「弁護士の営業」第3回 弁護士に期待すること(1)

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2014年1月25日(土)名古屋市昭和区広路町松風園付近にて南天を撮影

 

 

弁護士の素養

 

私が期待する弁護士の素養には、次の3つがある。

 

[1]ハングリー精神

 

ハングリー精神と聞くと、アップル社元CEOの故・スティーブ・ジョブズ氏が2005年に米スタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチの「Stay Hungry. Stay Foolish.」という一節を思い起こす人もいるのではないか。

 

ハングリー精神とは、英語の“hungry”に由来し、現状に満足することなく、より高い目標を目指して死に物狂いで挑戦し続ける姿を指すが、要するに、飢餓状態で生き抜くために集中力を発揮し必死になる姿を指すのであろう。現在の日本では、ハングリーな姿勢は、時に「ガツガツしている」とネガティブに捉えられることもあるが、目まぐるしく変化する今日のグローバル社会で生き残るためには欠かせない姿勢である。同様に、火事場の馬鹿力とは非常事態に直面した時に思いがけない力を発揮するという意味である。脳は、筋肉を動かしたり、行動を起こしたりするとき、普段は70%~80%程度の力しか出さないよう、コントロールしているが、危機的状態におかれると、脳のコントロール機能が外れ、100%の力を発揮できるそうだ。飢餓状態などの非常事態においては、人は普段以上の力を発揮するものであり、物事を成し遂げる力も強靭になるのであろう。

ただ、他律的に窮地に追い込まれたときに反射運動として馬鹿力を発揮するのとは異なり、衣食住足りてそこそこの満足感のある状態のなかでハングリーな気持ちを高めることは、ある種の高等なフィクションであり、よほどの強い克己心・向上心・自律性・問題意識を備えていないと非常に難しい。経済的な苦労のない学生が多いであろうスタンフォード大学で、ジョブズ氏が敢えてハングリーという言葉を持ち出したのも、恵まれた環境にあったとしても、より高い次元でのハングリーを自分の力で生み出して自らの可能性に挑戦せよという温かい激励だったのだろう。

このようなハングリー精神で物事に取り組むか否かによって、5年後10年後には、成長に大きな違いが生じることを、私は実際に多く見てきている。

[2]人柄


方、依頼者が弁護士に期待することとは、いったい何だろうか。この連載の第1回目でも述べたように、弁護士人口が増えたことにより、現在の日本は依頼者が弁護士を選ぶ時代になった。弁護士が、依頼者に尊大な態度や嘲笑する態度等をとってはいけないことは、言うまでもないだろう。依頼者にとって魅力的に思えるアピールポイントが弁護士に備わっていてはじめて、依頼者は具体的にその弁護士に仕事を依頼するかどうかの検討に入るものである。そして、依頼者がいなければ、弁護士として成り立たないと銘記することが、弁護士としての営業の出発点である。

依頼者が弁護士を選ぶ際に重要な決め手となるのは、まず弁護士の人柄(人間性)であろう。加えて謙虚で勉強し続ける弁護士が選ばれる時代になっている。講演にしても、執筆にしても、それが勉強の証となり、営業活動の大きなツールとなる。

何より若手のうちに基本的に要求される資質は、誠心と責任感である。誠心・責任感の有無は、自己の満足によって測られるものではなく、依頼者の評価によるものである。

誠心・責任感を表現するために、まず基本となるのはコミュニケーションである。依頼者の大半が企業である場合には、この評価は一層公平、公正であると共に峻厳に行われることを忘れてはならない。

唯救いは、努力・精進・気配りがあれば、そして、それが誠心・責任感に通ずるものであれば、能力を充分補うに足るといえることである。

また、業務遂行にあたって一番大切なことは、依頼者に安心感・満足感を与えることである。依頼者は絶えず弁護士を考課していることを忘れてはならない。その際、先に述べたコミュニケーション能力は元より、人間としての力量、人間性にも評価が及んでいることを忘れてはならない。

 

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