2012年5月のアーカイブ

仕事(その7)


 

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2012年5月17日(木)朝7:12
東京都千代田区北の丸公園にて沈丁花を撮影
花言葉:「栄光」「不死」「不滅」

 

4月13日(金)付記事より、「仕事」をテーマにした連載を掲載しております。仕事をとおして本当の意味で成長するにはどうすればよいのか、仕事をうまく運ぶコツとは何かなどについてのヒントとなれば幸いです。

 

【朝型のライフスタイル】

 

職業、職種、あるいは立場などによって、仕事の態様はそれぞれですが、与えられた時間というのは、一日24時間と、皆、共通です。限られた時間をいかに効率的に使うかで、24時間は長くもなれば短くもなります。時間が短いと感じる人は、時間の使い方を見直すべきでしょう。

 

時間の使い方を改善するにあたり、一番手っ取り早く、かつ効果が高い方法は、朝型のライフスタイルに切り替えることでしょう。私は、昭和38年に弁護士となり、昭和48年には独立し、現在の高井・岡芹法律事務所の前身である高井伸夫法律事務所を開設しました。これまでの弁護士生活において、私は朝型のライフスタイルを旨としてまいりました。会長職につくまでは、午前6時半ごろから仕事を始め、午前10時までにはその要所をほぼ終わらせることを常に心がけておりました。朝型のライフスタイルを徹底していた理由は、朝、ほかの人よりも1時間でも2時間でも早く起きて仕事にとりかかることで、仕事のスピードにおいて、歴然と差をつけることができるからです。

 

朝型のライフスタイルがもたらしてくれることは、仕事のスピードだけではありません。朝は、疲れもなく、不思議なくらい頭脳がさえています。そうした状態であれば、集中して能率よく仕事をこなせますから、仕事の質の向上にもつながります。日の出とともに活動を始め、夜には眠りにつくというサイクルは、生命体としての人間にとっても自然なことなのではないでしょうか。

 

また、朝9時以降の勤務時間中というのは、来客があったり、電話が鳴ったり、突発的な仕事が舞い込んだりと、一つのことに集中して仕事を進めることは難しいものです。しかし、朝早く起きて、たとえば朝7時に出社すれば、静かな環境の中で仕事をすることができ、今日これからの一日の準備をしっかりと整えたうえで、午前10時までに大きな仕事を終わらせてしまうことができます。朝のうちに集中力を伴う大きな仕事を終わらせておくことで、朝の時間帯以降の、接客などの対人関係を要する仕事に励むことに集中できますから、それらの仕事の質をも高めることもできるでしょう。

 

夏の節電対策という大義名分ではありますが、流通大手のイオンが、6月1日から約3カ月間にわたり、順次、全国で最大約1400店の開店時間を、午前7時(通常は午前9時)にするという報道がありました(2012年5月17日付日本経済新聞等)。これも、朝型人間の拡がりを感じさせるひとつの事象だと思います。

 

朝の時間を繰り上げ、たとえば一日2時間、人よりも長く使えるとしたら、それは、競争社会のいまを生きるビジネスパーソンの大きな武器となります。新しい能力やスキルを身につけるには時間がかかりますが、早起きすることは誰でもできます。誰でもできることで、これほど人と差をつけられることはめったにありません。夜型人間を自認する若い人でも、早朝のすがすがしい静かな時間帯の素晴らしさを体験すれば、考え方が変わるかもしれません、朝型のライフスタイルを、皆さんも実践されてみてはいかがでしょうか。

(リライト 加藤・宮本)

仕事(その6)


 

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2012年5月9日(水)朝7:16 東京都千代田区北の丸公園にて
さつき(さつきつつじ)を撮影
花言葉「節制」

 

 

4月13日(金)付記事より、「仕事」をテーマにした連載を掲載しております。仕事をとおして本当の意味で成長するにはどうすればよいのか、仕事をうまく運ぶコツとは何かなどについてのヒントとなれば幸いです。

 

 

【タイムリミットの効用】

 

仕事には、必ずタイムリミット(期限)があります。受注した商品を納期に間に合わせなければならなかったり、○月○日の会議までに資料を準備しなければならなかったりなど、仕事を遂行するにあたっては、常にタイムリミットを意識するのは当然のことですし、多くの人はそれに追われながら仕事をしているはずです。

 

人は、タイムリミットがあるから仕事をするといっても過言ではありません。なぜなら、具体的な日時が設定されていることによって、自ずと日々の行動のスケジューリングがおこなわれ、自分が今為すべき仕事の輪郭と内容が明確になり、行動を起こすエネルギーが湧いてくるからです。気持ちの上では「仕方なく…」ということもあるかもしれませんが、それでもやる気になるという効果は大きいでしょう。際立って仕事ができる人は、タイムリミットがもたらすこのような効果を知っていますから、どのような仕事においても、最終的な納期から逆算して自分でタイムリミットをうまく設定し、仕事のスピードと質の両面を確保する下準備をしているのです(4月27日付記事でも、タイムリミットについてお話しいたしましたので、あわせてご覧ください。)。

 

 

【タイムリミットの設定のコツ】

自分の判断も入れてタイムリミットを設定できる場合には、あまり無理をすべきではありません。なぜなら、状況によっては業務がタイトになり過ぎて、必要な時間をかけることができず、仕事の質に影響を及ぼすことがあるからです。反対に、過度にゆるやかな設定をすると、「まだ時間があるから」と余裕をもってしまい、なかなか仕事に着手しない性格の人もいるでしょう。タイムリミットの設定は、簡単なようで、意外と塩梅が難しいものです。「段取り八分」という言葉があるように、自らの傾向や日頃の業務の流れを把握して、自分なりの適切なスケジューリングの方法を確立することは、仕事の成果に直結する重要事項なのです。

 

タイムリミットを万が一守れないことによるリスクも、見込んでおく必要があります。そのためには、期限の徒過により仕事自体が台無しになってしまうような設定(あまりにもギリギリのラインでの設定)はしないことが一番大切でしょう。予想外の出来事にも対応でき、絶対に守ることのできる、余裕をもったタイムリミットの設定が、質の高い仕事を成し遂げるためには求められます。また、チームで仕事を組む場合などは、言うまでもなく、関係者全員の状況にも十分配慮することが必要です。

 

タイムリミットを遵守し、少しでも早く仕上げるという態度を持ち続け、為すべき業務に優先順位をつけながらこなしていくことも大切です。多くの人は、タイムリミットを恨めしく思いながら仕事に追われていると思います。しかし、少しだけ見方を変えて、タイムリミットを一つの挑戦のテーマとして、どのようなスケジューリングで業務を遂行すれば、より早く、より充実した成果をあげられるかという発想に立てば、タイムリミットを追う姿勢へと変わることができます。このような態度で仕事に望むことが、より自分の成長へと繋がるでしょう。

 

(リライト 加藤・宮本)

仕事(その5)


 

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(2012年5月5日(土) 朝7:45 東京都文京区 根津神社にて撮影)

 

 

4月13日(金)付記事より、「仕事」をテーマにした連載を掲載しております。仕事をとおして本当の意味で成長するにはどうすればよいのか、仕事をうまく運ぶコツとは何かなどについてのヒントとなれば幸いです。

 

 

【受身の姿勢を改める】

 

若い皆さんは、「鬼十則」をご存じないかもしれません。

これは、日本を代表する広告代理店 電通の基礎を築き、「広告の鬼」とも呼ばれた4代目社長吉田秀雄氏(1903年~1963年)が社長就任4年目の1951年におこなった訓示を、翌年、「電通鬼十則」として社員に示したものをさしています(電通ホームページ参照)。そのなかに、「仕事とは先手先手と働きかけていくことで、受身でやるものではない」という言葉があります。半世紀以上も経た今の時代に生きるビジネスパーソンこそ、この言葉を肝に銘じる必要があると思います。

 

なぜなら、いまの時代は、企業のグローバル化が進んだ競争社会だからです。日本は「和を以て貴しとなす」の精神・横並びの意識が根付いている国ですが、諸外国は違います。彼らが考えていることは「和」よりも「先手必勝」なのです。こういった考えをもつ相手と競争し、勝ち残っていくためには、「先んじる」ということを常に意識して仕事をしなければなりません。

 

また、農業や工業が産業の中心の時代であったころから、商業・サービスの時代を経て、いまはソフト化時代であるといわれています。ソフト化時代においては、頭を使える人、つまり知識・情報を駆使し、智恵を使える人が高く評価されます。つまり、自分で考えなければ仕事を獲得することができない時代であるのです。いつまでも指示を待っている人、受身な人は、たとえ能力があっても、求められる人材たり得ないということです。

 

私は、「尽くすべきは尽くす」という言葉を、弁護士として仕事をするにあたってモットーとしてまいりました。ありとあらゆる努力をして、最善の問題解決を図る、という意味です。仕事をしていると、場合によっては「この仕事は、もしかしたら努力をしても水泡に帰すかもしれないな」という憶測が生じることもあり、そうなると「無駄」「無意味」と決めつけ、アクションをとらなくなってしまう人もいるでしょう。

しかし、あらゆる努力を惜しまぬ姿勢(受身の姿勢の正反対ともいえるでしょう)、そして努力することをあきらめない気概によって、事態が予想外に好転し、然るべき成果を得られることもあるのです。

 

いまの時代で、一流になりたいのならば、受身の姿勢をあらためて、つねに前倒しでスケジュールを実行し、努力を惜しまず、貪欲に仕事を追い求める精神が必要です。

 

 

(リライト 加藤・宮本)

前回、高井先生と接する中で

「つながりが年輪のように広がっていく世界」があることに気づいた、

という話を書かせて頂きましたが、

つながりを年輪化し、その価値を逓増させていくためのポイントにいくつか気づきました。

 

今日は、その中の一つ「定期的な情報発信」について書いてみたいと思います。

 

高井先生(高井・岡芹法律事務所)は「事務所報」を四半期に一度、

過去にご縁を結ばれた大勢の方にお送りされており、私も楽しみに拝読しているのですが、

これが読み物として非常に面白く、同時に価値のある情報源ともなっています。

 

この事務所報が、

日々、たくさんの方と出会われる高井伸夫先生(ならびに事務所の皆さま)にとっての

「ご縁の維持・構築」に一役買っていることは想像に難くありません。

 

「つながりの年輪化」を心がけるに際し、

こういった情報発信は非常に有効な方法であるということは、

年賀状の風習が現在に至るまで途絶えず残っていることからも

間違いないことではないか、と思われるのです。

 

せっかく生まれた人間関係を途絶えさせない(忘れられない)ための工夫として、

「定期的な情報発信」は有用なものでありましょう。

 

その最もわかり易い例が年賀状であり、これは言葉を換えれば、年に一度の

「定期的な情報発信」であるように思われます。

 

年始に年賀状が届くことによって、

 

「ああ、あいつは転職したんだなあ」

 

「そうか、彼は独立したんだ」

 

「彼女に子供が生まれたんだな」

 

という近況が分かります。

 

今はネットを介して、昔からの友人知人とのつながりも持ちやすくなりましたので、

少なくとも親しい友人知人においてはこういったことは少なくなっているかもしれません。

 

しかし、ネットのない時代においては、疎遠になった人とは、

年賀状だけが唯一の近況報告ツールだったわけです。

 

この年賀状が、まさに一年に一回、定期的に発信されてくることによって、

関係性が維持されたり、そこに記載されたある情報にひっかかって、

関係が復活したり、さらには深まったり、ということがあるのです。

 

高井先生からは常々、柳生家家訓を引き合いに出され、

 

「小才は縁に出会って縁に気づかず、

中才は縁に気づいて活かせず、

大才は袖すりあう縁も活かす」

 

と教わってきましたが、そう考えると事務所報もまた年賀状と同じく

 

(そして年賀状よりも多い頻度で、そして高い密度のメッセージで届けられる)

 

「袖すり合った縁をも生かす」

 

ためになされている工夫なのであろう、そんな風にも思われるのです。

 

こういった自身の(そして事務所の)情報発信を継続することで、

自分の情報や自身を取り巻く人間関係をお伝えし、

さらには周囲にいる人同士をつなぐことによって価値を生み、

 

といった、まさに「大才」にならんとされてきた意思を

事務所報というメディアからも感じることができるのです。

仕事(その4)


 

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(2012年4月30日(月)朝7:19 東京都目黒区中目黒公園にて撮影)

 

 

  4月13日(金)付記事より、「仕事」をテーマにした連載を掲載しております。仕事をとおして本当の意味で成長するにはどうすればよいのか、仕事をうまく運ぶコツとは何かなどについてのヒントとなれば幸いです。

 

 

【いま・すぐ・ただちに】

世の中が目まぐるしく変化し、しかもその変化のスピードが日増しに速くなっていくいまの時代において、仕事で「スピード化」を意識することは、なによりも大切なことです。そして実際に、多くの人が、常にスピードを求められる日頃の業務のなかで、仕事を先延ばしにしないための、自分なりの努力や工夫をしていることでしょう。

 

しかし、スピード化とは、先延ばしにしないだけでは不十分で、「即時対応」が大原則です。たとえば「急いで」と指示されたときに、「わかりました、明日やります」「来週やります」と答える人がいますが、これでは落第点でしょう。たとえ、今やらずに明日でも来週でも、さほど結果は変わらないと一見思える仕事であっても、情報も流行も刻々と変わる時代においては、ごく短期間のうちに状況が一変してしまうことも珍しくありません。「あのときにすぐ処理しておけばよかった…」と後悔しても取り返しはつきません。やるべき仕事をすぐしなければ、致命傷になりかねないのです。

 

一方で、「拙速は避けるべき」という考え方があります。しかし、私は、むしろ「孫子」に出典の求められる「拙速は巧遅にまさる」という言葉こそが、いまの時代のビジネスパーソンに必要な心構えであると思います。いくら時間をかけて巧みに仕事を遂行したとしても、それが遅くては、時機を逸したりしてよい結果に結びつかないからです。7~8割の完成度であっても、まずは仕上げて、一応の結論を出すべきです。これは決断力を要することでもあります。

 

「孫子」作戦篇には、「兵聞拙速。未賭巧之久也」(兵は拙速を聞く。未だ巧みの久しきを賭〔み〕ず)という有名な言葉があります。これは、「戦いは、たとえ拙劣でも速決が大事である。いかに戦争巧者でも、長引いて成功したためしはない」という意味です。:諸橋轍次『中国古典名言事典』(1972年)講談社 参照

 

即時対応という仕事のスタンスに対しては、「急いては事を仕損じる」という反論もありましょう。確かに、慎重になることも大切ですし、あせらないことも肝要ですが、これらが「いま、しないこと」の言い訳にはなりません。私のこれまでの経験からいって、「あせらず行こう」「じっくり考えてから」といったセリフは、90%以上が引き延ばしのための言い訳であると思います。

 

いま・すぐ・ただちに仕事を行えない人のなかには、仕事の優先順位がつけられなかったり、もっとよい方法があるのでは、と悩んでしまったりする人もいるでしょう。それは、自分のなかの判断基準がぶれてしまっているからではないでしょうか。

 

私は、選択肢を決める際に、ある基準をもとに判断・決断しています。それは、正邪・和戦・勝敗・損得です。正邪にこだわるか、平和的に解決するのか戦いで決するのか、勝ち負けにこだわるのか、損か得かで決めるのか、という基準です。この基準でも悩んでしまう人は、原点に戻ることで判断しましょう。原点とは、たとえば、企業であれば、「お客様の満足を第一に考える」といった経営理念として掲げているものです。

 

「迅速に構想し決断し実行に移す」-ここにこそ、いまの時代において、ビジネスパーソンの真価が問われる世界があるといってよいでしょう。

ダーウィンのものとされる言葉のように、強いものが生き残るのでも、智恵のあるものが勝つのでもなく、時代の変化に目覚め、それに鋭敏に対応できたものだけが生き残っていけるのだと思います。

 

(リライト 加藤・宮本)

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