「花」第12回:花ことば(2)+付録

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2013年10月21日(月)日本時間12:05
中国 上海市新天地の路地にて日々草を撮影
花言葉:「楽しい思い出」

 

花々が芽吹き始める早春の2月1日(金)から「花」をテーマに連載してまいりましたが、気づけば季節はめぐり、秋風に花々がゆらぎ、散りゆく花々や木々の葉の姿が、まもなく訪れる冬を感じさせる頃となりました。

 

前回10月17日(金)付け記事に引き続き花ことばについてお話します。

 

花ことばの発祥は、17世紀頃のトルコであるとされているそうです。これが、ヨーロッパ中に広がり、各国それぞれが、その花のイメージなどから花ことばを作り出してきたそうです。現在行われているような花ことばの慣行は、とりわけ19世紀の西欧社会で盛んになったということです。

 

花ことばは、日本には、明治初期頃、イギリスを中心に西洋から伝わったとされており、日本では、花に携わる人々が、その花に合った言葉を考えるなどして広がっていったそうです(参考:NHKホームページ「ことばの宝箱」より)。華やかな大輪の花、つつましくひかえめな花は、それぞれの個性にあった花ことばを持っています。

 

また、目にする機会が少ないためにすぐには思い浮びにくい、高山に咲く花たちにも花ことばはつけられているそうです。たとえば「コマクサ」は、標高2000m~3000m付近、他の植物が生育できないような厳しい環境に生きることから「高山植物の女王」と称されており、その花ことばは「高嶺の花」です。過酷な条件の高山で生き、それゆえに、万人が目にすることの少ない、この花ならではの花ことばといえましょう。

 

コマクサは、まるで小さなシャンデリアのような独特の形をした花で、名前の由来はその形が「駒(馬)」の顔に似ていることから来ているそうです。学名の「Makino」は、多数の新種を発見し命名した、日本の植物学者の父ともいわれる牧野富太郎氏(1862年~1957年)が命名したものです。コマクサは、主に大雪山系(北海道)、白馬岳、蓮華岳(ともに長野県と富山県にまたがる)、燕岳(長野県)にて群落が見られるとのことです。

 

 

さて、ヨーロッパから伝わった花ことばという文化が、日本に伝わり、東西問わず人々がそれを受け入れられたという歴史は、人々が花に対して共通の感情を持っている証左でもあると思います。この点については、私が出会った『花ことば-起原と歴史を探る』〔八坂書房、2004〕という本の中で熊本県立大学文学部教授 樋口康夫先生が「ある民族の直感の集合が世界共通の認識となる場合もあろう。現在、世界に見られる『花ことば』はそうして得られた人々の努力と知識の集積の結果ではないのだろうか」と述べられています。

 

たとえば、私は、紅のバラからは、燃えあがる情熱を感じますが、調べてみると、「死ぬほど恋いこがれています」という激しい愛の花ことばが付けられています。ある花の花ことばを知ると、妙な納得感を得るのは、民族を問わず、世界各国の人々が、ある花のイメージを霊感的に共有しているのではないでしょうか。これは、花と人との対話であり、自然との交流であり、宇宙との共鳴であると思います。

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2013年5月6日(月)朝7:12

東京都渋谷区代々木公園にて撮影

 

私は白百合を見ると、亡妻孝子と亡娘真理子とのカトリック麻布教会での別れを思い出します。白百合は聖母マリアの象徴、「マリアの花」とよばれ、純潔や美徳のシンボルとされているそうです(花ことばも「純潔」「無垢」等です)。また、「ゆり」は、ゆらゆら揺れるその様から「揺る」に由来があるともいいます。細い茎に大きな花がついており、香り高く、清楚であるだけでなく、その姿が風になびく姿も、なにか神々しさを感じます。

 

あの日、白百合が一本、また一本と、献花に訪れた方々の手から棺に乗せられるとき、人々の彼女らへの愛が、白百合をとおして宇宙へと立ち上っていく思いがいたしました。実際に、亡娘真理子のカトリック麻布教会での告別式の日に空には、虹が出ていました。

 

彼女らをうしなった悲しみは、どれほどの時が流れても癒えることがありません。しかし、一方で、あの別れの日の純白の百合が、私のまっ暗闇の心の奥深くで光を束ねるように凛と咲き、虚空の世界、宇宙に旅立った彼女らと、たしかにつながっているようにも思えるのです。

 

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2013年7月18日(木)午前6:55 東京都目黒区中目黒公園にて撮影

 

~今回の記事執筆にあたって、ホリスティックサロン Lily セラピスト 小田島 彩子様石草流生け花 家元後継 奥平清祥様にご協力いただきました。ありがとうございました。

 

 

付録 佐賀・武雄市図書館を訪問

 

私は本年9月5日(木)、佐賀・武雄市図書館を訪問しました。その際ご同行頂いた橋口電機株式会社の代表取締役副社長・橋口佳代子さまに、この度の訪問についてご寄稿いただきましたのでご紹介します。

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武雄市図書館(佐賀県武雄市武雄町大字武雄5304番地1)に髙井先生をご案内しました。

 

この図書館は、佐賀県武雄市が運営をカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)に委託して本年4月に改装オープンしました。

日本広しといえども、100頁近いガイドブックを出版している図書館は、そう多くはないと思います(『たけお散歩 武雄市図書館公式ガイドブック』2013.7.31発行、定価500円)。髙井先生をお連れした当日も、行政視察を含め混み合っており、千客万来、約300台の駐車場も満杯でした。本年4月のリニューアル開館から3ヵ月で26万人の入館者数を記録しており、1日当たりの平均来館者数は約2900人(前年度比4倍)、図書貸し出し数も平均で1644冊(同約2倍)に達しています。年単位で見れば、毎年11月上旬に開催される、あの有名な佐賀のバルーンフェスタを超す勢いだと思います。

 

武雄市図書館には現図書館長の杉原豊秋様と、前図書館長で武雄市教育委員会の中野優様がいらっしゃって、このお二人からも詳細な説明を頂きました。

武雄市とCCCが手を取り、両者の費用負担を軽減するためのモデルを共創しているとのこと。武雄市図書館のセールスポイントは、20万冊以上の蔵書に加え、雑誌や本を“買える”コーナーがあることです。レンタルショップ「TSUTAYA(ツタヤ)」が組み込まれており、購入もできるのです。またカフェダイニング「スターバックスコーヒー」も併設され、図書館カードに代わるポイントカード(Tポイントが貯まる)も利用できます。開館時間は従来よりも3時間延ばし、午前9時~午後9時までに。年間約30日あった休館日も「年中無休」になりました。図書館の年間運営コストも、指定管理で総額約1億2000万円から約1000万円削減する見込みとのことです。

 

確かにスターバックスコーヒーからの眺めは抜群で、心が洗われます。カフェは楽しさや人と語れる雰囲気をかもし出し、若者や子連れの母親達が集まりやすくなりました。店内でワイワイガヤガヤと語らっていても、館内に流れる大きめのBGMで打ち消され、気にならないような工夫がされています。また、読書専用スペースや学習室に入ると途端に音が聞こえなくなります。これらを設計だけで達成しているといいますから驚きです。

総じて来館者の利便性にワンストップで応えたことが、飛躍的な集客数につながっているようです。

加えて、そもそも武雄は元々鍋島藩だったが、代々の藩主が勉強好きで、この図書館にふさわしい地盤を備えていたのでしょうというお話が印象的でした。

 

併せて、武雄市図書館を囲むロケーションについてお話しようと思います。

図書館のある武雄市は、佐賀県の西部にある人口5万人の市です。市の中心地の街には開湯以来1300年経つ武雄温泉があり、今でも古い大衆浴場や格式のある温泉旅館があります。

伝説によると、神功皇后(ヤマトタケルの第2子である仲哀天皇の后)が凱旋の途、太刀の柄(つか)で岩を一突きしたところ、たちどころに湯が湧き出たと言われており、よって昔は柄崎温泉、また、蓬莱山の麓に湧くことから蓬莱泉とも呼ばれていたそうです。

いま一つ、動物による開湯のいいつたえもあり、足を痛めた一羽の白鷺が米守の谷あいの岩間から湧き出ている温泉を見つけ、毎日その温泉に足を浸しているうちに傷が癒えたのが始まりとも伝えられます。

 

温泉街から車で5分ほどの場所には御船山という特徴的な小山があります。

かつては自然の要塞として城が築かれ、また、江戸時代には第28代武雄領主の鍋島茂義(1800~1862)の別荘として、敷地15万坪の御船山楽園が作られました。御船山は、今も、武雄のシンボルとして地元から愛され、春は桜が咲き誇り、観光客で賑わいます。武雄市図書館はその御船山を背景にゆったりとたたずんでいます。

近隣には有田焼の有田町、美肌の湯の嬉野温泉もあります。

 

武雄市図書館にご興味がおありの方、ぜひ武雄市にお越しください。

図書館はもちろんのこと、”図書館以上の魅力”を味わっていただけることと思います。

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