商業特許経営管理条例が適用されるケースとしてどのようなものがありますか?

中国におけるフランチャイズを巡る紛争の多くは情報提供義務に関する案件であるといわれています。中国ではフランチャイズ契約を締結する場合、フランチャイザーによる情報提供が義務付けられています。そして、フランチャイズ契約に該当するか否かは、契約内容を実質的に考慮して判断されることから、取引自体がフランチャイズ契約に該当するか否かが争点となるケースは珍しくありません。

 

売買契約書に基づく取引が実質的にはフランチャイズ契約に該当するとして、売主にフランチャイザーとして情報提供義務違反が認められた事案(上海市高級人民法院(2012)沪二中民五(知)終字第40号)

 

(事案)

2011年7月8日、原告と被告は商品売買契約(以下、本件売買契約という)を締結した。その主たる契約内容は、被告が所有するブランド商標権(第3類)を甲に使用させること、原告を被告ブランドと産品の専売店とみなすこと、双方が協力して販売活動を行うことなどであった。そして原告は、本件売買契約に基づき、被告に対して店舗開設の保証金やブランド使用料等合計65,800人民元を支払った。

しかし、その後、被告は上記商標権を所有していなかったこと等が判明し、原告は本件売買契約の解除等を求めて訴訟を提起した。

 

(判決)

上海市高級人民法院は、以下のとおり判示し、原告の契約解除請求を認めた。

本件売買契約は適法かつ有効な契約である。しかし、その内容をみると、被告が所有するブランド、商標、産品包装設計等の経営資源を原告に使用させ、これに対して原告はブランド使用料等を支払うというものである。これは、商業特許経営管理条例で規定するフランチャイズ契約の基本的な特徴に一致する。したがって、本件売買契約はフランチャイズ契約に属するといえる。

そして、商業特許経営管理条例22条及び23条は、フランチャイザーはフランチャイジーに対して登録商標等に関する事実を提供しなければならず、虚偽の情報を提供した場合、フランチャイジーはフランチャイズ契約を解除できる旨を規定している。

本件においてこれをみると、被告が提供したブランド商標権に関する情報等は虚偽といえる。よって、原告の主張する本件売買契約の解除請求を支持する。

 

(解説)

中国ではフランチャイズ契約を締結する場合、フランチャイザーによる情報提供が義務付けられています(同条例21条、22条)。そして、フランチャイズ契約か否かは、契約書の名称といった形式面で判断するのではなく、契約内容等を考慮して実質的に判断します。したがって、本件のように契約内容からフランチャイズ契約に属すると判断された場合、同契約には商業特許経営管理条例等のフランチャイズ関連法が適用されることになります。

商業特許経営管理条例で定めるフランチャイズ契約の特徴は、ある企業が商標、ブランド、ノウハウ等の経営資源を使用させ、その対価を得るものと考えられています(同条例3条)。

当初からフランチャイズ契約を念頭において取引をしていれば問題はありませんが、契約内容によっては思わぬところで商業特許経営管理条例の対象となる可能性があり、注意が必要です。なお、商業特許経営管理条例が適用され情報提供義務違反が認められた場合、契約の解除だけでなく罰金等の処罰を受ける可能性もあります(同条例28条)。

以上