日系企業はどうして中国子会社を管理できないのでしょうか?

前回の続き)

中国子会社の不正防止に向けた有効な対策として重要なことは、海外子会社におけるブラックボックスを排除し、「見える化」を徹底することです。

中国には日本人に理解しにくい複雑な制度と運用が多く、しっかりと状況を理解したうえで決断を下すことが難しい場面も少なくありません。つまり、多くの現地責任者が事情を良く分からず、なんとなく決済を下しているのです。また、日本本社においても、現地から十分な情報提供を受けていないケースや不正確な情報を放置しているケースが散見されます。

 

もちろん全ての事項を現地責任者・日本本社が細かくチェックしていては、スピード感を持った経営などできません。

そこで必要になってくるのは「見える化」の最適化です。たとえば、中国子会社の意思決定範囲やレポートラインの基準を明確に設定して、中国子会社の経営に日本本社が積極的に関与・チェックする体制を整えることが考えられます。他方、中国子会社の責任者として赴任している駐在員には「経営者」であることを意識させる必要があります。駐在員の意識向上を図るという意味で、人事評価の項目とすることも検討すべきです。

 

なお、「見える化」した体制が適切に運用されているか定期的に監査することも忘れてはいけません。

この点について、筆者は、中国子会社における日常の経営判断や監査業務において外部専門家を積極的に活用することを提案しています。

特に日系法律事務所の現地拠点の場合、日本本社(または日本人総経理)が直接にコミュニケーションをとれる一方で、中国子会社の部門責任者と一定の距離を保ち、日本本社を見ながら、中国子会社に対するガバナンス機能を担当できると期待しています。

 

最後に、中国子会社管理に特効薬はありません。法律や制度も万能ではなく、それだけで問題を解決することはできません。まずは日本本社が中国子会社管理にどれだけ真剣に向き合うのか、その本気度が試されているといえます。

 

以上