「花」第9回:花の魅力~色、姿、佇まい、香り(2)+付録

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2013年9月10日(火)12:01  秋田県鹿角市八幡平湯瀬
『和心の宿 姫の湯』 前にてコスモスを撮影
花言葉:「乙女の真心」

 

 

花は、さまざまな色、姿、佇まいで、香り、私たちを楽しませます。

これらの多様性は、植物の生存戦略から来るものですが(詳しくは5月17日付記事をご覧ください)、花の香りについても同様で、花は、花粉を媒介してくれる昆虫を呼び寄せるために香りを出します。

私が特に好きな花の香りは、梅です。梅の香りについては3月1日付のブログで詳しく書きましたが、「馥郁たる梅の香り」という言葉があるとおり、梅は、そのほんのりとしたかぐわしい香りを漂わせてくれます。『もう一枝あれかし』(あさのあつこ著)にもありましたが、姿を見ずとも、香りを愛でることができる梅は、夜が似つかわしい気がいたします。

 

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2013年2月11日(月)東京都文京区 7:26 小石川後楽園にて撮影

 

さて、花の香りがどこから来るのかというと、花の種類によって異なり、ユリは花弁から、梅の花は花弁だけでなく、蜜からも香りが出ているのだそうです。

ユリの香りについて述べると、ユリの開花時期は品種や栽培法によって異なりますが、主に4月~8月で、その甘い香りは、人によって好みが分かれるものの、さまざまなブランドからユリの香りをイメージした香水が発売されていますから(たとえば、エスティーローダの「プレジャースインテンス」等)、人々を魅了する香りには間違いありません。

 

20130920-2.jpg2013年7月7日(日)10:07 栃木県大田原町常敬寺にて撮影

 

ユリといえば、江戸時代後期に来日したフィリップ・フランツ・フォン・シーボルト(1796年~1866年)は、日本に大変興味を持ち、庶民の日用品等をはじめさまざまな分野のものを収集したことで有名ですが(その数は1万点にものぼると推察されているそうです)、日本の花の多様性にも感嘆し、各種花々の種子や球根をヨーロッパに持ち帰ったそうです。生きた植物は多くが航海中に失われましたが、それでもシーボルトは2000株近い日本植物を運び出すことに成功し、それらのなかでも代表的なものがユリとのことです。

 

20130920-3.jpg2012年12月16日(日)12:57 
千葉県山武郡九十九里町片貝 九十九里ハーブガーデンにて撮影

 

ユリは、カサブランカ等が有名ですが、実はいずれも日本産であり、シーボルトによってヨーロッパにもたらされたテッポウユリやカノコユリ、ヤマユリ、タメトモユリ、タモトユリ等をもとに様々な交配が行われた結果、誕生した品種だそうで、交配親のユリのいずれの特徴も兼ね備えているといわれています。

テッポウユリは、4月~6月にかけて、純白の花を横向きに付けますが、昼間はかすかな香りしかしないものの、夜になると香りは次第に強くなり、芳醇な花の香りを放ちはじめ、暗がりの中でも芳香によってその存在を明確に特定できるほどだそうです(参考:『シーボルト日本植物誌』<大場秀章〔監修・解説〕、筑摩書房>、マイライフ手帳@ニュース2008年4月17日付記事、カネボウ化粧品株式会社HP「花の香り研究」)。なお、キリスト教圏では、聖母マリアの花とされる白ユリの品種「マドンナ・リリー」が、テッポウユリがヨーロッパにもたらされるやいなや、これに取って代わったのだそうです。なお、白ユリについては別の機会にまた述べたいと思います。

ヤマユリは、幕末から昭和初期にかけて、大量にヨーロッパに輸出するために乱獲され、栽培が難しいヤマユリはいまではあまり見かけなくなってしまったそうです。

ほかにも、アジアからヨーロッパに紹介された草花で驚かれたものは、ヒマラヤの青いケシがあります。青い花は少ないため、憧れの品種改良の目的となったそうです。


また、シーボルトの鳴滝塾跡(長崎市鳴滝)に建つ銅像のまわりは、青い紫陽花で囲まれているそうです。シーボルトは、紫陽花の花がお気に入りであったそうで、ヨーロッパに持ち帰った際、彼が愛してやまなかった楠本瀧(おタキさん)の名前から、紫陽花を「オタクサ」として紹介したのだそうです。シーボルトが紹介した「Hydrangea Otaksa(オタクサ)」という品種は、ハイドランジャ(セイヨウアジサイ)の品種改良の基となったそうです。

シーボルトとおタキさん、紫陽花にまつわるエピソードは、長崎では紫陽花を「おたくさ」と読むほどなじみ深く、毎年5月下旬から6月中旬にかけて、「ながさき紫陽花(おたくさ)祭り」が開催され、期間中は約5000株の紫陽花が長崎市各所を彩るのだそうです。なお、ユリもまた、クリスチャンの多い長崎では、聖母マリアの花として、身近な花であるとのことです。

 

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2012年6月17日(日)東京都千代田区千鳥ヶ淵交差点付近にて撮影

 

また、トロイア遺跡を発掘したヨハン・ルートヴィヒ・ハインリヒ・ユリウス・シュリーマン(1822年~1890年)は、1865年6月に日本を訪れた際、「家々の奥の方にはかならず、花が咲いていて、低く刈り込まれた木でふちどられた小さな庭が見える。日本人はみんな園芸愛好家である。日本の住宅はおしなべて清潔さのお手本になるだろう。」と述べています(『シュリーマン旅行記-清国・日本』石井和子訳、1998、講談社学術文庫)。

このように、日本を訪れた海外の偉人たちが、色、姿、香りが繊細な種々の日本の花々に魅了されてきました。日本の四季のある豊かな自然にそっと寄り添い咲く花々を、愛したのでしょう。

 

2月1日にこのブログで「花」をテーマに連載を始めましたが、気づけば夏は過ぎ、いまは秋風がもの寂しく吹く季節がきました。私が毎朝の散歩で出会う、季節に寄り添うように咲く花々を見るたびに、時の流れの速さを痛感し、そして、いままでの人生で積み重ねてきた哀しみ、虚しさを突如感じることがあります。なにをもってしても埋められない、こころの空白感とでもいいましょうか。

しかし、花が芽吹き、力強く咲き、そして瞬く間に散るその姿をみると、大自然の、宇宙の永劫の営みを感じます。私という存在も、花とおなじく、宇宙のなかの一粒の塵に過ぎない小さなものです。私の思い煩いなど、宇宙という大いなるものの運行の流れに委ねるものであると悟ると、こころの空白感が、すっと満たされる気がいたします。

さて、花の香りやその成分は、近代医療が発達する以前、人間の健康のために欠かせない役割をも担ってきたそうです。これについては、次回のブログでお話します。

 

~今回の記事執筆にあたって、ランドブリーズ渡辺憲司様、ホリスティックサロン Lily セラピスト 小田島彩子様、コネックス・インターナショナル株式会社代表取締役 松浦和光様にご協力いただきました。ありがとうございました。

 

 

付録 「メンタルヘルスと鍼治療」(上)

厚生労働省が平成25年6月21日に発表した「平成24年度 『脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況』まとめ」によれば、精神障害の労働災害の支給決定件数は475件(前年度比150件の増)で、過去最多であり、労災請求件数も1257件で、前年度比15件の減とはなったものの、依然高水準で推移しています。

平成19年度の労災申請から、24年度に至るまで、精神面を原因とする件数が、身体面を原因とする件数を上回る状況が続いており、メンタルヘルス問題が、働く日本人の国民病ともいえる由々しき事態となっています。また、メンタルヘルスは、再発するリスクの高い病気でもあります。

メンタルヘルスの治療法として、「鍼」を使ったものも、古来より確立しているとお話しくださったのは、私が、ほぼ毎週、診療していただいている、ツチヤ鍼療所 所長 土屋喬先生です。


ツチヤ鍼療所 静岡県伊東市岡広町1-6 TEL & FAX 0557-37-3219

http://www.geocities.jp/tonkai_tsuchiya/


土屋先生に、「メンタルヘルスと鍼治療」というテーマでブログにご寄稿いただきたい、とお話したところ、平成24年9月9日に、先生が東邦大学医学部大森病院の教室で、全国の先生を集めて講演された際の講演録をいただきましたので、先生のご了承を得て、下記にご紹介します。

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先般NHKテレビで長時間に亘って放映された番組、アメリカで開発された物理療法とでも申しましょうか、鬱病治療の最前線をご覧になった先生方もおられるかと存じます。適切な表現では無いかもしれませんが、私の印象です。

一つは電子レンジの様なものを頭にくくり付けて治療する、二つ目は脳内に針の様なものを埋め込み、胸部に発信装置を取り付け、持続的な刺激を脳に送り続けるという方法です。
この方法により、薬剤の効かなかった抑うつ状態に対し、かなりの有効例をみるに至ったということです。しかし、鍼灸治療につきましては、鬱病に対しても、その治療方法が古来より残されております。

30~40年程前、電機針が出現しました。禁忌として頭部及び、脊髄の通電ということでした。私はその当時の禁忌を無視して、頭部の穴位に通電し、統合失調症の若い女性を治癒しました。勿論、頭部のツボに通電するという事は、私なりに安全である事を確認した上で取った方法であります。根拠については、別の機会に譲るとして、荒削りで結構ですので、是非早く体得して頂きたい。

私は現在に至るまで、それなりに改良を加えましたが、私のこの方法は、鬱病のみならず、躁病、統合失調症、性格障害症、薬物依存症等多岐に亘るメンタル疾患に対して、極めて有効である事を30数年の臨床経験により確信いたしており、また、治療による事故も一例も無く、その安全性も確認いたしております。アメリカの方法は、厚生省の認可が下りるまで、安全性のチェック等で、10年かかるといわれております。私の方法は鍼治療ですので即、実施できます。

今日にも自死する患者さんがいるかもしれません、この講座を受けられた先生方、私は、全てさらけ出しますので、荒削りで結構ですので、即、実践して臨床の場に活用される事を、願います。

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(付録 次回は「メンタルヘルスと鍼治療」(下)【鍼灸治療の実践と症例】です)

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高井先生の写真技術に惚れました。花の写真は花から何か語りかけられる雰囲気を毎回感じます。

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