弁護士の営業 第27回 お客様の開拓方法(3)

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2015年8月13日(木)7:52 中目黒公園にてキバナコスモスを撮影
花言葉:「野性的な美」

 

 

(9)気を付けるべきこと

弁護士間の競争が激しくなっている今の時代において、事務所でお客様の獲得のために、事実上の営業マンを雇うことも必要となってくるだろう。弁護士も待つだけではなく、積極的に営業活動を行わなくてならない時代になったのだ。

 

(10)ITツールを使った方法

私の事務所では、HPに加えて、Facebookでも情報を発信しているが、FacebookやTwitter等はHPなどへの入口に過ぎないため、HPへ誘導した後、どのようアプローチし、クロージングに持ち込むかの誘導経路の構築ができていなければ、顧客開拓にはつながらない。

これらのITツールには、有象無象があるが、事務所との関わりを検討されている方々が、事務所の素顔に触れ、事務所を知ることが出来るので、顧問先の開拓を目的とするならば、ある程度は有効だろう。しかし、ファーストアプローチとしては、「労多くして効少なし」と判断される場合が多い。しかし、時間が無駄かもしれないけれども、それでもやらなければならない。営業はコストだけでなく、心理学でもあるから、事務所内外を説得、納得させなければならないので、一般的に普及しているITツールも使わなければならないのである。

また、お客様が法律事務所を選ぶポイントは、”実績””安心感””面倒見の良さ”や”権威”、更には”名前が売れているか”であろうから、陰に陽に忙しいことをアピールするのも1つの手だろう。

ただし、昨今、コンプライアンス重視の傾向が強いため、ITツールの使い方は慎重に考える必要がある。単なる「情報」の発信ではなく、「事務所の内容を良く分かってもらえる情報」の発信が有用なのだ。

 

(11)後継者の育成

事務所を継続発展させていく上では、後継者の育成も重要となる。後継者を育成することは、事務所のさらなる発展にも繋がることとなる。反対に、後継者不在で自分の引退とともに事務所を閉めることになれば、往々にして信頼関係を築いてきたお客様に迷惑をかけることになる。お客様が、以前頼んでいた事件に絡んで再度問題が起き、その事件を担当した事務所がなくなったため当時の担当弁護士を訪ねたところ、「自分は引き継いでいないし、資料も残っていないため分からない。」と言われたという話は珍しくない。お客様と長く付き合い、安定したサービスを提供するためには、後継者を育成し、自分の引退後も事務所を存続させなければならない。ただ、後継者と前任者との考え方に相違があってはならない。考え方の相違があると、引継ぎ後、やはりお客様に迷惑をかけることになるからである。

後継者への引継ぎにあたっては、長期的に周到な計画をたてる必要がある。まず、後継者候補を選ぶことから始まるが、後継者選びのポイントは、事務所の方針や理念を十分に理解し、経営能力にも長けた人物を探すことである。次に、後継者を育成するにあたって、円滑に事業を承継するために、長期的な計画をたて、じっくりと育てることが肝要である。特に身内以外の勤務弁護士に引き継がせる場合には、お客様にとっては、「先代=後継者」とは見えず、知名度や信頼度が大幅に下がる可能性があることには十分に注意すべきである。後継者と十分意思疎通した上で事業内容や経営理念をじっくりと引き継いでいくことは勿論、経営のノウハウを養うために、早い段階から経営に参画させたり、弁護士業務のみならず他部署とのミーティング等に参加させたりすること等も必要となる。さらには、後継者一人では成り立たないため、引継ぎ後の体制を強化すべく、ブレーンの育成も重要課題となる。

自分よりも優秀な人物が後継者になれば、すこぶる幸せなことだ。ここで言う優秀とは、他の弁護士が憧れるような弁護士のことである。

 

 

おわりに

 

弁護士の営業は、時代の流れを意識しながら長期的な視点も含めて取り組まなければならない。今日のことだけを頑張っていても、弁護士事務所としては長続きしないだろう。今日のことだけではなく、明日のこと、来週のこと、来年のこと、5年、10年先を頭において営業に取り組まなければならない。一日単位の綿密な営業計画を立てても、計画どおりにいかないことが常であるが、時代の流れを意識した長期的な営業計画・目標を念頭におけば、それが指針となり、励みとなる。

目標があれば、それに向かって努力し邁進することができる。目標とは、人が情熱を傾けることのできる対象であり、また、困難にぶつかったような時に乗りきる勇気を与えてくれるものである。私は事務所を設立した当初、人事労務問題を専門としたグローバルな事務所にしようと決め、その目標を達成するために邁進してきた。

営業活動を続けても、すぐに効果はでないかもしれない。しかし、時間がかかっても、評価は後から必然的についてくるものであるから、途中で投げ出さない姿勢がなによりも大切である。

明けない夜はない。朝が来ると信じるからこそ、我々は苦境を切り抜けるための努力ができる。まさに「継続は力なり」なのである。

 

最後に、弁護士とは、文字通り人を弁護する者であるが、弁護される人がいて初めて成り立つ仕事である。即ち、弁護士は代理人であって当事者ではない。弁護士は、自力では十分に戦うことのできないお客様の代理人として、お客様の利益を保護するために法廷等に立つ。お客様は弁護士に自分の運命、問題の成り行きを委ねるしかない。弁護士は、勝っても負けても代理人に過ぎないが、しかし、お客様の運命を握っているということも肝に銘じておくべきである。そして、それだけに、弁護士はお客様に救いを与える存在でなければならない。

お客様が弁護士に相談する時点で、お客様自身では既に問題を解決できない深刻な事態に陥り、問題に悩まされるだけでなく精神的にも追い詰められた状況にあることが多いため、救いの存在としてお客様の心に安堵感を与えられなければならない。救いの存在となれるか否かで弁護士の真価が問われる。

 

どんな人であれ、結局、自分の力を発揮するということに尽きる。「自分の力」を発揮するとは、人としての力を発揮することであり、弁護士も、忍耐力や連帯心、向上心など人としての力を発揮しなければならない。人としての力を最大限に発揮しようとすれば、現状に満足することなく、自分の周りの変化に即対応する姿勢をもち、時代の流れに取り残されることなく進化していくことができるのではないだろうか。

 

弁護士は利他主義、つまり自己の利益より他人の利益を優先する考え方を持つ必要がある。それは、お客様の悩みに寄り添い、一緒に解決していくという気持ちがなければ、他人の利益を尊重することはできないからである。お客様との関係において、弁護士は常にこれを心しておかなければならない。

人は、どんな状況でも生きる意味を見つけ、内面的に成長するという心構えが必要だ。弁護士は、お客様との関係を通じて生きる意味を見つけ、内面的な成長を実現することができる。お客様に尽くすことで、私の後輩であるあなた方の、生まれてきたことの意味や弁護士としての役割を知ることとなるのである。

 

<新人弁護士道13訓>

1.         あすなろう、の思いを強くもって生きたい。

2.         心の中に、理想の自画像を刻みたい。

3.         この仕事は必ずやり遂げる、という確信を持ちたい。

4.         手当たり次第、書物を乱読したい。

5.         心で怒って笑みを絶やさぬ態度でありたい。

6.         より多くの信頼できる友人を持ちたい。

7.         エチュードを重ねるトレーニングをしたい。

8.         頼られる人間の魅力を研究したい。

9.         いつも到達目標を掲げたい。

10.       隣の仲間が敬礼してくれる日を夢見たい。

11.       後進が重宝がってくれる先輩になりたい。

12.       読む、聞く、覚える、考える習慣を忘れない。

13.       よその畑は荒らさないが、手をつなぎたい。

 

以上

 

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