(2011年9月26日(月) 午前6:43 東京都目黒区 中目黒公園にて撮影)
さて、6月17日より、今まで計15回に亘り「気」をテーマとした記事を投稿して参りましたが、今回と次回の「気のまとめ~気とそしてその核たる心を知れば人生が楽になる」をもってひとまず「気」に関する記事の結びとさせて頂きます。
【「気」とは何か】
そもそも私が何故に「気」に関心をもち、ブログのテーマにしたかというと、私が60歳になって以降、病気を重ねてきたということが大きな理由の一つです。
私は現在74歳ですが、2003年4月に、一度目の脳梗塞を、2006年4月に二度目の脳梗塞を発症しました。また、心臓疾患を持っており、バルーンによる手術を受けたこともあります。耳の病気については、2008年11月に左耳の突発性難聴を発症後次第に悪化し、2010年5月には、右耳の聴覚過敏症、2010年10月頃には同じく右耳の耳管開放症も相次いで発症するという異常な事態に見舞われてしまったという経緯があります。
すなわち、体力がどんどん衰えていたのが目に見えているということです。そして、それを「気力」で補ってきたということです。この「気力」というものを分析する必要に迫られて、「気」なるものに関心をもったのが根本です。
もちろん、「気」に関する言葉、「気」が付く言葉は多岐にわたっており、日常用語として様々な使用法があります。このように「気」という言葉が我々の生活に身近なものであるにもかかわらず、「気」そのものについて、とかくないがしろにしてきたのですが、その実態に迫らなければという思いもありました。
また先に述べましたが、2008年11月から私が耳を患い、事実上事務所で仕事をしなくなって以降、依頼者から、事務所に「活気」がなくなったという話を度々聞くようになりました。この話を耳にする度に、「活気」とは何かということを意識するようになりました。
「活気」、すなわち「気が活きる」ということは、気を活かす術が何かあるのではないかと思ったのです。また、「人気」という言葉もあります。要するに、人の「気」が働いている状況を人が評価するということでしょう。ここでも「気」が活きています。さらには、「覇気」という言葉があります。「覇気」がなくなった、「活気」がなくなった、「人気」がなくなったという言葉につながってきますが、「覇気」とは何かということを意識することによって「気」を意識することになったのです。
【宇宙とつながる気功レッスン】
「宇宙とつながる気功レッスン」(メグミ・M.マイルズ著 地湧社 2003年)と言う本があります。同女史は、24歳で中国に渡り、10年間に亘り気功を学んでいました。そして、彼女はこの長年の気功修行を通じ、ついに「とうとう木との交流に成功した」と感じたのだそうです。
同女史は最初に就いたリー先生から、「何も考えるな、自然であれ」・・・「為す無くして為さざる無し」・・・「いっしょうけんめいやりすぎてはいけない。適当がいい。適当にやれ」と教えられます。その後に就いたチン先生からは、気功の型を正確に繰り返すことの重要性を教えられます。次に就いたヤン先生からは、型の練習は自発功(中国古来に伝わる気功の中でも最高位にランクされる、自力治癒力を呼び覚ます気功)の基礎になるものと自発功の重要性、「自然に従え」「無心」「淡」を心がけることを教えられます。これらを忠実に実行し続けたことで前述した「木との交流」に成功したのです。
ちなみに、「木との交流」とは本著によると、自分が気になる・ひかれる木に出会ったら、その木に向かって親しみをこめ、ある程度距離をおいて、ことばでなくていいから、友好的な気持ちのバイブレーションを送ることのようです。そして、それを木が受け入れてくれると、ぐいっと引っぱったり、どんどん押してきたり、やさしく抱きしめてくれたり、明らかにはっきりと木から気がこちらに伝わって、返事をしてくるそうです。
自然界の中で自立的動作を伴わない植物である「木」と交流できたと感じた彼女の驚きと喜びはいかばかりであったでしょうか。結局、「気」(き)は「喜」(き)に通じると言うことでしょう。
喜雨(きう)、喜悦(きえつ)、喜捨(きしゃ)等、人間が最高の喜びの中で発せられる「気」は、「気」の流れの最も理想とする最上質のものと言えるでしょう。
「日本道観」(昭和55年、「導引術」をはじめとする気の健康術を指導する場として早島天來(筆名/早島正雄<1911年~1999年>)初代道長によって設立された「気の導引術」を学べる唯一正当な学院)のホームページによると、古来、中国では「『気』とは自然界に存在するすべての物質の最も基本的な構成単位であり、エネルギーの元であると考えられて」きており、「『気』が無くなったらその物質や生命体は存在できなくなり消滅することになる」そうです。
参考・「日本道観」HP http://www.nihondokan.co.jp/
ところで、気功については、1998年、中国政府は11類の健身気功を認定しています。その内の一つに「一指頭禅」(いっしとうぜん)があります。「一指頭禅」とは、指の先に「気」を集中させる気功のことで、さまざまな一指頭禅が伝えられているそうですが、ある仏家気功(ぶっけきこう)では、入門希望者に、師がだまって親指を一本を立てて見せ、入門希望者に親指周囲の「気」の形を答えさせる資格試験を行うそうです。見えなければ入門を許さないとのことですが、中国気功では、「気」は見えて当然というのが、常人の達し得ない奥深さを感じさせられます。
【気を入れて】
文頭で述べたとおり、私は、「気力」というものを意識するようになったとき、そもそも「気」なるものは何かということを考え始めました。私はこの「気」をもたらすものは幼い頃からの教育というのが一番肝心であるとおもいます。
たとえば、幼児、少年・少女が「ピアノを習う」「バイオリンを習う」「ダンスを習う」あるいは「お絵かきを習う」といった様々なお稽古ごとをする時、実は「気を入れて」行い、継続してチャレンジしなければならないということです。
それは、ただ時間だけを費やしても勉強にならないということです。もちろん、いわゆる文化系の勉強だけでなく、理科系の勉強も「気を入れて」行うことが必要ですし、さらにいえば、体力作りという勉強も「気を入れて」行うことが必要です。
「気を入れる」とは、各自が持っている「気」をフルに機能させて取り組むということです。「気を入れて勉強しなさい」、という言葉には、「自分にしっかり意識して勉強しなさい」という意味を含んでいるのです。すなわち自分自身と「気」のやりとりが「気を入れる」ということです。それは幼児期から意識しなければならず、そういう世界を構築していくことが幼児教育にあたっての重要なポイントではないかと思います。子どもがお稽古ごと等の練習を「気を入れて」行うべきこと、練習するにあたって「気を大切に」すべきことを意識させるのは、親でありまた指導者の責任であるのではないでしょうか。
このように、万般において、学ぶにあたっては「気を入れて」行う必要があります。野球の練習にしても、水泳の練習にしても、「気を入れて」練習しなければ、真の成長は望めないということです。すなわち、宇宙の膨張のスピードに遅れをとる人間であってはならないということです。一刻一瞬も怠らずに宇宙が膨張しつづけているのと同じように、一刻一瞬を大事にして、その「気」を絶やさず勉強しつづけることが人間の成長につながるということです。
まずは幼い頃からの勉強にはじまり、大学生になって、社会人になっても同じように「気を入れて」勉強しつづけることが必要でしょう。それが成長に繋がるということです。「好きこそものの上手なれ」という言葉がありますが、好きであれば、おのずから気が入って勉強するということになるから、成長するのではないでしょうか。
要するに、「気」があってこそ成長するということです。「気」があってこそ自分自身が磨かれるということは、実は宇宙に存在する全てのものに「気」があり、それと共鳴・共感・共振することに本質があるのではないでしょうか。
さらに対人関係について述べれば、私は弁護士ですが、弁護士業務をするにあたって、相手の「気配」を感ずること・察することが大事だと思っています。それは、実は相手の心を読むことができることにつながると思うからです。相手の心を読むことができれば、説得の仕方が極めて簡明に浮かび上がります。弁護士たる者は相手の心が読めなければなりませんが、これは実は相手の「気配」を感ずる・察することから始まりますが,それは、「気」の世界の事象なのです。
「心が読める」とは、「気」と「気」が交流して交錯したポイントを誰しも確認することが出来るということです。そして、お互いの「気」と「気」が離れている場所も感じることが出来る、さらに確認をしたところが生じます。これらをふまえて、相手の心を解読をすることが可能となります。
全ての「気」が絡まって交錯するわけではありません。それは、お互いの「気」が離ればなれの時もあるからです。また、曖昧な時もあるからです。「気」が絡まったり、絡まらなかったりということがありますが、前後の状況を踏まえて解釈することが、「心を読める」ということです。そしてその確度が高ければ高いほど、「心が読める人」ということになります。ゆえに、「心が読めない人」は、如何せん他人との「気」が交錯しない人をいいます。要するに、存在感が極めて希薄な人のことでしょう。それは何も能力や経験によるのではなく、持って生まれた生来のものなのではないでしょうか。
私は、「気」を理解してこそ、「気」を勉強して学んでこそ、人生は楽しくなり、楽になると考えています。