、毎回読んでいる。大学入学を機に東京での下宿生活を始めた頃の私自身のことなども思い起こされ、感慨深い。連載第47回(2014年12月8日)の欄外コラムには、本文とは関係なくゲーテ(1749~1832年)の「法律は有力なり。必要は更に一層有力なり」(当時の邦訳)という言葉が紹介されていた。これは、彼の代表作「ファウスト」第2部5797節からの引用であるという(現在の訳は「掟の力は強いが、現実の否応なしの力はもっと強いのだ」等)。この大作は、彼が20代の頃から83歳で亡くなる直前まで書き継がれたというから、その意思の強さと無尽蔵の創作意欲には恐れ入る。法律家でもあったゲーテによるこの警句を明治時代の訳を前提に私なりに解釈すると、前段の「有力」とは人々を動かすという意味で、後段は、法律よりも必要性が人を動かすというような意味だと思う。「法律」は命令と禁止の世界であるが、「必要性」は、してもよい・しなくてもよいという本人の選択に委ねられた世界である。したがって、内発的・自発的な意思を基盤とする「必要性」のほうが、「法律」よりも人間を動かす強い起爆剤となる。必要性に突き動かされるとき、そこに道は開けるのだ。

 

労働法の分野ではどうだろう。かつて民間による人材派遣業は、職業安定法44条が禁じる労働者供給事業に当たるとして処罰の対象とされていた。しかし、1970年代半ば以降には、技術革新の進展やサービス経済の発達、女性労働者の増加、そして企業が人件費負担に耐えられなくなった等の社会経済の変化を背景に、労働力の需要・供給双方からの必要性に基づき、実態として人材派遣業は増加していった(思えばここに制度的格差問題の萌芽があった)。こうしたニーズの高まりを受けて、一定の業務については労働者派遣事業が適法化され、派遣労働者の保護を図る労働者派遣法が新しく制定されたのである(1985年6月)。

 

また、必要性といえば、いわゆる整理解雇の4要素のひとつ「人員削減の必要性」も挙げなければならない。人員削減の実施が企業経営上の十分な必要性に基づいていること、ないし「企業の合理的な運営上やむをえない措置」(「東洋酸素事件」東京高判昭54・10・29)と認められるときに、人員削減の必要性があるとされるが(菅野和夫『労働法』第10版567頁)、私が企業経営者の皆さんに説明するときには、単なる必要性では不十分であり、「大義名分」がなければならないと指摘している。なぜなら、単なる必要性では、人員削減に向けて大方の人を十分に説得できないからである。経営者自身が、人員削減措置を講じた先に実現したいと考える未来に向けた構想までも含めて具体的に明示しなければ、反対派を説得しきれない。大義名分とは、「道義」「道理」「道徳」をも包含する理念であり、法律よりも高次元で、単なる必要性よりも強い概念なのである。

 

こう考えると、大義名分の内容とともに、大義名分を語る者自身が絶えず自己刷新し続ける存在であることが極めて重要であると思えてくる。日々漫然と生きている者には、大義名分を語る資格がない。自分自身を常に更新する必要性を敏感に感じ取り、“自己革命”を起こすような努力なしには、他者を説得し動かすことなど到底できない。

 

 

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