日系企業はどうして中国子会社を管理できないのでしょうか?

 (前回の続き)

日系企業の中国子会社管理は、日本本社から駐在員を派遣することで成立しています。日系企業による中国子会社の管理は、日本人駐在員への全面的な信頼を基礎に、何かあれば現地から本社に相談する、という受身的な手法を採用していることが多く、日本本社の関心は海外子会社の営業活動に偏っています。

このような管理手法が採用される理由として、日本人駐在員は本社の従業員であり、そもそも大きな権限自体がないことや、本社の従業員であるという信頼から現地責任者をけん制する発想に乏しいことが挙げられます。

 

そして、営業活動以外の事柄については、「現地に任せる」、「担当者に任せる」などといって海外子会社の実務的な処理を現地スタッフに任せきりにしてしまい、チェック体制も不十分であるケースが散見されます。

一般に、日本本社からの駐在員は数年で交代します。しかし、たとえば中国子会社の経理担当者は10年以上も担当を任されることで、たとえば海外子会社の経理部門などにブラックボックスが多数発生してしまいがちです。これが、不正の機会を作り出す温床となっているのです。

また、不正行為を行った従業員に対する対応が、職場で新たな不正行為を誘引することもあります。日系企業の問題社員対応として、紛争リスクを懸念して合意退職の形で済ませようとし、場合によっては経済補償金等の追い銭まで支払って辞めてもらうケースが散見されます。社内の他の従業員の多くはその顛末を知っており、不正行為をしても会社から解雇されずお金までもらえるという認識が蔓延してしまうのです。このような対応が、不正の動機や不正の正当化を誘発する要因となり得るのです。

このように、日系企業の海外子会社管理は不正発生を抑制するどころか、むしろその温床を創り出しているのです。

 

不正が起こる原因を単純に従業員のモラルのせいにすることはできません。不正が発覚した結果、大きなダメージを負うのは企業です。従業員に不正行為を許す機会を与え、不正の動機や正当化を誘発した責任を企業が負うことになるのです。

以上