2012年10月19日(金)午前10:17
東京都千代田区一番町にてコスモスを撮影
花言葉:少女の純潔
10月5日(金)付記事より、「リーダーについて」をテーマに連載を開始しております。本連載は、私が、50年間にわたる経営側の人事・労務問題の専門弁護士としての経験もふまえ、感じ・考えたことの一部です。ブログ読者の皆さまに、リーダーのあり方について考えていただくための一助になれば幸いです。
さて、リーダーシップを発揮し活躍している人は、決して自分の地位に安住することなく切磋琢磨を好み、自ら研鑽、勉強を怠りません。文部科学省の調査によると、日本企業(従業員500人以上)の役員等の最終学歴は、61%が学部卒で大学院卒はわずか6%ですが、米国では、上場企業の営業部長職の46%、人事部長職の62%が大学院修了者であるそうです(2012年8月24日付 日本経済新聞)。この数字は、博士号や修士号をもっているのが当たり前の諸外国のビジネスリーダーと対等に渡り合うためには、日本のリーダーに高度な知識が求められることを如実に語っていると思います。
ただ、リーダーに必要な勉強には、学術的・専門的な知識だけではなく、深い教養を身につけ、人間的な幅を広げる勉強も含まれていることを忘れてはなりません。
私の場合、教養を深め人間的な幅を広げるための方途として若い頃から常に心がけていたのは、そのときどきで法律問題に限らず自分の書きたいテーマを設定し、文章を作成して発表することでした。自分の思い方・考え方・感じ方をひとつのまとまった文章に仕上げる作業は、その過程で、多岐にわたる資料を検証するのはもちろんのこと、ときには詳しい方々に教えを乞う必要もありますから、非常に勉強になります。そして、これは自分自身の成長の度合いを確かめる作業でもあります。さらには、自分の言わんとする内容が読み手にうまく伝わる文章を練り上げる推敲の過程は、文章力の錬磨につながります。
こうした文章修練だけでなく、読書や、美術鑑賞、華道や茶道、囲碁や将棋等々の世界を自分なりに究め、趣味嗜好のなかに真理を見出す喜びを重ねていってもよいでしょう。できる限り万般にわたる幅広い分野に触れる体験が、その人の人間的な魅力に深みを与えていくと思います。
また、リーダー、上司に要求される役割は多様ですが、そのひとつとして、部下の指導・教育があるということは、前回10月12日(金)付記事のなかでお話ししました。そして、そこにも書きましたように、指導・教育とは、部下に対する直接的な働きかけだけを指すものではなく、上司自身が部下の模範となり、間近でその働きぶりを見せることで部下を教育するという側面もある点を忘れてはなりません。不真面目で享楽的な生活を送っている上司のもとでは、部下は上司を尊敬できないばかりか、教育を受けられず、成長の機会を失うという不幸な境遇に置かれてしまうのです。
よきリーダーとは、実力主義の厳しさを熟知し、勉強し、研鑽を積みつづけることで、その部下に模範を示し、おのずと教育して信頼関係を醸成している人でしょう。
(リライト 加藤・宮本)