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2016年11月27日(日)8:12 千代田区麹町6にてプリムラを撮影
花言葉:「青春の恋」

 

 

平成28年10月12日「AIと人事労務セミナー」 開催報告第2回

 

10月12日(水)開催の特別セミナー「AI(人工知能)が拓く未来 ~人事労務分野への影響を探り可能性を考える~」について、第2回は当日の私の開催挨拶文を一部抜粋して掲載する。

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「ご挨拶に代えて ~AIの限界 人間の素晴らしさ~」(抜粋)

 

2 AIと人間の違い、人間がAIになお優ることとは

AIが凄まじい勢いで発達する今、AIと人間の違い、そして、AIがどれだけ発達してもなお人間に劣ることが何かを見極めることが、これからの時代を生き抜いていく上で最も重要になります。昨今テレビや新聞などをにぎわしている人間の脳に匹敵する知能、場合によっては人間の脳を凌駕する知能を備えたAIと、人間との決定的な違いとはなんでしょうか。

自然界において生物は生きるか死ぬかの生存競争の中で生きています。しかし人間は頭を使い、脳を発達させ、人として、人類として、保全されるようになったため、生存競争に身を置くことがなくなってしまいました。

一方、なお生存競争の只中にある動物一般は、絶えず生きるか死ぬか、日々おびえながら生活しています。雪崩が起きたときに動物の死骸がないのは、彼らに雪崩を事前に察知する能力が備わっているからです。

人間は文明の力によって自らの身を守れるようになったことと引き換えに、こうした危険予知能力を鈍化させてしまいましたが、たとえば「胸騒ぎがする」、「虫の知らせ」といったものはわずかに残された危険予知能力による反応でしょう。実体験に即して言えば、裁判で胸騒ぎがするときは、敗訴するという予感がしますから、そうした時には一層裁判に勝ち抜く努力をしたものです。

すなわち、生物には、生まれながらの野性的な本能から、第六感ともいうべき危険予知能力が備わっているのです。それに引き換え、生物ではないAIにはこうした本能に基づく能力が全くありません。

 

人間の機械に対する決定的優位は「死」です。人間が有する深い情緒はすべて、いずれ朽ち果てるという絶対的宿命に起因しています。いつか死ぬという運命にあるからこそ、生きている中でより多くのことを感じ取り、思いを馳せることができるのです。永遠に生き長らえるのであれば、私たちのあらゆる情緒は極めて希薄になるか、あるいは消失するでしょう。人間には「死」があるからこそ恐怖がもたらされ、生きる喜びを感じ、幸福感を得るのです。孤独になれば寂しさに浸り、身内や親しい人を亡くせば哀しみを感じます。「死」という概念と無縁であるAIが果たしてこうした情緒を持ちえるでしょうか。こうした情緒に由来する小説や音楽を生み出すことができるでしょうか。将来AIが完全に自律的に発想し、物事を創造できるようになったとしても、肉体を持たず、生命体ではないという点は、覆しようがありません。その創造力にはおのずと限界があるように感じております。

 

特定の作業に対するAIの能力は人間を簡単に越えていきますから、人間固有の能力を伸ばさないと、なんでもAIに依存するようになってしまいます。人間がひらめくためのヒントとして、また、生産性や効率を向上させるためのツールとして、AIを最大限に利用し、最終的な判断や決断は、「死」という限界のある命をもった、情緒のある人間が、時には第六感を活用し、自信をもって下してゆくことが大切です。

 

3 AIに使われず、AIを使う立場になる

AIに代替させることで、今ある人事の業務の多くは不要になります。たとえばAIは、人間が作業するよりも早く、正確に、客観的に人事選考や評価の基準を導き出すでしょう。しかし、そうして導き出された基準を運用するのは私たち人間です。最終的な判断は、データ以外の印象や直感も加味して行われます。企業にはそれぞれ文化があり、人材との相性がありますが、企業も時代とともに変化します。データが教えてくれるのは、過去あるいは現在において最適な人材に過ぎません。

自らの仕事、ひいては人事部の仕事がなくなってしまう、とAIを恐れたり毛嫌いしたりするのではなく、もっと柔軟に技術的な進化を受け入れて、より精度が高く、効率的な方法に目を向けるべきです。AIを使えるところは使い、生産性や利益を最大化し、最終的な判断は人間が担えばよいのです。

AIの発達によって大規模な失業が生じたり、人間力や社会力が衰退したりするのではないかという懸念の声もありますが、そうとは言えません。技術の進歩で社会構造は大きく変化し、社会状況も現在とは変わる可能性が高いわけですから、従来の知識にこだわらず、様々な可能性を視野に入れた広い議論が必要でしょう。AIに頼ること、人間がやるべきこと、これからの時代をどう生き抜いていくかを考えるきっかけとしていただければ幸いです。

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※次回は、第1部「センサデータの活用で始まった、AIを活用した職場環境改善」について、講演要旨と、講師である青木 俊介 氏(ユカイ工学株式会社 代表)のご感想を掲載する。

 

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2016年11月23日(水)8:42 武道館にて撮影

 

 

 

株式会社開倫塾
代表取締役 林 明夫 

 

「心の経営体を求めて」

 

Q:林さんが会長を務める開倫ユネスコ協会では、11月17日(木)に東京の青山学院大学の前にある国際連合大学本部のエリザベス・ローズ国際会議場で「ユネスコ世界哲学の日」の講演会を開催したそうですね。なぜですか。

A:パリに本部のあるユネスコでは、2002年に、毎年の11月第3木曜日を「ユネスコ世界哲学の日」と定め、「哲学なくしてユネスコなし」のスローガンの下に、平和の哲学に基づき国際平和と持続可能な社会の実現を目指しているからです。

 

Q:11月第3木曜日が「ユネスコ世界哲学の日」であることは、日本ではあまり知られていないようですね。

A:私はパリのユネスコ本部のホームページを見て「ユネスコ世界哲学の日」があることを知り、2011年の開倫ユネスコ協会設立10周年の記念式典のときから「ユネスコ世界哲学の日」の講演会を開催しております。

 

Q:ところで、高井伸夫先生は「心の経営体を求めて」という崇高なお考えをお示しになっておられます。林さんは、高井先生の「心の経営体を求めて」とは何だとお考えですか。

A:「経営を担う者は、自分なりの哲学をもって経営にあたるべし」「哲学なくして経営なし」ということを、高井先生は「心の経営体を求めて」ということばで教えてくださっているのだと考えます。その意味で、「哲学なくしてユネスコなし」というユネスコの基本理念と相通ずるところがあると思います。

 

Q:では、お伺いします。経営者としてどのように哲学を学んだらよいのでしょうか。多くの経営者は、学生時代には哲学の勉強をしたものの、社会に出てからは、特に経営者となってからは哲学の勉強などしたことがないという人がほとんどだと思います。手始めにどんな本を読んだらよいと林さんはお考えですか。

A:(1)フランスのリセという大学進学を目指す高校では、高校3年生のときに「哲学」を正式な教科として学び、大学へ進学するようです。

(2)日本で哲学の基礎を学ぶのは、高校2年生の「倫理」の授業です。以前は必修教科でしたが、最近は選択教科になってしまったため、「倫理」を学ばずに高校を卒業する高校生が大半となってしまいました。大学に入学して哲学を履修すればよいのですが、哲学が必修教科である大学は数少ないようです。日本では旧制中学の時代にはあんなに盛んであったのに、高校でも大学でも哲学を学ばずに世の中に出る人が大半である今の日本は、「哲学不在」の国になってしまうようで残念でなりません。

(3)それはさておき、哲学を学ぶにはどのような本を読んだらよいかという御質問ですね。私の答えは、ズバリ、山川出版社刊の「もういちど読む山川倫理」(2011年4月10日刊)と「もう一度読む山川哲学―ことばと用語」(2015年10月20日刊)の2冊です。どちらも小寺聡編です。

(4)この2冊の本は、高校の教科書として使われている「現代の倫理」をベースに書かれたものです。高校で倫理の先生から哲学の基礎・基本のお話をお聞きするような態度で、同じ編者である2冊の本を絶えず参照しながら、一語一語かみしめるようにゆっくりと、できれば、ノートをお取りになりながら1~2年かけてお読みになることをお勧めいたします。

(5)この2冊の本を読むときには、必ず最初の1ページ目から読み終えたページまでをゆっくりと読み直してから、新しいページ、新しい内容に入ることをお勧めいたします。すべての学校の教科書は学問体系に基づいて書かれておりますので、倫理や哲学の基礎を高校の教科書で学ぶ際にも、今までに学んできたことを踏まえて新しい内容を学んだほうが理解が容易になると考えられるからです。是非、お試しください。

(6)このようにしてお読みになった2冊の本は、決して処分なさらないことです。皆様の倫理や哲学の基礎・基本の教科書として、生涯にわたって折に触れて読み返すことをお勧めいたします。

 

Q:興味のある内容や哲学者、思想家が出てきたらどうしたらよいですか。

A:(1)少し高価ですが、中国の古典でしたら明治書院刊の新釈漢文体系をお買いになって、現代語訳である「通釈」の部分だけでもゆっくりと通読なさることです。内容がよくわかったら、漢文の「書き下し文」を音読したり、1つ1つの語句の解説である「語釈」、各章ごとの「余説」をお読みになることをお勧めいたします。

(2)日本や世界の古典は、岩波文庫や講談社学術文庫はじめ様々な文庫や新書で、読みやすい、また、わかりやすい現代語訳や日本語訳をお探しになり、ゆっくりと通読。興味がわいてきたら原文を探し出し、現代語訳をよく読んでから「音読(声を出して読むこと)」することをお勧めいたします。

(3)そして、お気に入りの文章や考えに出会ったら「書き抜き読書ノート」に書き写し、繰り返し読み直して自分のものとする。経営者として、また、人間としての基礎・基本を哲学に求める、高井先生の教えである「心の経営体を求めて」には、これが一番の方法と考えます。

 

Q:現代的な課題について経営者として、また、人間として哲学的に考えるには、どのような本を読んだらよいでしょうか。

A:(1)ベストセラーになりつつある岡本裕一朗著「いま世界の哲学者が考えていること」ダイヤモンド社2016年9月8日刊と戸田山和久著「哲学入門」ちくま新書、筑摩書房2014年3月10日刊の2冊がお勧めです。

(2)哲学を本格的に学びたい方には、松永澄夫著「価値・意味・秩序―もう一つの哲学概論、哲学が考えるべきこと」東信堂2014年4月25日刊と同著「哲学史を読む」東信堂2008年刊の2冊がお勧めです。

Q:最後に一言どうぞ。

A:法律家の皆様に是非お読み頂きたいのは、少し厚めですが、ジョン・ロールズ著「正義論」紀伊國屋書店2010年11月24日刊です。イエリネックの「一般国家学」やラートブルフの「法哲学」も是非お読み頂き、国家とは何か、法とは何かを初心に返ってお考え頂きたく存じます。丸山真男先生や福田歓一先生の古典的著作も岩波文庫で容易に読めるようになりました。法律家として政治のあるべき姿をお考えになるときに、お二人の政治哲学は参考になると確信いたします。

是非、御一読を。

以上

―2016年11月27日(日) 林明夫記―

 

開倫塾のホームページ(www.kairin.co.jp)に林明夫のページがあります。

毎週、数回更新中です。

お時間のあるときに、是非、御高覧ください。


 

 

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  • 今、話題のテーマについて各界で活躍している方々と対談をする一問一答形式のブログの第6回目です。
  • 第6回目は 遠藤拓郎先生、大野裕先生、山岡昌之先生(50音順)です。

 

■ ■ ■ 時流を探る~高井伸夫の一問一答 (第6回) ■ ■ ■

 

  • スリープクリニック調布 院長 遠藤拓郎先生
  • 一般社団法人 認知行動療法研修開発センター
    理事長 ストレスマネジメントネットワーク 代表 大野裕先生
  • 日本摂食障害治療研究所 所長 山岡昌之先生


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

 

先生方と高井のお写真

左より、大野裕先生、高井伸夫(列後ろ)、遠藤拓郎先生、山岡昌之先生
取材日 2016年7月24日京懐石みのきち新宿住友ビル店


[先生方のご紹介] (50音順)

(スリープクリニック調布 院長 遠藤拓郎先生)

東京慈恵会医科大学卒業、医学博士 睡眠学会認定医師 日本精神神経学会 精神科専門医

スリープクリニック調布、スリープクリニック銀座、スリープクリニック青山を開院し、現在は調布院長。祖父は小説「楡家の人びと」のモデルとなった青山脳病院で不眠症の治療を開始し、父は日本で初めて時差ぼけの研究を行った。祖父の代から三代で、九十年以上睡眠研究を続ける睡眠医療の専門家。

 

(一般社団法人 認知行動療法研修開発センター 理事長 ストレスマネジメントネットワーク 代表 大野裕先生) 

1978年慶應義塾大学医学部卒、2011年6月より国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター所長。日本認知療法学会理事長。日本ストレス学会副理事長。うつ病などに対する認知療法の権威であり、専門書や一般向けの著書を多く執筆している。

 

(日本摂食障害治療研究所  所長 山岡昌之先生)

1973年東京医科歯科大学医学部医学科卒。1977年より、国家公務員共済組合連合会九段坂病院内科に勤務。

日本心身医学会や日本摂食障害学会の理事、日本心療内科学会の副理事長などを務め、摂食障害治療をリードしてきました。診療の際には全人的医療を心がけ、特に母子の信頼関係の確立を目指す再養育療法(注1)に力を入れている。2013年3月で九段坂病院を定年退職し、日本摂食障害治療研究所所長に就任。専門機関での研究と診療に従事する。

また、摂食障害の支援・啓発・予防を目指して、2016年3月に設立された、日本摂食障害協会の理事も務めている。

注1 再養育療法:摂食障害の患者さんには、しばしば「退行」(子供・幼児返り)現象が見られる。退行する心を受け止め、親子関係(特に母子関係)をもう一度構築しなおし、育てなおす治療法を「再養育療法」という。

 

【今回のインタビュアーは以下の通りです】

  • 弁護士 髙井伸夫

 

 


 

高井

本日はお集まりいただきありがとうございました。先生方の近況をお伺いしたいと思います。まずは大野先生、近況を教えてください。

 

大野先生

私は5年前に、国立精神・神経医療研究センターにできた認知行動療法センターへ慶應大学病院から移りました。去年の3月に定年になり飯田橋に事務所(ストレスマネジメントネットワーク、大野研究所)を作りました。現在は、基本的には研修や講演が中心で、企業内診療所での診療なども行っています。ストレスチェックが始まったので、その関係の講演もよくあります。

 

高井

ストレスチェック制度の導入には企業の研修が必要ですか。

 

大野先生

研修は必要ありませんが、現在のストレスチェック制度には3つの課題があると私は考えています。それは、高ストレス者でも手を挙げる人がほとんどいないという課題、高ストレス者の面談が1回では終わらず継続的なフォローが必要になるという問題、そして、手を挙げなかった高ストレス者に対する保健指導をきちんと行うという課題の3つです。

高ストレス者の医師面談をEAP(注2)などの外部機関に委託する企業も少なくありませんが、外部の医師では企業の実状がわからず、現実に即さないアドバイスをされるリスクもあります。そうしたリスクを避けるためには、企業の中で実施できる人材を育てる必要があります。私が事務所を立ち上げたのは、そうした人材を育てるための研修を実施するためです。最近は、(株)リクルートスタッフィングと一緒に、保健師さんや看護師さんにストレスチェック後の相談に乗れる「ウェルネスアドバイザー」の研修をして派遣するという事業に取り組んでいます。私が監修しているウェブサイト『こころのスキルアップトレーニング』を企業でのメンタルヘルス不調の予防に活用する実証研究にも取り組んでいます。

注2:EAPとは Employee Assistance Program の略であり、従業員支援プログラムのこと

 

遠藤先生

ストレスチェックは労働者のためですか。それとも企業のためですか。

 

大野先生

もともとは労働者のためですが、メンタルヘルス不調による経済損失の大きさを考えると企業のためでもあります。

 

高井

次に遠藤先生の近況を教えて下さい。

 

遠藤先生

実は僕のキャリアの半分くらいは基礎医学です。北大の講師をしていましたが、実家の病院へ戻りまして、実家が古くからの精神病院だったのですが、自身のキャリアを拡げようと思いまして、スリープクリニックというのを作りました。そうしたらありがたいことに全国から患者さんが来て、銀座と青山にもスリープクリニックを作りました。北大から東京へ帰ってきた時に、もう学問はやめようと思い全部投げ捨てて帰って来たのですが、縁あって最近は女子栄養大学の客員教授になり、慶應大学でも睡眠外来をやるということになりました。どんどん睡眠のフィールドが広がってきているというのが現状です。

 

高井

具体的にはどういった治療を行うのですか。

 

遠藤先生

実際には僕らは患者さんが眠れないといってもその人の話を聞くことはありません。睡眠計を患者さんに付けてもらいます。昼も夜もずっとつけてもらいます。この睡眠計は昔は100万円くらいしましたが、今はおそらく数千円です。腰につけてもらいます。

 

高井

それはどうやって分析するのですか。

 

遠藤先生

コンピューターで一瞬で分析できます。JRの運転手さんがちゃんと寝ているのかとか、眠れないと言う不眠症の患者さんが実は昼間に5時間寝ていることも分かります。実際に本当に眠れていないと言う人はほとんどいません。どこかで眠れています。診察で、眠れる、眠れないという押し問答のような患者さんとのやり取りは一切しません。データではこうですよと言って、治療の方針を決めます。

 

高井

山岡先生の近況を教えて下さい。

 

山岡先生

2013年3月まで九段坂病院で副院長をしておりました。65歳になり九段坂病院を辞めて、私の孫弟子が池袋で開業したので、同年4月より、私はそこを助ける形でやっています。私は摂食障害をずっと専門にしていますから、九段から200名くらい摂食障害の患者さんを連れてきて、原則新患を取らない形で診ています。

母校では今でも医学部学生に対し、「心身症と摂食障害」の講義を頼まれてやっております。その他心療内科医として、いろんなことをやっています。

摂食障害の治療との関係で、最近はオキシトシンにはまっています。近年オキシトシンに関する研究は活発で、すごい勢いで世界中から論文が出ています。摂食障害に関しては、オーストラリアと韓国で拒食症に対し、オキシトシンの鼻粘膜投与に関する治験が始まっています。

摂食障害の治療に携わっているなかで再養育療法という治療法を開発して母子関係のところにどんどん入りこんでいきました。ピュアな摂食障害というのは母親を強く求めます。他の障害との併存がないようなケースでは、再養育するだけで、ほとんどがよくなってしまいます。再養育療法でどうしてよくなっていくのか理由がわからなかったのです。そこで、はたと気が付いたのがオキシトシンでした。

オキシトシンの研究者によると、オキシトシンは母子間に相互的な強い絆を形成する、すなわち愛着を引き起こすホルモンということで脚光を浴びましたが、もともとは、分娩や、乳汁分泌の場面で見つかった物質です。今は心の領域にも非常に関係しているということが分かってきて、アメリカでは統合失調症とか、自閉症に投与が始まっています。

他のホルモンはネガティブフィードバックでコントロールされるのに対し、オキシトシンはポジティブフィードバックで分泌されており、オキシトシンの分泌は、更なる分泌に通じる面白い機序(注3)でコントロールされているホルモンです。

注3 機序:しくみ、機構、メカニズム

だいたい2歳、いわゆる臨界期と言われている1歳半から2歳くらいまでの間に、人間の心の基盤は作られるようです。このオキシトシンを分泌するシステムが十分に機能するようなものを持っている人は、ストレス耐性があるということがわかってきました。

オキシトシンはどういう仕組みで分泌されるかというと、皮膚への適度な圧によるマッサージや、関節や筋肉が動かされることによって感覚神経が活性化されると、オキシトシンが脳内で分泌されるということが全ての哺乳動物で分かっています。したがって理学療法の効果の一部はオキシトシンの効果だと言われています。論文も多く出ています。オキシトシンとエンドルフィンが関係するというのも分かってきました。今までエクセサイズでランナーズハイというとエンドルフィンしか分かっていなかったですが、実は運動することによって関節・筋肉が動かされてオキシトシンが分泌されて、さらにエンドルフィンが分泌される。これが1つのサイクルになっているというのが分かってきました。

つまり、このオキシトシンがエンドルフィンの放出を促すので、オキシトシンは運動とエンドルフィンをつなぐ生理学的なリンクのひとつと言えましょう。

 

高井

山岡先生もおっしゃいましたが言葉で語るより体を触った方がよいということがあります。古代医学、原始医学では、三つの方法で治したといいます。1つ目は愉気、祈り、2つ目は手当、3つ目は看護。ある動物は、病気になった個体の周りに座るんだそうです。そしてじっと病気の個体を見つめ、病気になった個体は見つめられていると治っていくと聞いたことがあります。看護の世界、愉気というのは祈りをささげることです。これは脳が一定レベルに発達した動物にみられる現象と何かの本で読んだことがあります。

 

大野先生

原始的、瞬間的な反応の1つに「パニック発作」があります。何かのきっかけで急に不安が強まり、心臓の鼓動が高まる。顔は青ざめ、手のひらや足の裏にじっとりと汗がしみ出してくる。体の反応にこころが反応してますます不安が強くなり、そのために体の反応も強まっていく。こうしたこころと体の悪循環が急激に起きるのです。原始時代の体の反応だと思います。

私達の祖先は、例えば天敵に襲われそうになって危険を感じるとき、緊張して戦闘態勢に入りますが、こうした心身の変化は、原始時代には必要でしたが、動物と闘う必要のない現代社会ではかえって負担でしかないでしょう。パニック発作が現れたときには、そう考えて冷静になれると不安はやわらぐのではないでしょうか。

 

山岡先生

瞑想はオキシトシンの分泌を高めるというデータもあるようです。

 

遠藤先生

オキシトシンはタブレットで補充するのですか。

 

山岡先生

胃液で消化・分解されてしまうので、ダメです。注射か、鼻粘膜投与、その2つしかありません。

 

高井

話は変わりますが、認知症は、インド医学によると冬瓜を食べるといいそうです。冬瓜を食べると認知症にならないと聞きました。

 

山岡先生

米ぬかも良いと聞きます。実際に使われているようです。すでに栄養食品として売られております。精神科と神経内科の中で認知症を専門にしている先生たちがその知見の広報に努めておられます。ただの米ぬかではありません。それから抽出されたフェルラ酸という成分が有効とされております。

 

高井

ところで遠藤先生は日経によく出ますね。

 

遠藤先生

新聞もラジオも、睡眠というと、根拠がよくわからない内容の発言をする人も多いので、医者、学者がちゃんとしたことを言わなければならないと思い活動しています。睡眠はまだ体系化されていません。でもすごく大事な分野ですし、医学としてもちゃんと確立されるべき分野ですし、商品として、寝具、寝方などはちゃんとしていかなければならない。世の中によくわからないものが多すぎるので、医者である僕が出て行って、たとえば生理学的にいうと、人間にはこういう特性があるので、こういうふうな寝具を選びなさい、こういうふうな寝方をしなさいということをちゃんと言わないと、この業界全体がいかがわしい業界になってしまうという危機感があります。

 

山岡先生

遠藤先生の睡眠ですが、私はよく患者さんに、「治療において睡眠が一番大事」「体の病気も心の病気も睡眠がとれていることが一番自然治癒を促進するとお話しています」これは真実だと思います。

 

遠藤先生

間違いないです。

 

山岡先生

眠りが、一番害がなく一番確実に治せます。

 

遠藤先生

基本的には僕の場合は眠りが定量化できているので、その人がいい睡眠がとれているのかどうかがすごくよくわかります。もともと僕は精神科医です。メンタルとスリープ両方に問題がある場合、私は意図的に、メンタルは治しません、睡眠しか見ません、と言っています。睡眠しか見ないと言うのは、睡眠計しか見ないということです。それは意図的にやっています。睡眠を治すとメンタルも自然に治ってしまう場合があるからです。ですから、患者さんでメンタルに複雑なものを持っているなと思いながらもわざわざ聞きません。

 

山岡先生

ところでアルツハイマー病の治療とオキシトシンのことですが、アルツハイマー病の人は、記憶がなくなってしまう不安の世界にいます。高井先生はユマニチュードをご存知ですか。

 

高井

知りません。

 

山岡先生

ユマニチュードとは、フランス発祥の認知症ケアの方法です。「ちゃんと目を見る」「積極的に話しかける」「優しく触れる」「自分の足で立つ」というコミュニケーションの4つの基本手法があり、フランス、ドイツ、カナダなどで盛んにおこなわれております。要するに、人としてアルツハイマーの人に対応すると不安が取れる。NHKテレビでも取り上げられていました。このユマニチュードの効果はオキシトシンによるものだと私は考えております。要するに、アルツハイマー型認知症の患者さんにきちんと対応すること。認知症のせいで他の人から、なかなかきちんと対応された経験がなくなっている人に、動物的にはおそらく、自分は大切にされているとか、この人は危害を加えない人だとか、そういう安心感が与えられると、そこに、心の交流を含めた安心感ができてオキシトシンがさらに分泌されると思います。理学療法では、患者さんばかりでなく施術者もオキシトシンが分泌されることが分かっています。ユマニチュードでも同様の現象がアルツハイマー病の患者さんと治療者に起きていると思われます。ユマニチュードを行うと、うつ状態や暴力的になったりする人も、穏やかになり、「魔法のよう」とその効果が紹介されることもあります。

 

高井

アルツハイマーが治るの?

 

山岡先生

治るわけではありません。ただドタバタしている症状が起こらなくなる。ユマニチュードは国際的にも有名です。ユマニチュードを実施している人たちは、オキシトシンが関与しているとは話されておりませんが、私はオキシトシンが深く関わっていると思っております。

 

高井

今日は色々なお話をありがとうございました。

 

以上

 

 

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2016年11月12日(土)7:29 目黒区青葉台3にて菊を撮影
花言葉:「破れた恋」

 

 

平成28年10月12日「AIと人事労務セミナー」 開催報告第1回

 

1.はじめに

昨今テレビや新聞を毎日賑わせている「人工知能(AI)」。人工知能が私たちの生活に及ぼす影響は甚大であり、今まさに大きな注目点です。その進化の速度は凄まじく、未来の話と思っていては取り残されてしまう。

より多くの方々にこの問題を身近に感じ、また考えていただく機会となることを願い、今年4月~6月、「週刊 労働新聞」において連載「人工知能が拓く未来~人事労務分野への影響~(全12回)」を企画した。僭越ながら私は最終回を担当させていただき、「AIの発展に備える」ことの重要性を多少なりとも啓蒙させていただいたつもりである。

 

さて、この連載は私を含め5名で執筆したのだが、このうち、ユカイ工学株式会社 代表 青木俊介氏と、株式会社リクルートキャリア リクナビNEXT編集長 藤井薫氏の2名を講師にお招きし、去る10月12日に、連合会館(千代田区)において、株式会社労働新聞社と高井・岡芹法律事務所の共催で、特別セミナー「AI(人工知能)が拓く未来 ~人事労務分野への影響を探り可能性を考える~」を開催した。企業におけるAIの活用状況や人間とAIのこれからの付き合い方についてお話しいただき、大盛況のうちに幕を閉じた。

当日の来場者数は80名の満員御礼となり、ありがたくも定員超過のためご来場をお断りする方が生じる事態となった。開催後の参加者アンケートには、次回の開催を望まれる声が少なくなく、世間のAIへの注目度が高まっていることの証左であろう。

これからますますAIに関する議論は加熱し、いかなる企業・個人においても大なり小なり影響を受けざるを得ない。この問題について少しでも多くの方にお考えいただくべく、私は今後も鋭意活動してゆく所存である。その一つとして、このブログで、今回のセミナーの概要を、講師の方のご感想を含めご紹介していく予定である。ご一読いただき、AIへの関心を深めていただく機会となれば幸いである。

高井・岡芹法律事務所 会長弁護士   高井 伸夫

 


2.講演概要

◎第1部 センサデータの活用で始まった、AIを活用した職場環境改善

(講師:青木 俊介 氏(ユカイ工学株式会社 代表))

センサを活用して私たちの労働環境からビッグデータを作り出し、AIを活用して職場環境改善に役立てるサービスが始まっている。各企業の取り組み事例をご紹介いただきながら、今後AIが職場環境改善にどう利用されていくかについて解説いただいた。

 

【主な内容】

●センサを活用した労働環境計測の事例

●デバイスの例

●AIによる分析を活用した職場環境改善事例

●人事分野におけるセンサデータを活用した最新のサービス内容の紹介 など

 

◎第2部 今なぜ、人事がAIに向き合わなければならないか~その背景と今後の可能性について~

(講師:藤井 薫 氏(株式会社リクルートキャリア リクナビNEXT編集長))

今なぜ、人事がAIに向き合う必要があるのか?変化のキーワード、利活用の方向性、活用に向けた2つの壁、人間がやるべきことをベースにお話しいただいた。

人智を超える新たな力であるAIが、どう人事や企業組織を変えるのか?講師が人事プロフェッショナルやAIの先端研究者の方々との対話の中から掴んだ視座から「AI×人事が拓く未来」について語っていただいた。

 

【主な内容】

●変化のキーワードからみる

1.不可逆な経営環境GDP

2.サービス経済化

3.KKDからKDDへ

●人事における利活用の方向性

●2つのAの壁

1.A〇〇〇〇なくしてA〇〇〇〇なし

2.A〇〇〇〇よりA〇〇〇〇

●人間がやるべきこと

 

※次回は、セミナー当日の私からのご挨拶をご紹介し、AIと人間の違い、人間がAIより優れていることについて考える。

 

 

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2016年11月12日(土)7:26 目黒区青葉台3にてプリンセス・ドゥ・モナコを撮影
花言葉:「淑やか、温かい心」 


 

第17回人材グローバル化(3)
(2008年10月20日) 

 

 

孫文(1866~1925)は著作『三民主義』の中で「中国人はひとにぎりの砂である」との論説を紹介している。つまり、乾いた砂粒は独立していて決してくっつかず、石にも、まして岩にもなり得ない。

一方、わが国では聖徳太子の「十七条憲法」(604年伝)1条が「以和爲貴(和を以って貴しとなす)」とし、国家君が代が「さざれ石の岩の巌となりて苔のむすまで」と謳うように、「和」「協調」が何より重んじられてきた。これらは国民性・民族性の違いと言うほかはなく、互いの特徴として認め合うしかない。日本人の中にはとかく「中国人に騙された、裏切られた」と嘆きあるいは怒る者もいるが、それは違う。基本的に、個人主義と集団主義の相克に過ぎないのである。そして、残念ながら世界では日本だけが集団主義であると言っても過言ではなく、個人主義は中国のみならず諸外国にほぼ共通する文化である。即ち、日本は万世一系の天皇のもとに「和」や「集団」を重んじる風土が形成されたが、諸外国の王朝・政府は革命で覆ることが半ば当然であり、人民は「公」を信頼し得ないとして個人主義とならざるを得なかったのである。そのため、日本は自らを変質させなければ、グローバル化対応を果たせないという宿命を負っている。

個人主義の内容を分かりやすくいえば、「権利の極大化・義務の極小化・責任転嫁」と表現できる。個人主義の国では、誰もが自らの利益を絶えず追求する“常在戦場”の精神に基づき、権利を可能な限り小さくし、いかに責任を負わないようにするかが行動基準になる。したがって、日常的買い物でも値段を高めに吹っかけ(権利の極大化)、買い手はそれを値切ることが義務なのである(義務の極小化)。

また、日本の契約書は「この契約に定めのない事項が生じたとき、又は、この契約各条項の解釈につき疑義の生じたときは、信義誠実の原則に基づいて協議・解決する」旨の条項を置いているが、中国ではこうした曖昧な文言は意味をなさない。中国人・中国企業との契約は、アメリカ的に細大漏らさず規定しなければ、彼らにとって信義誠実の原則=「権利の極大化・義務の極小化・責任転嫁」の行動原理に基づき対応され、当方は想定外の損害を受ける。

 

書面が必要な労働契約

これらを、日本人の感覚のみをもって中国を「とんでもない国!」と批判すること自体が、世界を知らない平和ボケ以外のなにものでもない。「衣食住足りて礼節を知る」(管子)というが、新興国の礼節に関する部分は、国民の一人ひとりが豊かになり国際的地位が高まることによって初めて備わっていくものなのである。それを興隆期に求めても、ないものねだりというほかはない。現地人のいささか気になる行為等をも包容する姿勢こそ大切である。

労働契約の面でも、中国の労働契約法10条は、労働契約締結の際に書面を取り交わさなければならない旨定めているが、これは前述の民族性に基礎を置くものである。日本では徐々に書面化が進んでいるとはいえ、口頭でも労働契約は成立し得る。

また、人事労務との関連で言うと、集団主義である日本は基本的には集団管理でよいが、個人主義である中国では大衆の統御が極めて困難であり、個人管理を徹底しなければならない。これが中国の人事労務の一番のコツである。それゆえ、中国人の就業規則が日本のような曖昧な文言では実効性がなく、微細に亘り規定する必要がある。例えば、規律違反に対する罰金規定では、対象となる行為と金額が具体的かつ詳細に列挙されているのが一般なのである。

なお、個人主義の人事管理の弊害の一つは、部下に自分より能力のある者を迎えたがらず、迎えたとなると功績を貶め、“足を引っ張る”傾向がある。このことを念頭に置いて人事管理を進めなければならないこともまた、個人主義の国民に対する態度として極めて肝要である。

 

国外追放や入国拒否も

こうした彼我の様々な差異を理解し、現地でも日本国内でも国籍に拘らない働きのできる人材を得るためには、①ダイバーシティの理解、②柔軟な価値観、③人権を重んじる振る舞いを念頭においたグローバル教育が重要となる。異なった考え方・思い方・感じ方・価値観を持つ多様な人材が交流する中で、発展的かつ創造的な成果が生み出されるのである。多様性の概念=ダイバーシティ(diversity)は、企業の現場でも業績の向上につながるものとして評価されている。

香港の地下鉄工事(1975年)を請け負った日本の建設会社担当者の当時の経験談を紹介しよう。この工事は英国人・広東人・韓国人・日本人の4つの異なる民族が協力して完成した。始めはお互いの言葉が通じなかったため摩擦もなかったが、少しずつ言葉が分かりはじめコミュニケーションが可能になってくるとケンカがみられるようになり、人間関係上の葛藤が凄まじかったという。しかし、彼らはケンカや衝突を経ることによって相互理解を深め工事は安全に進んだ。

①日本企業は人を見抜く目利きとなることを心掛け、ダイバーシティ概念を理解できる人材を見出し、教育・評価し、海外に派遣することが第一に肝要である。②そしてそれには、価値観において硬直的な人物は不適であり、フレキシブルな思考を展開できる人材が必要である。特に、日本から派遣するトップおよびナンバー2には、国内で成功した人よりも、多様な文化に喜んで対応できる人を選ぶべきである。

さらに、これらの大前提とも言えるのが、③現地の国民の人権を重んじる日本人派遣員の意識・姿勢・振る舞い、つまり人間としての真摯さである。例えば、中国の日本人派遣員の中には、国外追放を命じられる者や再入国を拒否される者もいる。それは現地の反政府的団体に関与した等の政治的理由だけでなく、現地女性とふしだらな行為に及んだことを理由とするビジネスマンの例も非常に多い。そのような人物を擁する企業に属する者が、中国の人権問題を云々すること自体、論外である。

グローバル化の意義を深く理解し、人権を尊重する所作・振る舞いを身に付けさせることは、グローバル化対応教育の重要な一章なのである。

また、グローバル化教育は日本人だけでなく現地人に対しても重要であり、上記①~③は彼らにも同様に求められる。そして、日本での定期的・継続的な研修や、日本と現地で人材交流(転勤・出向・出張等)を行い、人の往来を実行することも教育効果が大きい。さらに、日本本社で海外子会社などを統括する部門の長やスタッフ・サポート部隊に、海外から優秀なスタッフを招致し実をあげるとともに、将来の海外子会社の幹部候補として育成することも取り組むべき課題であろう。

グローバル化を図るには、尖兵としての日本人派遣員は、現地人に対する教育的役割を一層強調しなければならないのである。

 

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『去る10月12日に、株式会社労働新聞社と高井・岡芹法律事務所の共催で、
特別セミナー「AI(人工知能)が拓く未来 ~人事労務分野への影響を探り可能性を考える~」
を開催致しました。次回よりAI特別セミナーの概要、および講師の方のご感想を全5回に分けてご紹介致します。

去る10月12日に、株式会社労働新聞社と高井・岡芹法律事務所の共催で、特別セミナー「AI(人工知能)が拓く未来 ~人事労務分野への影響を探り可能性を考える~」を開催致しました。

次回よりAI特別セミナーの概要、および講師の方のご感想を全5回に分けてご紹介致します。

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右上から時計回りに 全て2016年10月29日(土)に撮影
10:33 グラジオラス 花言葉:「用心、思い出」
10:49 ネリネ 花言葉:「忍耐、箱入り娘」
11:12 ケイトウ 花言葉:「おしゃれ、風変わり」


 

~株式会社新規開拓代表取締役社長朝倉千恵子様が韓国ソウル大学で日本を代表してご講演されました~

 

兼ねてより親しくさせていただいている、株式会社新規開拓代表取締役社長朝倉千恵子様が、この10月25日に、韓国のソウル大学にて、日本の女性経営者で初めて、「日本で活躍する女性社長、成功の条件 ~ 勝ち残る企業・人財の条件 ~」というテーマで講演された。

今回、このような機会を作って下さったのは、朝倉様が主宰している卒業生2,000名を超える女性限定の塾「トップセールスレディ育成塾」の34期生である木下良美様よりご縁をいただいた株式会社ユナイテッド・ブックス 代表取締役社長 神澤 享裕様とのこと。

神澤様は、韓国で20年以上ビジネスを続けてきており、ビジネス誌の出版会社としてはナンバー1だそうで、全ての出版を合わせても、韓国で5本の指に入る業績を誇られるという。

今年の2月、神澤様との会食時に、朝倉様より「韓国で講演をやりたい」旨お伝えしたところ、その後、韓国国内で奔走して下さり、ソウル大学 大学院 教授 金 顯哲様をご紹介いただき、講演が実現したとのことだ。

神澤様曰く、「韓国は元々儒教の国であり、礼儀礼節をとても重んじている国。本来大切にしてきた礼儀礼節が、家庭から崩れていってしまっているような現状がある」とのことだが、このことも講演実現の背景にあるに違いない。笑いあり、感動あり、訓練ありの講演会に終わったそうだ。

更には、今から遡ること約10年前、朝倉様は、講談社より自身の著作を韓国語に翻訳出版されていたことも、今回ソウル大学での講演実現を後押ししたに違いない。

朝倉様は2011年11月中国(上海)での講演にて、「礼儀礼節に国境はない」と感じられたそうですが、今回のご登壇も、正に国境を越えたソウル大学の皆様に、「礼儀礼節が如何に大切なのか」を伝える良い機会になったということでしょう。

こういった国際貢献活動をする企業が増えることが今後の日本にとっておおいに必要なのではないでしょうか。同社及び朝倉様の今後の活躍を応援したいと思います。

参考:株式会社新規開拓 朝倉様のブログ「10月25日(火)ソウル大学大学院 講演会」

http://s.ameblo.jp/shinkikaitaku-asakura/entry-12213903520.html

 

~草間彌生氏の平成28年度文化勲章受章ニュースに際して思い出したこと~

 

私はずいぶん以前に、草間彌生氏に直接お会いしたことがある。

今ほど有名になられる前であったが、当時、マネジャーの高桑君と一緒に事務所に来所され(1989年12月)51枚の版画を購入した。その後も時たま個展の案内状をいただいたが、それ以来お付き合いはないので、全く私の世界からは遠い人になってしまっている。

当時の草間さんの絵を見ると、内なる欲求を絵にぶつけていたような気がしてならない。購入した作品のうちの何枚かは私の友人のご子息やご令嬢の結婚のお祝いとしてお贈りした。大変価値の高い美術品が、数点、私の手許を離れたことになるが、私がまだ美術品に十分目覚めていない時に購入した作品だったので、当時は惜しむ気持ちはなかったのである。

本年10月28日付けのニュースで、草間氏が文化勲章を受章されたと聞き、心からのお祝いの気持ちを抱くとともに、昔のことを思い出した次第である。私にとっての大ニュースであった。

 

以上

 

 

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2016年10月29日(土)10:51 白浜野島崎にて撮影

 

 

第16回人材グローバル化(2)
(2008年10月13日) 

 


今回は小生が中国での実体験に基づいて、現地の情報収集の重要性を指摘する観点から感じていることを述べてみたい。

 

まず群れから飛び出す

前回、日本人の群れたがる習性を批判的に紹介したが、日本人には「群れざるを得ない」事情がある事も否めない。なぜなら、日本人は欧米では人種的に差別され、中国等アジアでは対抗意識を抱かれるため、それらに伍していくためには自己防衛的な意味で集団の力で活動せざるを得ないのである。この点、米国に「日本人村」がなくなったのは、ひとつの進化であるといってよい。日本人は個々が切磋琢磨した結果、有能であると認知されてきたからこそ、集団になる意味が薄れ、「村」がなくなった。一方、韓国人村や中国人村はまだ存在するのであり、彼らは未だ日本人ほど認知されていないということになる。

しかし、いかに自らを守るために「群れざるを得ない」側面があったとしても、勇気をもってそこから飛び出し現地の人々と積極的に交わらなければ、更なる成長を遂げることはできない。例えば中国で日本人幹部だけで経営方針を決めたり、人事労務問題を処理すること自体、現地の人々に違和感・不信の念を持たれ信頼を得られない。その結果、士気の低下や労働生産性の低下をもたらすのである。

私が上海で主催している勉強会「上海高井倶楽部」は、非営利の相互扶助組織で、日中のビジネスの架け橋たらんとして2002年11月に立ち上げたものである。会員は在上海の日本企業百数十社だけでなく、多くの中国人にも会員や理事としてご参加いただいている。日本人が中国人との真の信頼関係を作り上げるためには、おごりや慢心を捨て、謙虚に中国人に学ぶ姿勢を持つことが重要であるし、また、日本人だけでは結局「群れる」ことになり会の発展性がないからである。こうした交流の仕組みを作り、現地の人々との交わりを日本人に体験してもらう「場」を提供することも、この会の趣旨である。会の費用は私の事務所がいくらか負担するボランティア組織であるが、日本人が「群れる」ことを回避するための、現地社会に対する貢献活動のひとつである。

現地の人々と交流すると彼らから大いに尊敬され、いろいろな重要な情報を得ることが可能となるものだが、これは実際に体験してみなければ分からない。現地の人との交流は心掛けひとつで容易に実行できるグローバル化の第一歩なのである。

コミュニケーション能力というと、「TOEFLのスコア××点以上」という話になりがちであるが、人間同士の交流は、まずは相手に好意好感を持ってもらう人間性を表現することから始まることを忘れてはならない。

相手に好感を持ってもらえるほどの語学力とは、単なる挨拶や日常会話レベルでは不十分で、電話で当意即妙の会話をして笑いを誘うことができる程度の能力をいう。中国人と自然に交わり、冗談をいい合い、雑談・歓談することによって互いの心の絆は強くなっていくのである。現地の企業内で日本人だけで固まっていては、どうしても現地の人とコミュニケーションの本質である意思疎通を欠き、全社一体となって企業活動を展開するような経営の一体感の形成ができなくなってしまう。

中国人は個人主義であるがゆえにとかく情報を公開せず、社会的には透明性が低い。こうした、事実を隠し正確に伝えないという中国社会の傾向からすると、情報の希薄化・途絶化は企業活動にとって極めてリスキーな状態をもたらすことになる。

 

日本総領事館に足運ぶ

さて、内販を進めるに当たってはクライアントに好意好感を持ってもらうことが必要だが、とりわけ政府の要職の方にそうした感情を抱いてもらうことが肝要であり、そのことが従業員や企業を取り巻く利害関係者に、安心感・安堵感を与えることにつながる。十分なコミュニケーション能力が必要となる。

現地の人々との交流を深めて現地に溶け込むことに加え、さらには政治的背景を築くことは、日本人企業として非常に重要なことである。特に新興国には民主主義が十分に発達していないところがあるから、現地政府の人と親しくなって交際し、こちらを理解してもらい、政治的背景を築くことが重要である。

それは何も難しいことではなく、例えば現地政府の行う講演会等に出席し、名刺を交換し、御礼状を出すというささやかなことが端緒となる。より効果的なのは、質問をして適切な回答を得た場合に感謝の意を表すべく御礼状を出すことである。さらに折に触れ懇談会の席を設けてごく少人数でお話を聞くことになれば、現地政府との間で理解が深まり好感を持ってもらえるようになる。中国で日本企業が日本人だけで経営し、中国人や地方政府と交流する機会を得ようと努力しないならば、結局は中国人従業員の信頼を得られない。

また、情報という観点からいえば、現地の日本総領事館等政府機関の重要性も見逃してはならない。実際に足を運ぶ人はなぜか少ない。前述の「上海高井倶楽部」では、総領事館等の方にも折りに触れ勉強会にご出講いただく等の活動も行っており、会員から好評を博している。

以上のように、私がグローバル化のための留意点として現地で特に実感している①日本人同士で群れないこと、②真の意味でのコミュニケーション能力を磨く、③現地における政府関係者との交流の重要性、という3テーマを中国において日本企業が疎かにしていると、次の3つのリスクが発生するだろう。

 

人事労務情報が途絶も

第1に、中国人からの人事労務上・経営上の肝心な情報が希薄化ないし途絶化する。その結果、経営が日常的に様々な危険にさらされ脆弱になる。第2に現地の人の積極的な協力が得られず、企業内で一体感の形成ができない。経営者にコミュニケーション能力がなく、現地政府の理解を得ていないということ自体が、中国人のビジネスマン・労働者に潜在的不安感を抱かせることに繋がるからである。第3にその結果として労働者の定着率が悪くなり、積極的な協力が得られず、結局は生産性が上がらないという結果を招く。

(社)日本能率協会(JMA)の報告書「中国における日系企業の経営のあり方」(2008年4月)の調査結果によれば、上海の日経企業にとって現在の最も重要な経営課題は「優秀な中国人幹部の採用、定着と育成」(100%)であり、人材マネジメントの最も重要な課題は「優秀な人材の採用・定着」(80%)であるという。つまり中国における企業経営はリーダーシップ・マネジメントにかかっているということである。

何はともあれ、日本企業が海外に進出し、現地化に成功して現地で確かな経営を行うためには、現地の正確な情報収集が何よりも必要である。要するに、彼を知って初めて、市場・ビジネス戦場でフルに企業の能力を発揮できるからである。

 

 

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  • 今、話題のテーマについて各界で活躍している方々と対談をする一問一答形式のブログの第5回目です。
  • 今回のゲストは、諸戸林業株式会社 環境林業部 取締役 御代川彰徳 様です。

 

■ ■ ■ 時流を探る~高井伸夫の一問一答 (第5回) ■ ■ ■
諸戸林業株式会社
環境林業部 取締役 御代川彰徳 様
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


[諸戸林業株式会社 環境林業部取締役 御代川彰徳 様とのご縁について]

昭和31年(1956年)に父に連れられて渋谷の南平台の諸戸精文氏を訪ねたことがある。山林王の1人であったが、その時からすでに木材の将来性をおおいに危惧されていた。小生の父は三重県桑名郡古浜村の生まれだが、諸戸精文氏は三重県桑名市において山林業を営んでいたので面識を得て、仕事を父が頂いていたのではないかと思う。そんな縁があってか、小生は父に連れられて南平台のお屋敷にお邪魔したのだろう。

その後、修習時代に弁護士修習の指導教官であった小川保男先生に師事したことによって林業への理解を深めた。小川保男先生はかつて林野庁に勤務されていて山林のことにも詳しかったのである。そして小川先生は山林に関するエッセイを書いておられて、それを本にまとめられていた。小川先生によって小生も山林のことについてさらにいささかの知識を得たのである。その後、小生は農業に関してエッセイ等を書いたが、山林については全く触れることができなかった。ところが、今年になって、ひょんなことから諸戸精文氏のことを思い出して諸戸林業を訪れることになったのである。諸戸精文氏はすでに鬼籍の人であったが、現在は諸戸清光氏が5代目社長であった。諸戸精文氏は2代前の社長で、諸戸林業3代目社長であったのである。

山林の実情を聞こうと思い会社に手紙を出したところ、御代川彰徳様が指名されて私の対談に応じてくださったのである。御代川氏との対談は諸戸林業の丹沢の山林事務所で1時間ほど行ったが、大変すばらしい人柄の良い方で闊達に話してくださった。

最後に話が終わってから「BOSCO」という名のキャンプ場を見せてもらった。そこはまさに千客万来であって、諸戸林業にとっては、利用されたお客様に金銭的に山林の手入れを支えて頂いていることになる重要な部門だということだった。

 

諸戸林業:三重県亀山市、津市、名張市、神奈川県秦野市、静岡県加茂郡南伊豆町、松崎町に山林を保有
http://www.moroto.co.jp/group_list/moroto_forest.html 

諸戸林業丹沢事務所

写真は、諸戸林業丹沢の山林事務所2016年9月11日撮影

【今回のインタビュアーは以下の通りです】

  • 弁護士 髙井伸夫
  • 高木光彦庶務・ドライバー

(取材日 2016年9月11日10時~11時 於:諸戸林業丹沢の山林事務所)

 


 

高井

丹沢の諸戸山林は今、従業員は御代川さんを入れて3名だそうです。山から木を切り出す場合も含めて総員何名ですか?

 

御代川様

10名です。丹沢に3名、キャンプ場に1名、後はアルバイト5~6名で、他に三重県中津の山に1名です。

他に製材所が在りそこに3名、販売メインの担当者が1名です。確かに、人を多く採用し、生産力を上げればそれだけ売り上げは上がるかもしれません。しかし、木材が値下がりしている今の状況で、多量の木を切り出してしまっていいのか、先代が植えた大切な木をそのような売り方でいいのかという考えのもとに、できるだけ人員を最低限に配置しています。

 

高井

御社の本社はどこですか?

 

御代川様

三重県桑名市です。東京支社は丸の内です。弊社は森林認証制度を取得しています。SGECはきちんと管理されている山という事の認証機関です。

※SGECとは
一定の基準等を基に適切な森林経営や持続可能な森林経営が行われている森林及び経営組織などを認証している機関です。

 

高井

僕は3代目の諸戸精文さんにお会いしたことがあります。諸戸氏はその時はもう60歳か70歳くらいでした。

 

御代川様

後ろに写真があります。今の社長は5代目で清光氏です。4代目は現在会長の精孝氏です。

 

高井

江戸時代の写真もありますね。こちらは丹沢事務所の写真ですね。

 

御代川様

この丹沢山林を取得したのが明治29年です。当時は荒廃した雑木林だったそうです。その時代は木を燃やして燃料にしていたから、それを切りながら、一気に木を植えるように地(じ)拵(ごしら)えしていきました。

植林に着手したのは明治31年です。植林にあたり紀州産の檜(ひのき)の苗木を採用しました。

船で大磯港か二宮港まで、そこから馬車あるいは馬の背に乗せて運び、更に山道は馬の背に乗せたり、人が持ったりしながらヤビツ峠を越えて運搬したと言われています。植林も結構山の上の方まで植えられています。

植える場所も考えられています。杉と言うのは水を好むので沢沿いに植えているんです。広葉樹は養分が下に落ちていくということで、欅(けやき)などを尾根沿いに残したようです。中間部に檜を植えて、沢沿いに杉を植えているというわけです。

 

高井

『諸戸百年檜』とはどういう木ですか?

 

御代川様

この丹沢山林は900haで、樹種はだいたい檜が80%、杉が20%です。実は諸戸の100年の木はそんなに太くなくて、直径40cm弱くらいです。

木を植えるところから密度管理をしています。木の成長を抑えることで、年輪の密に詰まった高品質な木が育つからです。今は1haあたり2500本くらいの密度ですね。2500本は密植とは言いません。諸戸は通常8000本で間引きするのですが、それもあまりしませんでした。

もうひとつの理由は木が真っ直ぐに伸びることです。空間があいてしまうと木が光のある方へ伸びてしまいます。だから、真上の方にだけ光が当たるように適度な密度に調整しているのです。

 

高井

どこに卸しているのですか。直接販売もしているのですか?

 

御代川様

うちは販売経路も持っています。建築材料としては、住宅から公共施設、寺社仏閣など幅広くご使用いただいています。販売先は有名なところも多いです。直接、消費者に販売するようにしていますが、実際は原木市場や工務店、問屋にも出しています。

寺社仏閣に使用されていると言いましたが、実は有名な文化財になると、110年の木でもまだ若いと言われてしまいます。最低でも150年の木が求められます。

 

高井

将来性のある事業所はどこになるのですか?

 

御代川様

将来性と言いますか、実は林業は今なかなか厳しくて、本業だけですと成り立たないのが現状です。キャンプ場事業や別部門でゴルフ場事業も行っています。林業部門はキャンプ場事業で補っている部分もあります。

もちろん補助金もあります。しかし、補助金には将来性がありません。私たちの目指しているのは補助金がなくなっても、山を維持できる体制を作ることです。

 

高井

キャンプ場はいかがですか?

 

御代川様

はい、順調です。しかし、キャンプ場運営は黒字を追うためだけではありません。山をより良くしていくためという目的もあります。

キャンプ場のご利用を通して、お客様に自然や山のすばらしさを感じてリフレッシュして頂き、その対価として利用料を頂いて、その収益をもとに山を更に良くしていく。間接的にお客様に山林の手入れを支えて頂いている、山へ投資して頂いている、というように考えています。

キャンプ場はこの丹沢山林の諸戸の森内にあります。これからお連れする「BOSCOオートキャンプ場」は、なるべく地形をそのまま活かすよう作られていて、都心近郊にありながら自然が豊かなエリアです。BOSCOはイタリア語で「小さい森」という意味です。

お客様には食材だけ用意して頂いて、後はレンタルでバーベキューなどを楽しんで頂けます。キッチンは温水が出ますし、トイレはウォシュレットが完備されていて女性にも人気です。昆虫採集もできますよ。カブトムシは標高が高いので無理ですが、ミヤマクワガタが採れます。

今、キャンプブームでお客様も大勢いらっしゃっていますし、CM撮影などに使って頂いています。最近の某カレーのCMの背景はここなんですよ。

 

高井

林業は、木の値段はどんどん下がってしまっているのに、人件費は逆に上がっているのが厳しいところですね。

 

御代川様

そうなんですよね。諸戸の木は高い評価を頂いており、いくらか高価ではあります。ただ、高いと言っても、やはり市場の動向に引きずられて価格は落ちてきています。

 

高井

次にね、宮大工はどれくらいいるんですか?

 

御代川様

実はそんなにはいないです。私たちは社寺への販売もしているので、その繋がりで何名かはお付き合いさせて頂いています。

それから、地元の方々、ここでしたら秦野市近辺の棟梁達を大切にしています。以前、テレビ東京の番組「TVチャンピオン」の大工部門でチャンピオンになった方もいますよ。今、製材に関わる方も技術の継承に苦しんでいるようです。

 

高木

木を植えるというのは、何年先まで考えて計画立てているんですか?

 

御代川様

先代の方々の考え方がすばらしく、当時は皆さん、あまりそういうことは考えてなかったと思うのですが。100年先を見据えて、どういう作業をしたらよいか、など考えて完成図のようなものを描かれていたと思います。

諸戸家は初代から代々、山を売るなと言われてきていますので、それを守っていきたいと思っております。そのためにも、未来へ山を残すような設計をするべきで、私たちも模索中です。

 

以上

 

 

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2016年10月23日(日)8:07 港区麻布十番1にてカランコエを撮影
花言葉:「幸福を告げる、おおらかな心」



第15回 人材グローバル化(1)
(2008年10月6日) 

 

 

アジア各国のグローバル化が猛スピードで進むいま、日本に時間的余裕はない―。高井伸夫弁護士は、欧米人と比べ人種的に劣位に立つ日本人がグローバル化を成し遂げるには、世界にはない繊細な商品、サービスを提供し続けることが不可欠とした。

 

私は弁護士として1973年に独立して東京に事務所を構えたが、さらに99年には中国上海、06年には北京にも事務所を開設し、ほとんど毎月中国に出張している。海外にも拠点を置くようになって一層強く感じているのが、グローバル化に視点を置く人材が、致命的に不足しているということである。

一般に、グローバル化における基本的要件・留意点は、①人材の多様性の許容・異文化への理解、②語学力を含むコミュニケーション能力の獲得と経営の現地化、③人事労務業務のグローバル対応―等々と言われている。

しかし、この問題は、そもそも日本人に「多様化」ができるかどうかという大前提から議論を始めなければならないと私は常々考えている。なぜなら、日本人は、国土が島国であるという地理的位置、単一の民族でひとつの言語を用いていること、そして連綿たる歴史や文化等を背景に、集団的かつ排他的行動をとりがちで、同一性価値観から脱皮しにくくなっている。これに天皇制や鎖国的心情からくる「妙な優越感と劣等感からくる変な自信」がないまぜになり、日本人は残念ながら集団主義であり、どうしても異なった価値観・思考・態度をなかなか容認しない。

 

劣位におかれる日本人

近世の歴史をみれば、明治以降、政治・軍事・経済面では西洋に拡大したが、日本人一般の世界はまだ本質的には西洋にまで至っていない。言葉・歴史・文化なども世界的な目で見るようになっていない。グローバル時代といえども、日本人伝来の価値観・視野は日本のままにとどまっている。シンガポール、インド、マレーシアなど旧植民地国の視野が広がっているのと対照的だ。このように、日本人は、グローバル化を図っても現地人に溶け込んで仕事をすることが得手ではないと思われる。

加えて日本人は黄色人種であるがゆえに現地化できない宿命を背負った民族でもある。グローバル化にはコミュニケーション能力が絶対的に必要で、日本人がこの点それほど劣っているわけではなく、この人種的問題こそ日本人が多様化や現地化を推進できない大きなハンディと思われてならない。

つまり、中国・ベトナム・インド等アジア各国で私がいつも痛感するのは、白人の如何ともし難い優位性である。アジアの人々では口ではいかに欧米人を悪しざまに言おうとも、実際には白人を崇拝し最大件の敬意を表し、服する。そして、日本人はアジアでは白人に対して劣位な立場に置かれるのが常である。アジア各国の人々は日本人に対する対抗意識を持ちがちで、ひどい者は反日感情を持つに至り、さらには日本人を屈服させようとする意欲すら持つ。黄色人種である日本人は現地の人が服する存在ではなく、それゆえに企業経営の実態を現地人に委ね得ず、真の意味で企業経営の現地化ができない。

こうしたアジアの人々の「白人崇拝の心理」及び「黄色人種である日本人に対する対抗心」の根本原因は何だろうか。ひとつは人種差別的な意味ではなく、欧米文化を享受する場においては、欧米人が生来有している彫刻的な美しさや雰囲気が、アジア人よりもカッコよくてさまになると感じられることが深層心理にあるからだろう。例えばジーンズの着こなしの違いやラスベガスとマカオのカジノでの光景の違いを見ても、如何ともし難い。洋装は欧米人の体型に合うもので、音楽やバレエ・ダンス等彼ら自身が育んだ文化や娯楽は、彼らを堂々と立派に見せる。また、もはや実際上の国際語となっている英語を母国語としていあるいは母国語同様に用いている彼らに、仕事のうえで服する気持ちが働くことも自然の成り行きかもしれない。

このように、白人の優位性は是認してしまうが、同じ黄色人種である日本人には優位に立たれるのを忌避するアジアの人々の心理的なレベルの問題として、日本人にとって、グローバル化は容易ではないことを肝に銘じて、現地化等に取り組まなければならない。つまり、日本人が現地で尊敬を集めグローバル化に成功するためには、勤勉で正直でよく働くという資質、さらには精神性の高さをも訴えなければならない。さらに他の国では決して真似できないような繊細できめ細やかな特質を持った商品やサービスを、世界の市場に向けて提供し続けなければならない。

このようにグローバル化がいかに困難な事業であったとしても、日本企業にとってグローバル化は必然である。なぜなら、日本の社会は人口減により年々市場が縮小するのは不可避であり、人材も市場もグローバル規模で考えざるを得ない。

 

全人間性備えた行動を

グローバル化は、大企業だけでなく中小・零細・微粒子企業にとっても生き残りを続けるために絶対的に必要である。むしろ大企業に圧倒される小規模企業こそ、海外に活路を見出さなければならない。

そこで、グローバル化に適する人材を確保することが課題となるのだが、小規模企業は限られた経営資源の中で人材育成しなければならないことになるため、経営者自身がグローバル化の実体験者として、海外で生活し現地の状況をよく知ることが必要不可欠になる。

グローバル化するとなれば、企業は様々な国籍の人材を擁して様々な国に市場を求めざるを得ず、それを可能にするには、第1に、日本人経営者に多様な価値観を許容し尊ぶ姿勢がなければならない。まず、アジアの歴史から学ぶことだ。その成果としてリーダーシップもマネジメント力の発揮の仕方も良い方向に向かう。多様な価値観を持つ人材を統御していくのはそうした地道な努力なしには不可能である。アジア各国のグローバル化が猛スピードで進む今、日本には時間的余裕はあまりない。

それでは、こうした多様な価値観を生かしながら複雑な組織を率いるに当たって、リーダーに最も強く求められる資質は何か。良心と善意と人間性である。良心と善意に基づく行動は、国籍・民族問わず全ての人間を納得せしめるのである。

ハートワークが旨とする「真・善・美」、良心・善意・成長というキーワードは普遍的であるが、さらにその上位にあるヒューマンワークは、人間らしさを基調とし、全人間性・全人格をかけて「夢・愛・誠」を育み続ける働きであり、これこそが人類共通のものである。これらのキーワードで示される価値観基準で日本人が行動するようになれば、グローバル化において新たな展望が開けるであろう。

 

 

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上から時計回りに
2016年10月16日(日)8:13 千代田区永田町2にて浜菊を撮影 花言葉:「逆境に立ち向かう」
2016年10月15日(土)16:15 上総中野駅にてブーゲンビリアを撮影 花言葉:「情熱」
2016年10月26日(水)14:04 千代田区二番町4にてパンジーを撮影 花言葉:「物思い」

 

 

第16回「エリートの抜擢とAI」
(平成28年4月25日) 

 

 

 

非正規労働者が雇用者の約4割を占める現状では、格差問題解消への取組みが叫ばれるのは当然である。しかし、社会の健全な発展のためには、格差問題だけに着目しては不十分であり、エリートの抜擢・育成が極めて重要であることを忘れてはならない。人間は競争社会に生きているのであり、競争こそが個人を磨き、組織の質を高めていくといっても過言ではない。

「人事の本質」とは、優秀な者を引き立てて、無能な者を排除するシステムということになるだろう。つまり、競争のなかでの抜擢と淘汰を繰り返し、ひとりで3人分の仕事をする人物への切替えを進めるのである。

本来、正社員は非正規社員と異なり、管理職候補・役員候補として採用された存在だが、有名大学出身者でも役員になれない者が多数いる。正社員は、抜擢の対象となるエリート社員と一般社員に二分され、年次を経るごとにその差異が明確になる。このプロセスでエリート社員はますます才能を開花させ、能力を高めていくのである。これが、人事のヒエラルキーの中で公然となっているのが官庁や裁判所の人事であるが、すべての職域でも行われていることである。

抜擢の基準は、まず人望を集める人間性があるかをみる。そして、知恵があるか、情感が豊かであるか、意思が明確かという「知・情・意」が基本となる。その上で、良心に従った先見性・判断力と勇気を発揮し、リーダーシップに溢れた人物かということになる。時代のリーダーを育成するには、なるべく早い時期から対象者の能力を見極め、選抜・抜擢を行う必要がある。リーダーシップは能力開発が難しい行動特性とされているため、若い頃からリーダーとして頭角を現している者を選抜・抜擢して、その中から候補者を選び出すのが効果的である。

ところで、リーダーシップとマネジメントの違いは何か。前者は未来を指向し、後者は現実を直視する力である。リーダーは組織の方向性と目標を創造し、果敢に実行する。マネージャーは与えられた目標を達成するために行動する。私の経験でいうと、マネジメント力だけの者は経営者にはなれず、リーダーシップを発揮できる者はマネジメント力も備え、経営者としての資質も有している。

抜擢された者が能力を発揮するには、働きやすい環境に置く配慮も重要である。先輩社員に指示しなければならない場面は非常に難しいが、前任者が補佐し、リーダーを先輩が邪魔しないような体制を構築しなければならない。

さて、新しい問題がある。近未来の社会ではAI(人工知能)が仕事の担い手として存在感を持ち、多くの職域で人間に勝るようになる。AIが人間を負かす現象が様ざまな場面で展開されていくのであるから、人間はAIに負けないよう精進することが求められる。とすれば、社会における競争はさらに激化せざるを得ない。

近未来のエリートは、AIとの協調を絶えず考えなければならず、エリートやリーダーに求められる「知・情・意」の質も、AIの存在を前提とするものに自ずと変化する。新たなエリート像・リーダー像の誕生である。これまで私は、企業・組織には同業他社から引き抜かれるような価値ある優秀人材が100人規模当たり3人はほしいと皆さんに話してきた。近未来には、この3人のなかにヒトが何人入るのか、働く者はまさに正念場を迎えるのである。

 

 

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