第7回 高井先生言行手控え

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2015年6月28日(日)8:04
東京都千代田区三番町/東京家政学院中学校・高校前にて
キンギョソウを撮影
花言葉:『清純な心』

 

築地双六館館長
公益社団法人全国求人情報協会 常務理事
吉田 修

 

■髙井先生版「考えるヒント」

高井先生には四半世紀にわたって、種々のご指導をいただいて参りました。今回から、6回にわたって髙井先生が実際に話されたお言葉や著作の中から、名言・至言及び寸鉄・箴言を選りすぐってご紹介したいと思います。若い方はご存じないかもしれませんが、小林秀雄の昭和40年代のベストセラーに「考えるヒント」がありました。斬新な発想と徹底した思索で、多くの読者に新たな視点や発見を与えてきた永遠の名著です。広く深い洞察から地中に埋蔵された真理に焦点を当て、しなやかな感性と揺るぎない論理で掘削し、目的物に達する様は二人に共通するものではないかとかねてより思っていました。小林は、「当麻(たえま)」の中で世阿弥の美にふれて、こう書いています。「美しい『花』がある。『花』の美しさというものはない。」と。

 

髙井先生は、著書「企業経営と労務管理」の中で、こう書かれています。少し長いですが、引用いたします。

「労務担当者としての資質には、情感と精神のみずみずしさが求められる、情感とは心の青さを感ずると書くが、要するに他人のために本当に泣くことができるか否かということである。『感動』という言葉はあるが、『理動』とか『知動』という言葉は存在しない。言葉がないということはそのような事実が存在しないということなのである。これは人を動かす動因はロジックではなくしてセンシビリティであることを端的に示すものである。棟方志功は、『人が感動するのは青色ではなく青さである』 と言っている。まさに至言である。」と。

私は、誠に不遜ながら、先生の長年の言動を踏まえて、何とか髙井先生版「考えるヒント」を読者の皆様にお届けできないかと思いました。恥をさらしつつも、先生のブログに書き記すことが、先生の恩顧に報いる一つの方法になるのではないかという結論に達したわけです。

 

■美術鑑賞のコツ

先生は、美術についてご興味をお持ちで、かつて、「日経アート」にコラムを連載しておられました。抽象画、とりわけ、カンディンスキーを好んでおられます。その先生から、以前、このようなお話を伺いました。「多忙な中でも美術館に赴くことは大切なことです。時間のない中で、美を発見するにはコツがあります。館長から『あなたの最も好きな作品を差し上げます。』と言われたと仮定しましょう。先ずは、展示室の真ん中に立って、ピンと来た作品を一つ発見して下さい。そして、その作品の前に行って、じっくり鑑賞しましょう。他の作品は一切見てはいけません。そういう覚悟が必要です。こういう風にして、2、3の主だった作品が展示されている展示室をめぐり、その部屋ごとのお気に入りの作品を決め、その中から、今日のマイベストを選ぶのです。その作品はあなたの右脳に一生焼き付けられることでしょう。」まさに、名人技の鑑賞術です。小林秀雄は美の分析の無意味さを説きました。先生は美を比較検討するのではなく、感じ取ることの大切さを話しておられました。希代の文芸評論家と法律家の感性は、凡夫の及ぶところではないことがよくわかります。

 

■正々の旗 堂々の陣

15年前くらいのことです。私が仕事上の何かの案件について、先生に意見書をお願いしたことがあります。

その折の意見書の冒頭に、案件に臨む上での基本スタンスが述べられていました。それは「正正の旗、堂堂の陣の前では無理をするな」というものでした。孫子では、勝つことよりも、「どうしたら負けないか」を説いています。原文の現代語訳では「近きを以て遠きを待ち、万全を以て疲弊を待ち、自らを充足させて敵の不足を待つ、これを力を治むる者という。正正として旗の乱れざる敵を迎えること無く、堂堂として陣の崩れざる敵を撃つこと無し、これを変を治むる者という。」となっています。

「敵の体制に乱れがないうちは攻めてはいけない。」というご意見に従って事無きことを得たことは言うまでもありません。先生は種々の法律問題への対処にあたって、原理原則や基本スタンスを大切にされ、クライアントにそのことを最初に説明されます。技術論はその後のことです。大局観を得て、腹を据えることも相談者たるクライアント側のマナーでもあるわけです。

 

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