中国において情報提供義務違反が争われるケースとしては、どのようなものがありますか?

中国におけるフランチャイズを巡る紛争の多くは情報提供義務に関する案件であるといわれています。中国フランチャイズ関連法には、フランチャイジーとなろうとする者に対して提供してはいけない情報についても規定されており、注意が必要です。

 

フランチャイザーに売上予測に関する情報提供義務違反が認められ、フランチャイズ契約の解除及び損害賠償が認められた事案(山東省高級人民法院(2014)魯民提字第213号)

 

(事案)

フランチャイジー(原告)は、フランチャイザー(被告)が展開する飲食店フランチャイズに加盟し、フランチャイズ契約を締結した。その際、フランチャイザー(被告)が作成した「フランチャイズマニュアル」には投資回収分析として、1,000平米の加盟店では、月売上額80万人民元、月利益14.4万人民元、投資回収期間は10.4か月である旨が記載されていた。また、フランチャイザー(被告)がフランチャイジー(原告)に対して厨房スタッフを派遣する契約も締結し、フランチャイジー(原告)は加盟店の経営をスタートした。ところが、ほどなくしてフランチャイザー(被告)が派遣した厨房スタッフのほとんどが当該加盟店を辞めていってしまい、フランチャイジー(原告)は加盟店を経営し続けることができなくなった。そして、フランチャイジー(原告)は、上記予測売上を達成することができなかった。そこで、フランチャイジー(原告)は、フランチャイズ契約の解除等を求めて訴訟を提起した。

 

(判決)

商業特許経営管理条例によれば、フランチャイザーは加盟店の募集にあたって詐欺や誤解を生じさせる行為があってはならず、また広告の中にフランチャイジーがフランチャイズ活動に従事することで得られる収益を宣伝する内容を含めてはならないと規定されている。そして、本件では、フランチャイザー(被告)が交付したフランチャイズマニュアルには加盟収益に関する記載があり、またフランチャイジー(原告)はその収益に達していない。したがって、このような被告の行為は商業特許経営管理条例違反といえ、原告の主張するフランチャイズ契約解除を認める。

 

(解説)

商業特許経営管理条例17条では、フランチャイザーは、宣伝活動において詐欺行為や誤解を生じさせる行為があってはならず、広告の中にフランチャイジーがフランチャイズ活動に従事することで得られる収益を宣伝する内容を含んではならないと規定されています。したがって、中国では、フランチャイジーになろうとする者に対して、予定店舗の売上予測に関する情報を提供することは許されません。

 

これに対して、日本では、フランチャイジーになろうとする者との契約締結にあたっては、適切な判断材料を与える必要があります。すなわち、フランチャイザーは、予定店舗についての的確な情報を、原則として、フランチャイジーになろうとする者に提供すべき義務があると考えられています。そして、このような積極的情報開示義務は、売上・収益予測にも認められるのではないか、という点が議論されています。このように、予定店舗の売上予測に関する情報提供義務については、日本と中国で大きく異なるため注意が必要です。

 

以上