仕事(その9)


 

20120608.JPG

2012年6月2日(土)朝7:37
東京都港区赤坂 檜町公園にて紫陽花を撮影
花言葉:「移り気」

 

 

4月13日(金)付記事より、「仕事」をテーマにした連載を掲載しております。仕事をとおして本当の意味で成長するにはどうすればよいのか、仕事をうまく運ぶコツとは何かなどについてのヒントとなれば幸いです。

 

【得意分野】

 

一流と呼ばれる人たちは、その人が一番得意なことを仕事にしています。絶対に自信があること、絶対に他人より秀でていると確信できる分野で勝負をし、優れた結果を出しています。たとえば、一流のサッカー選手ならば、すべてのスポーツに秀でているわけではなく、サッカーという一つの分野に打ち込み、突出した活躍をみせているのです。

 

ソフト化の時代は、頭を使える人、つまり知識・情報を駆使し、智恵を使える人が高く評価されます。だからこそ、自らを見極め、天分を知ることに注力することが、将来の評価に繋がります。P.F.ドラッカーも述べていることではありますが、自らの強み、仕事の仕方、価値観を知ることが、卓越した仕事を行えるようになる鍵となるのです。

 

若い読者のなかには、自分の得意分野、強みが何であるかがわからない人もいるかもしれません。それならば、いま携わっている仕事を得意分野にしてしまうのが一番手っ取り早い方法でしょう。そのために、がむしゃらに仕事に取り組む努力をしてください。いま、一流と呼ばれるスポーツ選手も、生まれたときからそのスポーツに秀でていたわけではありません。スポーツ選手に限らず、一流と呼ばれる人たちは、目標を定め、ひたすらに努力を重ねた時期を経たことで、自分の得意分野を確立したのです。

 

以前、分子生物学者の福岡伸一氏が「10000時間」という興味深いテーマについて、ラジオ番組で語っているのを私は偶然聴いたことがあります。同じ内容は、2008年8月21日付 日本経済新聞(夕刊)1面「あすへの話題」でも書かれていましたので、読まれた方も多いと思います(文末に転記しました)。

 

ある調査によれば(福岡氏の文章には出典は紹介されていませんが、インターネットで調べてみたところ、もともとは米国での調査のようです)、ひとつのことに10000時間集中して努力を継続した者が、プロフェッショナルとしての秀でた成果を出しているというのです。DNA研究者としての福岡氏が、天賦の才能よりも長期にわたるたゆまぬ努力こそがプロフェッショナルを作る基本であると指摘していることに、私たちは大いに勇気づけられましょう。

 

読者のなかには、仕事において、言われたことを漫然とただこなしている姿勢でいる人もいるでしょう。上司から指示をされなかったからと、受身の姿勢を改めず、無駄な時間の過ごし方をしてしまっている人もいるかもしれません。もし、あなたに、これらに思い当たるふしがあるならば、これからは、一流人に一歩でも近づくために、「自分はこの分野で一流レベルになる」という確固たる目標を定め、理想と気概をもって仕事に取り組み、それに近づくまでにひたすらに努力することが肝要です。そして自分の仕事を得意分野にできたならば、携わっていてより楽しく、より意欲的に取り組むことができるでしょうし、それゆえ成果も上がり易くなります。

 

取り組み始めの頃は、しばらくは努力が報われないこともあるかもしれません。しかし、時間がかかっても、評価は後から必然的についてくるものですから、途中で投げ出さない姿勢がなによりも大切です。まさに「継続は力なり」なのです。

 

(リライト 加藤・宮本)

 

 

(ご参考)
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 『10000時間』  分子生物学者 福岡伸一氏
2008年8月21日  日本経済新聞(夕刊)「あすへの話題」より転記

 

こんな調査がある。スポーツ、芸術、技能、どのような分野でもよい。圧倒的な力量を誇示するプロフェッショナルというものが存在する世界がある。そんじょそこらのアマチュアなど全くよせつけないプロフェッショナルたち。そのような人たちがいかにして形成されたのか。それを調査したものである。

 

世界的コンクールで優勝するピアニスト、囲碁や将棋の名人たち、トップアスリート。彼ら彼女らについて、ふつう私たちは半ばため息をつきつつ、次のように感じている。あのような人たちは天賦の才能の持ち主なのだ。われわれ凡人とはそもそもの出来が全く異なるのだと。

 

ところがプロフェッショナルたちの多くは皆、ある特殊な時間を共有しているのである。10000時間。いずれの世界でも彼ら彼女らは、幼少時を起点として少なくとも10000時間、例外なくそのことだけに集中し専心したゆまぬ努力をしているのだ。10000時間といえば、一日3時間練習をしたりレッスンを受けるとして、一年に10000時間、それを10年にわたってやすまず継続するということである。その上に初めてプロフェッショナルが成り立つ。

 

DNAの中には、ピアニストの遺伝子も将棋の遺伝子も存在してはいない。DNAには、人を活かすための仕組みが書かれてはいるが、いかに活かすかについては一切記載はない。プロの子弟はしばしば同じ道を進むことが多く、それは一見、遺伝のように見える。けれどもおそらくそうではない。親はDNAではなく環境を与えているのだ。やはり氏より育ち。DNA研究者の偽らざる感慨である。

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