(1)育児・介護休業法

改正育児介護休業法が平成29年1月1日から施行されました。

改正のポイントは次の8点です。

 

①介護休業の分割取得

②介護休業の取得単位の柔軟化

③介護のための所定労働時間の短縮措置

④介護のための所定外労働の制限(残業の免除)

⑤有期契約労働者の育児・介護休業の取得要件の緩和

⑥子の看護休暇の取得単位の柔軟化

⑦育児休業等の対象となる子の範囲

⑧いわゆるマタハラ・パワハラなどの防止措置の新設

 

改正前の育児介護休業法で規程類を定めていた場合には、これらの項目について規程類の変更をする必要があります。

また、②、④、⑥につきましては、労使協定の変更も必要になります。

これら改正については、厚生労働省のHP(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html)に詳細な情報が記載されています。

また、規定例につきましても厚生労働省より出されています(http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/33.html)。

もし、改正法に合わせた規程類の変更、労使協定の変更がまだお済でない場合には、上記HPを参考に規程類・労使協定の変更をご検討ください。

(2)個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)

平成28年に改正された個人情報保護法が平成29年5月30日より施行されます。

同改正では、多数の改正点があります。本記事では、その中でも人事労務上の重要な点をピックアップしました。

 

①「個人情報取扱事業者」の範囲

これまで、個人情報取扱事業者は「個人情報によって識別される特定の個人の数の合計が過去6か月以内のいずれの日においても5千を超えない者」は「個人情報取扱事業者」に該当しないとされていましたが、改正法によってこの例外は撤廃されました。従いまして、どの事業者であっても個人情報取扱事業者に当たる可能性が生じるようになりました。

貴社が改正前の法では適用除外であったために、同法を徹底していない場合には、同法を遵守することが求められるようになるので留意が必要です。もっとも、ガイドラインにおいては、中小規模事業者(原則として従業員の数が100人以下の事業者。但し、例外があります。)には個人情報保護の負担への配慮がされています。

 

②要配慮個人情報の追加

要配慮個人情報という新たな概念が作られました。

要配慮個人情報とは、「本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報」をいいます(改正法2条3項)。

この要配慮個人情報については、原則として本人の同意なく取得してはならない情報とされ(改正法17条2項)、第三者への提供も本人の同意なくできません(改正法23条1項、2項)。そのため、要配慮個人情報については安易に取得せず、取得した場合は慎重に管理することが求められるようになります。

 

以上2点が人事労務上の重要な点ですが、それ以外にも個々の改正点を確認の上、改正法への対応をする必要があります。個人情報保護のガイドラインが個人情報保護委員会のHP(http://www.ppc.go.jp/personal/preparation/)に詳細が記載されていますので、ガイドラインに沿った個人情報の取り扱いをすることが適切です。

(3)労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(平成29年1月20日策定)

これまで「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」と題する通達(平成13年4月6日基発第339号)が出されておりましたが、これがこの度制定された「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/dl/151106-04.pdf)へと取って代わりました。

本ガイドラインにおける従前の通達からの主な変更点は以下の4点です。

 

①労働時間の考え方の明示

②自己申告制の労働時間の管理方法の注意点

③36協定により延長することができる労働時間数の遵守、及び、記録上その時間数を遵守しているようにすることが慣習的に行われていないかということの確認の要請

④賃金台帳の適正な調製義務の明示

 

労働時間の適正な把握は適正な労務管理のために必要不可欠ですので、本ガイドラインをもとに、貴社の労働時間の把握が適正かの再点検をお勧めいたします。

(4)違法な長時間労働や過労死等が複数の事業場で認められた企業の経営トップに対する都道府県労働局長等による指導の実施及び企業名の公表について(平29.1.20基発0120第1号)

平成28年12月26日に開催された第4回長時間労働削減推進本部において、「過労死等ゼロ」緊急対策が決定され、新たに実施する取組として、違法な長時間労働等を複数の事業場で行うなどの企業に対する全社的な是正指導や、平成27年5月から実施している是正指導段階での企業名公表制度の強化などを実施することとされ、本通達が出されました(http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/dl/151106-05.pdf)。

違法な長時間労働が複数の事業場でなされている場合、企業名を公表されるという重大なペナルティが課される可能性があります。

「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を基に、貴社の労働時間の再点検をお勧めいたします。