個人事業主に業務委託をお願いする場合に、注意する点はあるでしょうか。

1.業務委託の労働者性判断のリスク

個人事業主との業務委託契約を行う上で、最も注意が必要な点としては、個人事業主との関係において、個人事業主が実質的に労基法上の「労働者」と認定されないようにする点です。

実際のところ、裁判例では、労基法上の「労働者」の判断について、「『労働者』に当たるか否かは、雇用、請負等の法形式にかかわらず、その実態が使用従属関係の下における労務の提供と評価するにふさわしいものであるかどうかによって判断すべきもの」と判示しています(東京高判平成14年7月11日)。

このように、形式上業務委託(請負)であっても、実態が「労働者」である場合には、「労働者」として判断され、労働者としての権利行使がなされる可能性がありますので注意が必要です。

 

2.労働者性判断の要素

業務委託契約を締結した個人事業主が「労働者」としてどのような場合に認定されるかという点についても、その要素を上記裁判例では述べています。具体的には、「使用従属関係の有無については、業務遂行上の指揮監督関係の存否・内容、支払われる報酬の性格・額、使用者とされる者と労働者とされる者との間における具体的な仕事の依頼、業務指示等に対する諾否の自由の有無、時間的及び場所的拘束性の有無・程度、労務提供の代替性の有無、業務用機材等機械・器具の負担関係、専属性の程度、使用者の服務規律の適用の有無、公租などの公的負担関係、その他諸般の事情を総合的に考慮して判断するのが相当」とされています。

この点に関しては、労働基準法研究会報告「労働基準法の『労働者』の判断基準について」(昭和60年12月19日)に記載された要素が上記裁判例を含め用いられており、当該研究会報告の内容は参考にできるところです。

 

3.結語

以上を踏まえて、個人事業主に業務委託をお願いするときには、上記要素を踏まえて、「労働者」と判断されないよう注意することが必要となります。

 

以上