2015年3月15日(日)7:00 東京都港区南麻布1丁目にて
アケボノアセビを撮影
花言葉:「犠牲」「献身」「清純な心」
(5)本音を引き出す
本音を引き出すということは大変難しいことである。その手法として、小生は「裏を返す」ことを意識している。これは、逆の見方をする、あるいは本当の言葉(本音)を言うという意味であるが、弁護士にとって、お客様からこの本音を引き出すことは、問題解決を望ましい形で実現するうえで欠かせない。
そこで、いかにお客様から「裏を返す」言葉を引き出すかであるが、最も重要なことは弁護士とお客様の間で継続的な信頼関係を築くことである。初めてお客様に会う時にはお互い緊張しているため素顔を見せず、上辺のみの通り一遍のやりとりに終わり、お客様が本音を吐露することは少ないであろう。だが、2度3度と、心が打ち解けてきて少し本音が多くなるものである。即ち、関係を重ねるごとに親近感が増し、本音を打ち明けられるようになるものであるが、これは心理学においても提唱されている効果である。「単純接触効果」と呼ばれるが、何度も見たり聞いたり繰り返し接すると、次第に良い感情が起こるようになり好感度や印象が高まるというものである。
だから弁護士も、お客様から本音を引き出すためには繰り返し、少なくとも2度は会わなければならないのである。これは、弁護士として仕事をするうえで重要なことである。メールでのやり取りは「会った」ことにはならない。メールは上辺だけの付き合いだからである。
また、食事をすることも、打ち解けるためには有効な方法だろう。その際、お酒が入れば尚良い。リラックスして本音で語り合えるようになるからだ。
(6)説明責任
弁護士は、お客様から常に説明を求められるため、これに正確かつ的確に回答すべき責任がある。
この説明責任を果たすためには、十分な情報を持ち、その中から必要な情報を的確に選別し、分かり易く説明しなければならない。お客様にとっては、的確な回答が得られる弁護士こそ、信頼を寄せられる弁護士なのである。情報化社会においては特に、多くの情報の中からお客様にとって必要な情報を選び出し、過不足のない論理を構築し、分かり易く説明することのできる弁護士こそ、大衆の支持と信頼を集めることができるのである。説明責任は、企業経営にとってもコンプライアンスが叫ばれる中で重要な位置を占めるため、企業が「説明責任」を果たす場面において、企業の事情を理解している弁護士は大いに貢献できるであろう。
また、依頼者に報告書を出す、あるいは、依頼者になろうとする人に報告書を出す時には、人、物、金、という順序で報告を出すことが一番妥当である。つまり、何をおいても、担当者の人の問題、相手の人の問題、関係者の人の問題を論ずることが、一番解決への近道になるということである。
もちろん、案件の単純さや複雑さを書くことも大切だ。しかし、それ以前に人の問題を書くことである。そして、物の問題、すなわち事実関係をはっきりさせることである。その上でお金の問題も書くことである。報告書においては絶えずそれを意識していくことが重要である。
そして忘れがちなのは、時間との問題である。時は金なりと言うが、金の問題には、所要時間など時間の問題も報告すべきだということである(小生は、人、物、金だけではなくて、情報、信用、組織、規約、帳簿に関して触れることにしている)。
(7)アフターケア
「アフターケア」とは、相談案件や訴訟案件などが一定の解決をみたあと、その後滞りがないかを確認することである。滞りがあった場合には、担当弁護士は事情を熟知しているため、迅速な解決が期待できるという、新規の弁護士とは異なる大きなメリットがある。
弁護士が、滞りがあるかどうかを確認することでお客様のことを気に掛けているということがお客様に伝わる。即ち、アフターケアはお客様に関心を持ち続けていることを伝えるメッセージなのである。このメッセージによって、お客様は安堵するのである。そのことが、実はお客様に弁護士としての自分の名前を引き続き覚えて貰えるということに繋がる。アフターケアは、お客様との間で生まれたご縁を大切にし、関係を育てていくことであり、営業にとって欠かすことのできない要素である。